2017-05-07
ハンガリーの高校
学び合いと『学び合い』 | |
日本にもいろいろな高校があると思います。ですので一般化はできないと思います。しかも私が高校生だった頃とはかなり状況が違うと思います。なので日本との比較は簡単にはできませんが、娘が高校に入ってそろそろ1年になるので、日本とハンガリーはここが違うのかもしれない・・・というところを簡単にまとめてみます。
1.欠席
日本では子どもが風邪をひいた場合、例えば病院にはいかず家で治し、治ったら登校させるということもあるかと思います。一方ハンガリーでは初等・中等教育機関では病気で欠席する場合には基本的に医師の証明書が必要となります。これがないと無断欠席となります。科目ごとの無断欠席数の枠を超えると留年の可能性が出てきます。(初等学校1年から留年があります。)
2.登校
学校によっては(例えば遊園地に設置されている)ゲートが入り口に置かれ生徒が勝手に外に出られないようにしています。入り口には必ず受付の人がいます。このゲートは外部からの侵入者を防ぐ役割も果たしています。
3.成績
初等学校の場合、成績は小さいノートに書かれ、成績をもらうたびに保護者がそれにサインをします。中等学校の場合、成績はオンラインで表示され、保護者もいつでもチェックすることができます。
4.学年
日本の普通高校にも例えば数学科のようなクラスが設置されているところがありますし、入学後、進路に合わせてコースが分かれるところもあります。ハンガリーの学校には基本的に入試の段階でコースに分かれます。すべてのクラスに何らかの専門があります。入試の方法も違います。更に年によって構成にも違いがあります。娘の学年の場合、各クラスの構成は以下の通りです。
A組:初等学校6年生を終えた時点で入学。6年制。英語とラテン語を学ぶクラス
B組:初等学校6年生を終えた時点で入学。6年制。ドイツ語とラテン語を学ぶクラス。
C組:音楽、歴史、ハンガリー語コースの混合クラス(4年制)。普通の授業は3つのコースの生とが一緒に受けるが、専門の授業は別になる。(娘のクラスは3つのコースの混在ですが、年によって組み合わせが変わります。地理のコースが入る年もあるようです。ただ音楽コースは毎年設置されています。)
D組:数学、物理のコースの混合クラス(4年制)。(数学コースは毎年あるようですが、物理の他に情報だったりともう一方のコースは年によって変わるようです。)
E組:外国語特化クラス(5年制)最初の1年は語学のみを勉強します。娘の学年は英語とドイツ語とスペイン語のコースが混在しているクラスですが、この組み合わせも年によってちがいます。
5.外国語
高校の場合、2つの外国語を学ぶことが義務付けられています。第一外国語の場合はクラスの枠を超えてレベル別でクラスを組みなおします。第二外国語の場合は基本的に初心者レベルから始まる場合が多いのでクラスの枠組みを超えて希望する語学を選択します。娘は第一外国語が英語、第二外国語がスペイン語です。
6.オフィスアワー
学期に1度、保護者会がありますが、この他に保護者が各先生と相談できる日が設けられています。オンラインによる事前登録制です。当日は教師がホールや食堂に机とイスを置きすわっています。保護者はどの先生が何番の机に座っているかの座席表を見ながら決められた時間(1人10~15分)先生と話をします。ちょうど先生が空いている場合には飛び込みでそこに行って話をすることも可能です。(先日は妻と2人で、担任である歴史の先生と、ハンガリー語の先生、そして地理の先生、そして音楽の先生と話をしました。)
7.進路案内
ハンガリーはEUにありますので進学先はハンガリーとは限りません。ということで外国に進学するための説明会がかなりの頻度で開かれます。また職場見学ということで、保護者が職場を見せるという試みが行われています。(決められた日に登録した生徒が職場をのぞきにいけるという形です。)入学したての子から参加が可能です。
8.勉強
基本的にテストが非常に多いです。1日に複数のテストがあるのも珍しくありません。そのため毎日夜中まで勉強する子が多いです。高校の卒業試験は1科目3時間で、論述式のものが多いため授業ではテストだけではなく議論もかなりあります。
9.運動
体育の授業の他にクラブもありますが毎日ではありません。娘は学校ではサッカークラブに入っています。学校のクラブの場合、週末には練習などはありません。あと娘は、町ではハンドボールのクラブにも所属しています。
10.大会
学校単位で出るのは学術大会が多いです。(スポーツは学校単位で出場するものもありますが、地域クラブ単位で出る場合の方が多いです。)娘の学校の音楽コースの女子メンバーはオーディションに受かると合唱団に入ります。この場合、音楽の専門授業の他に合唱団の練習もあります(週に2~3回。ただし夏休みなどには練習はありません。)合唱団にはOBもメンバーに入っています。ハンガリーにはこういう学校をベースにした(政府の補助金などももらえる)合唱団は結構たくさんあります。それぞれレベルも高く、テレビやラジオでコンサートの模様が放映されたり、ラジオ局での収録生中継があったりもします。
11.制服
娘の学校にはありません。学校によっては制服があるところもありますが、基本的には儀式のときのみ着用します。
