2017-01-24
体育と『学び合い』の親和性
学習指導要領の原文を子どもに示し、その目標の達成を求めることは可能である。
それを私が今更いう必要もないが、事実今小学3年生でも十分機能している。
現在取り組んでいる単元は「ネット型ゲーム」である。
ネット型ゲームには、ソフトバレー型とプレルボール型がある。
この単元はそういう構造になっているということを子どもに話す。
今日からソフトバレーをやります。ではなく、今日からネット型ゲームをやりますと伝える。
その際、体育を学ぶ価値を十分に説明する。
ルールなどを考えること、勝ち負けを受け入れること、用具を友達と協力して準備することなど、今まで子どもたちが知らなかったこと、そして教師の評価するものを丁寧にインストラクションしたうえでその達成を子どもに求める。
そして文科省が配信しているネット型ゲームの映像を見せる。
その後、達成しなければならない「基本的な技」を伝え、
『ネット型ゲームは得意な子も苦手な子もいるよね、全員が楽しめるネット型ゲームを今日から8時間でしよう』
と課題を示せば、それだけでやってくれる。
全員がそれだけで動けるわけがない。
しかし、それだけで動ける子「も」いるのだ。
用具の準備から片付けまで何まで、私が声をかけることは一切ない。
私が話すのは最初の1分と最後の2分程度である。
子どもたちは与えられた時間の中で「全員が楽しめるネット型ゲーム」という課題を達成できるルールを自ら考えるのだ。
失敗を繰り返し、ああでもないこうでもないとトライアンドエラーを繰り返す中で、8時間かけて積み重ねていく。
目標の中には、「ラリーが続く」というのもある。
その点も最初に伝えているので、集団の中にただ単に相手コートにボールを打ち込んで楽しむことのない、ラリーを続けようという「空気」が生まれる。
だから、自分だけが楽しんでボールを占有したりするということはなくなる。
私がどのような観点で子どもを評価するのかは、完全に示しているので、時たまの私の声掛けにも抵抗なく順応してくれる。少なくとも一定数の子が。
体育は三権分立の一つ、立法意識、リーガルマインドを培うのに適した教科である。
思えば体育と『学び合い』の親和性は高いのだ。
外で子どもたちがやっている、ドッチボールやキックベースのルールだの、そのようなことを教科教育に適応させているのだから。
そこに、全員という条件を与えるだけ。
アクティブ・ラーニングで子どもたちが能動的になれば、このような授業形態も十分に可能である。
こんなことは3年生じゃできない、と思う方もおられるかもしれない。
しかし、3年生にはこんなこともできる大人並みの鋭い感性を持った児童「も」いるのではないか。
信頼されることによって解放された子どもたちは、悠々と教師の既成概念を超えていくのだ。