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相互依存を追いかける このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ハンガリー・カーロリ・ガーシュパール大学の若井誠二(わかいせいじ)です。日本語教師です。10以上年前より学習者自律に関心を持ち、現在は学習者自律を支える「相互依存」を追いかけています。そして『学び合い』が相互依存の1つの形かなと思っています。(ご連絡等はszeidzsiアットマークfreemail.huまでお願いします。)

2018-03-11

日本語を学ぶ意味

| 07:26 | 日本語を学ぶ意味 - 相互依存を追いかける を含むブックマーク はてなブックマーク - 日本語を学ぶ意味 - 相互依存を追いかける 日本語を学ぶ意味 - 相互依存を追いかける のブックマークコメント

 何のために言語を学ぶかの理由は人によって違います。職場(大学で)「○○のために日本語を学べ」と学生に言うことは全くありません(当たり前ですけど)。でも「日本語を学んでいるからこそ、日本語を知っているからこそ得られる経験」が得られる場は与えたいと思っています。

 例えば日本人と会う場をいろいろな方向性から創りだすというのもそうです。でも他にもいろいろやっています。例えば。「広島の被爆者の証言ビデオに字幕をつける」という授業があります。被爆者の声を聞き、それを理解しハンガリー人に被爆者が語りたいと思っていることを伝える。これは日本語を学んでいるから、学んだからこそできることです。

 4月にはご自身も被災経験のある福島大学からの留学生福島の現状と復興の力について語っていただくことになっています。現地の人の話を聞き、思いを理解し、未だにチェルノブイリフクシマかというイメージしかないハンガリー人にそれを伝える。これも日本語を勉強しているからこそできることです。

 また、ある授業ではドイツで日本語を学ぶ学生さんと移民問題についてメッセージのやりとりをしています。ハンガリードイツはまったく逆の難民政策を取っています。それぞれには言い分があります。そしてどちらの国も国民すべてが政策に賛同しているわけではありません。たとえば欧州各地ではイスラム教徒によるホームグロウン・テロリズムが発生しています。ハンガリーはこれを起こしたくない。それが厳しい移民政策の理由の1つになっています。でもハンガリー人の多くは、政府によるヒステリックな反移民キャンペーンにもうんざりしています。先日は、ある大臣がウィーンに行って「ウィーンはここ20年で移民が増え、白人はいなくなり、町は汚くなり、治安は悪くなった」というビデオメッセージを送りました。これは事実と大きく異なります。ブダペスト市長も「少し休んだ方がいい人もいる」と皮肉を言い、ハンガリー国内でも大きな問題となっています。そんな両国の学生同士が、冷静に個人としてやりとりができるのもお互いに日本語を学んでいるからです。

 もちろん留学や就職という面でも力をもっと入れなければいけません。もっと学生が効率的に日本語能力を上げられるようサポートすることも必要です。でも、(教員だからこそできる)日本語を学んでいるからこそできる経験の場づくりというものも、もっと多様に・広げていきたいと思います。