12.塾
塾というものはありません。語学を学ぶ学校はあります。あとは先生のところに個人的に通うということが多いです。娘は数学と物理をこういう先生に教わっています。
13.ボランティア
高校卒業の条件としてボランティア参加が義務付けられています。最低50時間必要です。ボランティアに参加した場合、1日でカウントされるのは2時間のみです。学校側もボランティア募集を頻繁に行っています。20日の夜は「ミュージアムナイト」で、共通入場券を1枚買えば1晩中どこの博物館に入れるのですが、娘はそのとき、数時間博物館でボランティアをするようです。
まだまだありそうです。
ほそぼそと・・・
学び合いと『学び合い』 | |
私にとって『学び合い』をハンガリーや日本語教育界に紹介する方法の1つとして一番理想的な方法は、所属する大学に日本語教師養成課程を復活させ、日本語教員を育てるときに『学び合い』の考えを伝えるです。しかし私自身の努力が足りない(学位が取れない)ため頓挫しかかっています。
ということで、とりあえず日本語教育関係の報告書や発表などで触れている・・という感じです。最近では「学校教師の同僚性構築のための環境作りを教室にも導入すべし」という発表・報告書づくりをしました。「同僚性はインフォーマルに発生する様々な形の教師同士のつながりが基礎となり管理職がイニシアチブを持つ設計された同僚性からは生まれない」という主張や、「同僚性を学内にとどめるべきではなく地域社会にもひろめるべきである」という「ラディカルな同僚性」という意見は『学び合い』と非常にシンクロしています。
あとはハンガリーの日本語教育について1冊の学術書にまとめる機会を得たので、学習の振り返りを教師のために書くのではなく、クラスのメンバーがお互いに読みあい、お互いを高めるために書く実践の報告を書きました。ハンガリー語ですし学術書なのでどれだけ売れるかわかりませんが、もし自分が教員養成講座を立ち上げられなくとも、講座の参考書としては使ってもらえると思っています。
とらえず今後は、『学び合い』をごりおししない研修とか、昔オンラインで発行した『学び合い』の手引書の見直しを考えています。
数年前に研究留学で『学び合い』を学びたいという学生がいて、それを学べる日本の大学を探したのですが結局見つからずこの学生は別のテーマで名古屋大学に入りました。今も修士論文のテーマが日本の教室におけるグループ学習で、研究留学では将来ハンガリーの教育に役立つ研究として『学び合い』をやりたいという学生がいます。個人的にもやってもらえると嬉しいのですが、『学び合い』だけだとまた留学先が見つからない可能性があるので、例えば日本の学校教育におけるアクティブラーニングについて研究する流れで、そのムーブメントの1つとして『学び合い』についても調べるという形で留学する可能性についても検討するようにと伝えました。そうすれば前の学生のように全く別のテーマにする必要はないので・・・・
2015-09-13
逆効果な話し合い・グループ活動
学び合いと『学び合い』 | |
協働学習は一斉授業に対する疑問から生まれたようなイメージがありますが、『学び合い』では最も初期の段階で、ある種の「協働学習」っぽい授業活動について効果の出にくさを指摘しています。それは以下のような活動です。
1)先生が課題を出す。そしてグループでそれについて話し合うように言う。
2)グループで話し合う。
3)各グループの代表が発表する。
4)先生がそれをまとめる。
ただこの活動形式自体に問題があるのではありません。問題なのは教師があらかじめまとめる方向を持っていて、それをあたかも各グループで考えたかのように示すということです。学習者は敏感に教師の意図を察し、話し合いをする無意味さを知り、無気力となり(一斉活動でも発生する)ローカル会話も発生しないという状況になってしまいます。これはある面、一斉指導よりもっと罪が重いです。
ただ、政治が絡む大人の世界では、こういう話し合いは案外あるのかもしれません。私自身も知らず知らずのうちに上のなんちゃって協働に近いことをやっている可能性があるので気をつけなければならないなと思います。
2009-04-15
『学び合わせ』と『学び合い』の違い
勉強, 学び合いと『学び合い』 | |
西川先生のご配慮で入手できた以下の論文を読んでいます。
市川寛、久保田善彦、西川純(2007.6):小学校算数科における自由な相互作用と学力向上
に関する研究、協同と教育、日本協同教育学会、3、10-20
そこに次のような記述があります。
児童の全ての会話の中で「複数回連鎖型」「一門一答型」の相互作用に関わる会話を抽出し、総時間を求めた。(中略)
相互作用の出現時間(分)
しかし、児童は相互作用しているのみではない。一人当たりは6分前後にすぎない。即ち、児童は他の児童からの支援を受けながら、約30分(授業時間45分-教師のクラスへの全体への発話8分-児童相互の会話6分)は自ら課題を解決していることを意味している。
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『学び合わせ』と『学び合い』の違いが端的に表現されているこの文を読むことができて本当によかった!
