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manabiai school から創り出す僕たちの交響体 ~安心な僕らは旅に出ようぜ~

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2010-12-28

自転車。 04:06

撤去されてしまっていた自転車を預かり所に取りにいった。

駅からだいぶ離れたところで、周りには何もない。

殺伐としたところにその預かり所はあった。

小さな小屋があって、そこにおじさんが一人、いた。


小屋の中には、小さなテレビと、ファイル、あと古い電気ストーブ。




「すいません、自転車取りにきたんですけど…。」

「はいはい、何日くらいかな?」

「えと、一週間くらい前なんですが。」

「ああ、それね、そこだわ」


係のおじさんは親切に対応してくれた。



久しぶりに再会した自転車を前に、「おお、無事だったか」という心境で鍵を差込んだ。

しかし、自転車に乗った瞬間、違和感があった。


タイヤが、パンクしていた。




「うわ。パンクしてるやん。」

「おー、ほんまやなぁ」

「うわー、まいったなぁ。」

「せやなぁ」

「近くに自転車屋さん、ありますかね。」

「あぁ、あるで」

「どこですか?詳しく教えてもらえますか。」

「えっとなぁ、そこの筋をまず右に曲がって…」




おじさんは親切に教えてくれた。



その後、無事自転車屋さんにたどりつき、パンクを修理してもらい、僕はさっそうとまたがった。

久しぶりのペダルは気持ちよく、僕は鼻歌を歌いながら運転した。

ふと、さっきの親切なおじさんのことを思い出した。





そして、考えた。

あのおじさんの生まれてから、今までの人生を。






小さな病院で生まれたあの日。

近所の川でぞうりをなくし、父親にこっぴどく怒られたあの日。

初恋のけいこちゃんに振られて友達の大切さを知った思春期のあの日。

どこにぶつけていいのかわからないもどかしい気持ちと戦った青年期のあの日。

就職しはじめての給料を手にしたあの日。

結婚式で、この人をずっと幸せにしようと心に誓ったあの日。

はじめて息子が生まれて涙したあの日。

仕事がうまくいかず、家族に打ち明けられずに苦しんだあの日。

妻から「あなたでよかった」と言われ、一人涙した、あの日。

………

……




すべて完全に妄想で、それ以上でも以下でもないほどの自分勝手な妄想。

しかし、きっと僕の知る由もない、たくさんの「あの日」を何日も何日も積み重ねて、あのおじさんはその時、あの場所にいた。



そして僕は彼に出会った。

僕に出会う、1秒前まで、あのおじさんはあの小屋にいた。


別に僕を待ってたわけじゃない。

けれど、おじさん待っていて、僕はそこに行った。





ただ、それだけ。







毎日が、積み重なっていく。




僕は、なんだか自転車が愛しくなった。

sakusaku0428sakusaku04282010/12/29 07:52すごーい、詩人のようですね。ちなみに私は、阪急電鉄宝塚線が好きでした。
梅田から池田までなんですが、乗り過ごして目を開けて見ると…
あれー、観覧車が! そして逆サイドに乗って戻りもまた乗り過ごし…
いい思い出です。