2017-08-31
教育実習プログラムデザイン,今ここ
教育実習2日目。
昨日の振り返りをもとに,今日のチャレンジを確かめ合う。
昨日の振り返りでは
「今日は,積極的に話しかけてきてくれた子とは,結構話せたけど,人見知りな印象の子には自分から話しかけることはできなかった。初日としては,多くの子と話せたけど,まだ全員ではない。だから,次は,全ての子と話すようにしたい。」
ということ。
そこから,2日目のスタート。
放課後もまた,同じように,
「今日,どうだった?」
から,ホワイトボード・ミーティング®の定例進捗会議のフレームで,実習生と実習クラスの先生と3人で振り返り。プラス,質問&アドバイスタイム。
「今日は,休み時間に一人で絵を描いていた子にも自分から話しかけてみたんです。そうしたら,その後の給食の時間や運動会の練習の時にもその子が話しかけてきてくれました。小さなきっかけからでも,次につながって行くんだなあ,と感じました。」
「明日は…」
そんな感じで,一日のサイクルを回す。1日のショートスパンでのサイクルと,実習期間のロングスパンのサイクル。そのプログラムデザインを描くのが私の役割。
幼稚園教諭を目指している彼。幼児教育の視点は,実は学校教育に持ち込んでほしい視点だと個人的に思っている。小学校の先生希望じゃないんだから,ではなく
「幼稚園教諭をめざしているからこそ」小学校の実習って意味があるとさえ思う。日中にはこんな会話。
「幼稚園の指導案って何度も書いているから書きやすさがあるけど,小学校のは慣れなくて…。難しいです。」
というので,
「というと?」
と聞いてみた。すると
「幼稚園は子ども目線で書くんですが,小学校だと『させる』みたいに書くことが一般的みたいだし…」
と。
これには苦笑。
だからこそ,幼児教育の目線で指導案を書いて欲しいなあ。
その後,一緒にいよいよ始まる授業実践の略案作成にむけて学習指導要領と教科書を読みながら「発散」「収束」活用」でイメージをつくる。
「学校教育目標が『自ら考え,共に歩み,未来を拓く子どもの育成』だから,この1時間の授業の中での子どもの姿は,どんなイメージになるかなあ?」
なんて問いかけも,ついしてしまう…笑。
でも,かれの教育実習で,学びたいことは「見通しをもった指導」。
子どもたちをサポートする上での「人生レベルの見通し」,「6年間の見通し」,1ヶ月,1週間,1日。
行事で言えば,運動会に向けたプロセスの見通し。
教科指導の見通し,単元の見通し,本時の見通し。
それを感じるために,体験的に,彼自身が実習期間の見通し,1日の見通しを持ちながらチャレンジを繰り返す,そんなプログラムデザイン「今ここ」。
2017-08-30
教育実習生をお迎えしました
昨日から教育実習K君をお迎えしました。K君は私が旧雄勝小学校時代の時に担任していた子(今は「子」ではないが)
紹介の会は,簡単な自己紹介をしてもらった後に,ウブンツカードを使って,「カードの共通点探し」と「自分たちの共通点探し」。小さな楽しいコミュニケーションを,機会があるごとにちょっとずつ重ねて行くのが私の方針。
その後は,K君と一緒に実習計画づくり。
ホワイトボード・ミーティング®の定例進捗会議のフレームをつかって
【発散】教育実習期間,どんな感じですか?
【収束】特に大切にしたいこと3つ
【活用】どうしたい?どうなるといい
で,ざくっと方向性を共有していきます。
その後,大学から預かっている「実習の手引き」にある「目的」と「評価基準例」を一緒に見ながらルーブリック評価表づくりを一緒に。「下される評価」でもなく「なんとなくの評価」でもなく,お互いのチャレンジできるものにするため。なかなか難しい作業だし,まだまだ基準に曖昧な点が出てくるんだけど,それは改善できるところはしていきたい。自分でつくる評価基準というのもよい学習になるんじゃないかと。
そういう作業も,教室と教室の間にあるフリースペースで行いました。子どもも大人も同じ空間で学ぶという雰囲気を私たち大人も子どもたちにも感じることが大切って思っているから。「大人が教える,子どもは教わる」ではなく「子どもも学ぶ,大人も学ぶ」を日常のものにして行きたいから。学校教育目標の中の「共に歩み」ということ。
1日の振り返りは,再びホワイトボード・ミーティング®の定例進捗会議のフレームで。実習担当教員の方と一緒に3人で。
【発散】今日,どうでした?
【発散】良かったこと一つ,困っていることや課題1つ
【活用】明日はどうしたい?どうなるといい?