2009-03-28
連帯責任
解決すべき問題, 教師の役割, 『学び合い』で解決するかも?, 学び合いと『学び合い』 | |
誰かがミスをしたとき、連帯責任(罰則)を負う。こうすれば誰もミスをしないように仲間同士で意識しあうから団結力が高まる・・・と真面目な顔をして言う人がいます。笑っちゃいます。それを教育だとおもう教師に教わる子供は大変だと思います。
誰かがミスをしたら、周りの人がミスをカバーしてあげ、次にミスをしないようにするにはどうすればいいかをみんなの問題として考えればいいだけだと思います。
連帯責任で全員に罰則なんて・・・陰湿ないじめがおきるでしょう・・・
2009-02-16
ドラスチックな変化は望めないけれど・・
その他, 解決すべき問題, 学び合いと『学び合い』 | |
A magyar társadalom 81 százalékának ellenérzései vannak a cigány emberekkel szemben - állapította meg a Progresszív Intézet tavaly októberben végzett közvélemény-kutatása. Minél magasabb az iskolai végzettség, minél inkább beszél valaki idegen nyelveket, annál kevésbé cigányellenes, jóllehet még a felsőfokú végzettségűek és az idegen nyelvet jól beszélők körében is egyértelmű a cigánysággal kapcsolatos negatív attitűd többsége: ez az arány mindenhol 70 százalék felett van.
hirdetés ある調査会社が昨年10月に調査した結果によると、ハンガリー人の81%がロマ(ジプシー)に対しネガティブな意見を持っているとのこと。この傾向は、学歴が高ければ高いほど、そして外国語が上手に話せれば話せるほど弱くなる。しかしそれでも、高学歴で外国語が上手な人の70%以上はロマに対しネガティブな意見を持っている。
A Progresszív Intézet nem egymaga végezte a felmérést, a politikai térkép kutatás keretében 1196 fős reprezentatív minta alapján vizsgálták a társadalom gazdasági és társadalmi attitűdjét, így a magyar társadalom cigánysággal kapcsolatos álláspontját is. この調査は調査会社が直接アンケート調査などを行ったものではなく、政治地図研究の枠内で1196名のデータを調べた結果明らかになったものである。
A politikai térkép elsősorban ideológiai értékmeghatározást nyújt, és nem az egyes pártokhoz vagy jelöltekhez való viszonyulásból indul ki. Az értékválasztás meghatározásának alapja egy 73 állításból álló kérdéssor, amelyből 3 megállapítás a cigányságra vonatkozott.政治地図の調査ではイデオロギーや支持政党や議員に関する調査が主であり73の質問で構成されているが、そのうち3つがロマに関するものであった。(これを分析した)
A válaszadók 81 százaléka az erőszakos asszimiláció pártján áll, ők meg van győződve arról: a cigányokat rá kellene szoktatni arra, hogy ugyanúgy éljenek, mint a magyarok. Hasonló arányban (82 százalék) gondolják úgy, hogy "a cigányok gondjai megoldódnának, ha végre elkezdenének dolgozni", azaz a megkérdezettek több mint négyötöde szerint a cigányok nem szeretnek dolgozni, és ez a legfőbb oka hátrányos helyzetüknek. 調査対象の81%が、ロマにネガティブな気持ちをもっており、ハンガリー人と同じ生活に慣れさせなければならないと考えている。また「ロマがちゃんと働き出せば、ロマの問題は解決する(でも働かないから解決しない)」と思っている人も82%いた。
A megkérdezettek több mint fele (52 százalék) azt is gondolja, hogy nem a többségi társadalom előítéletessége az oka a cigányság deprivált helyzetének.また52%は、ロマに対するネガティブな感情は、マジョリティによる偏見から来るものではないと答えている。
