次の場所へ行こう(旧 十人十色・宮城)

  • 宮城県石巻市の小学校教員です。 小中併設極小規模校で,「地域とともにある学校」について考えながら日々の仕事を取り組んでいます。 2016年の「教室『学び合い』フォーラム」 は宮城県・東松島市コミュニティセンターを 会場に行いました。2017年は,その後をつないでのミニフォーラムを白石で実施。2018年は11/23女川町まちなか交流館で実施。その後は、学校と地域コミュニティの間を行ったり来たりしながらの毎日を創りたい、と思っています。
  • 2017-08-20

    「愛着モデルと医学モデル」

    07:53

     今読んでいる本はこれ。まだ途中だけど。

    愛着障害の克服」

     そこに出てくる「愛着モデル」「医学モデル」という見方が興味深かった。

     「医学モデル」では,その人の「症状」に着目して「病気の原因」を「診断」し,「治療」を施す。つまりその人を「患者」として捉え,治療を通して症状の改善を図ることを目的にする。

     一方,「愛着モデル」では,その人が「愛情に関するダメージ」を受けていて「不安定な愛着」の状態にあると見る。だから,「愛情の安定化」を図り,「ストレスへの耐性」を付けながら,適応力の改善を図ることを目的ににする。問題があるのは,その人自身ではなく,その人を取り巻く環境や関係性にあるとみて,そこに目を向ける。

     目を引いた記述は

    「愛着モデルにおける回復のゴールは,症状の改善ではなく,より高いレベルの適応,言い換えると,『その人本来の生き方を獲得すること』にあるということだ。症状はそれに伴って自然に改善していく。」

    という部分。

     「症状の改善ではなく,より高いレベルの適応」。症状(愛着で考えると愛着の傷というのかな)をないものにする,なかったことにするのでもなく,それを包み込みながらも乗り越えて行く力,というイメージだろうか。

     その時,頭をよぎったのは,ホワイトボード・ミーティング®のケース会議。複数の人で「その人」の情報を出し合い,共有を進めながら,アセスメントスケールを当てながら,問題の見立てと対策を立てる。「生命身体の危険の回避」「本人のプレッシャーの緩和」「キーパーソンのプレッシャーの緩和」「過刺激を取り除く」「強みの強化」「言葉や態度の翻訳」「失敗体験成功体験に」「どきどきわくわくのチャレンジ」「チームで役割分担」…。

     過去と今を見ながら未来を考える。

     複数で情報を出し合い,共有することで,一面的な見方や個人思い込み是正することができるし,かつ,未来に向けた建設的な話ができる。問題の原因を探し出したり治療(指導)をしようとすると,誰かが悪者になってしまいそうな話になりがちで,本来の「その人」のための話し合いになりにくい面もあるが,未来を見ながら,やりたいこと,やれること,やったほうがいいことを考えのは楽しいし希望がもてる。

     決して,「愛着モデル」がよくて「医学モデル」がよくない,ということではない。医学モデルで診断し,症状から病名が付けられると,周囲からある一定の理解が得られることもあり,その人への共感的な理解を促す面もある,と本にはある。名前がつくと,なぜそういう症状を呈しているのかについての一定の理解が促進する面もあるだろう。それによって安心する人もいるだろうから。

     

     物事を見るときには,ある一点だけを見るのではなくて,取り巻く周辺状況も合わせて見る,見ようとする感覚が大切だよなあと感じさせられる。ある症状に名前を付けて「これこれだ」と言えば,余計な説明はいらなくなるし,効率的?なような気もするけれど。でも,そうなってしまうと応答的なコミュニケーションは生まれにくくなる。

     いわゆる一方的な「診断」「指導」みたいなイメージ。なんか「その人」がもっている力を生かし切れない感じがする。ちょっと時間がかかったりすることもあるだろうけれど,応答的なコミュニケーションを保持しながら,その人が「こうしていけばいい」「こうしていこう」「よし,やっていけそう!」みたいになっていくことが「その人本来の生き方を獲得すること」になるんじゃないかと思う。

     それは「愛着モデル」であろうと「医学モデル」だろうと。