Nincs különbség az egyes pártok szavazóinak cigányellenességében annál a kérdésnél, hogy "a cigányok gondjai megoldódnának-e, ha végre elkezdenének dolgozni". Az MSZP szavazóinak 81, a Fidesz szavazóinak pedig 80 százaléka ért ezzel egyet.ロマに対するネガティブな感情は、その人の支持政党とは関係ない。
A felmérés szerint "a magukat baloldalinak vallók között kisebb az aránya a cigányellenes álláspontnak (79 százalék), mint azok körében, akik magukat jobboldalinak (85 százalék) vagy középen állónak (83 százalék) gondolják".あえて言えば、左派だと考えている人でロマによくない感情を持っている人の割合(79%)が、右派(85%)や中道(83%)より僅かに低い程度である。
Kevésbé cigányellenesek azok a válaszadók, akik a fővárosban élnek (74 százalék), mint azok, akik városban vagy falun (82-83 százalék). またブダペストに住んでいる人の反ロマ感情は74%と、地方都市(82%)、農村部(83%)よりは低くなっている。
A felsőfokú végzettséggel rendelkezők kevésbé cigányellenesek (76 százalék), mint azok, akiknek csak középfokú vagy alapfokú végzettségük van. Utóbbiak körében ez az arány 83, illetve 81 százalék - olvasható az összegzésben.高等教育機関を卒業した人の反ロマ感情は76%と、中等教育機関卒業者83%、諸島教育機関卒業者81%より低い。
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つまり、どの項目でサンプルをとってもハンガリー人(マジャール人)はロマを嫌っているということですね。もちろんネガティブな感情を持っていても、折り合って生きていけるので、実際にはロマを弾圧するなんてことはないのだと思いますが、高学歴である教員の7割も反ロマなわけなので、クラス・学校で『学び合い』文化を形成することで、ロマとの共存を考えていくということを考えても・・・とてつもなく難しいのかもしれません。でも、「そうなれるかも」・・・「なれるだろう」・・・「きっとなれる」・・・と信じられる人が増えていけば少しずつ変わっていくのかもしれません。自分がその運動を進める立場にたてるとはとても思えません。でも4月の発表が認められれば、妄想だと一笑にふされようとも、『学び合い』が問題解決の1つの可能性になるかもしれない・・・と言ってみようと思います。(まあポスター発表だと5分しか話せないのですけど。)(ちなみに、ハンガリーは日本よりも少子化が進んでいる国で、1980年から人口が減り続けていますが、ロマは増え続けています。マジャール人はこれに対しても恐怖を感じているかもしれません・・・)
jun24kawaある集団に対する偏見は、大抵は無知から発し、自分の不満を合理化するために使われます。本当は教育はそこを何とかしなければならないのに、教師の偏見率の高さは凄いですね。
szeidzsijun24kawaさま
コメントありがとうございます。政府は「すべての小学校は、まず地元の子供を入学させる」「すべての学校にロマの言葉を話す教員を置く」「ロマとマジャールを分けてクラスをつくってはらなない」などの政策を打ち出し導入していますが、制度だけ整えても駄目というのはみんなわかっているようです。実は、今ロマによる犯罪の多さがクローズアップされていて、更に反ロマ感情が高まっている状況にあります。(コメントを読んで、金融危機で生活不安が強まっていることと、この状況とは関連性があるのかも、と気付かされました。)
日本でも、学級崩壊というのがあります。
先生の人としては、そんなに問題がないのに、クラスをうけもつ力不足により、
いろいろな問題が起きることがあります。
特に、小学部の低学年ほど、優しいだけの先生では、クラス崩壊が起きてしまいがちだと思います。しめるところは、しめる!!先生がいいですね。
先生によって、子供への今後の影響力は大きいので、親としては、なんとかしたい!!
という気持ち、痛感します。
学級崩壊が起きると、はた目、子供たちが悪いイメージに見えてしまいがちですが、
そういうフインキにしている現況は、担当の先生によります。
先生も、優しく頑張っていて、どうしたら?よいのか、わからず悩んでおいでかもしれませんね。先生力をあげるためにも、先生になんとか、この山を超えてほしいですね。
きっと、この山を超えた時、この先生も、達成感というのが味わえると思うんだけど。
ハンガリーには、素敵な先生も多いので、なんとか、「はずれ」をひいたと思われない先生になってほしいですね。
コメントありがとうございます。今のところいい方向で動き始めたようです。雨降って地固まるになればいいなと思います。