○質問&アドバイスタイム
1日を振り返り,あしたのどきどきわくわくのチャレンジにつなげる,つながるといい,そんな教育実習1日目。
実習生だけが学ぶのではなく,職員室のメンバーも一緒に学ぶ,そんな教育実習期間をプログラムデザインするのが私のチャレンジ。
みんなが学び合うことを楽しめる期間にしたい。
「ちょっと大変だったけど楽しかった」になるといいな。
主体的に学ぶ,学ぶことを楽しむ,チャレンジを楽しむ,そんな2週間に。
2017-08-27
エピソードの共有
9月に運動会があります。
今回の運動会から,地域住民の運動会と合同開催です。公民館と共催ということ。
新しい場所に,地域唯一の学校がこの8月に新設されたという状況であり,「地域と共にある学校」がテーマの本校にとっては,大事な行事。行事そのものはもちろんですが,プロセスが重要,と思っている。
計画は学校サイドが一方的に決めてもだめ,公民館にお任せでもダメ。
だから大事にしてきたのは,
「どんな運動会にしたい?」
というコンセプトづくりからのプロセス。
やることや役割の原案を決めて,指定して,はい!とすれば,「効率的」かもしれませんが,そういう選択はしません。
時間はかかるかも知れないけど,対話を重ねる。
それぞれの思い描く運動会イメージを話し聴き合いながら,ホワイトボードに書き出していくところから。(ここはホワイトボード・ミーティング®のフレームを使います)
そのイメージを,エピソードと共に共有し,大事にしたいことをお互いに納得してつくっていく,そういうプロセス。
そうしていると,学校の職員も公民館の方々と仲良くなれます。別な案件があっても
「あ,これって公民館の○さんが情報もっていそう!電話してみよ。」
とか,違う用事でお会いしたときも,
「あ,あれってこうでしたっけ?」「そこまでやっていただき,ありがとうございます!」
とか,日常のコミュニケーションがだんだん円滑になります。
コーディネーター役の私以外の方と,地域の方の円滑なつなぎも私の役目。だんだん,お互いが勝手につながって行くきっかけをつくる,つくっていきたい。
先日の話し合いはとても,興味深く,対話をするって大事だなあとおもったこと。
公民館としては,
「ボランティアの学生が中心となった,若者種目を入れたい。ここは大事。」
と話す。一方学校側は
「タイトな日程だし,地域住人でないボランティア中心の演目ってそんなに必要?」
という感じ。
そこで,
「もう少し詳しく教えてください」
という問いかけから出てきたエピソードは
「ボランティアの学生さんは,震災後からずっと関わってきてくれているんだ。中には,何年も続けて,それに自費で通ってきてくれて人もいる。彼らなしには,今の雄勝はなかった,とぐらい公民館では思っているです。地域住民の方とも,仲良くなって,住民のなかには息子や娘が帰ってきてくれた,くらいに思っている方もいるんです。だから,彼らへの感謝や歓迎の意味をこめているこの演目は公民館として大事にしたいんです。」
と。
そういうことなら,もちろん大事。
「ああ,そうかあ!」
です。合同運動会のコンセプトにぴったり合います。やはり,エピソードの共有で,納得感が生まれます。
目に見える「何かした」ではないけれど,こういう対話の場を丁寧につくり,積み上げていきたい。
2017-08-20
「愛着モデルと医学モデル」
今読んでいる本はこれ。まだ途中だけど。
「愛着障害の克服」

愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる (光文社新書)
- 作者: 岡田尊司
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/11/17
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (1件) を見る
そこに出てくる「愛着モデル」「医学モデル」という見方が興味深かった。
「医学モデル」では,その人の「症状」に着目して「病気の原因」を「診断」し,「治療」を施す。つまりその人を「患者」として捉え,治療を通して症状の改善を図ることを目的にする。
一方,「愛着モデル」では,その人が「愛情に関するダメージ」を受けていて「不安定な愛着」の状態にあると見る。だから,「愛情の安定化」を図り,「ストレスへの耐性」を付けながら,適応力の改善を図ることを目的ににする。問題があるのは,その人自身ではなく,その人を取り巻く環境や関係性にあるとみて,そこに目を向ける。
目を引いた記述は
「愛着モデルにおける回復のゴールは,症状の改善ではなく,より高いレベルの適応,言い換えると,『その人本来の生き方を獲得すること』にあるということだ。症状はそれに伴って自然に改善していく。」
という部分。
「症状の改善ではなく,より高いレベルの適応」。症状(愛着で考えると愛着の傷というのかな)をないものにする,なかったことにするのでもなく,それを包み込みながらも乗り越えて行く力,というイメージだろうか。
その時,頭をよぎったのは,ホワイトボード・ミーティング®のケース会議。複数の人で「その人」の情報を出し合い,共有を進めながら,アセスメントスケールを当てながら,問題の見立てと対策を立てる。「生命身体の危険の回避」「本人のプレッシャーの緩和」「キーパーソンのプレッシャーの緩和」「過刺激を取り除く」「強みの強化」「言葉や態度の翻訳」「失敗体験を成功体験に」「どきどきわくわくのチャレンジ」「チームで役割分担」…。
過去と今を見ながら未来を考える。
複数で情報を出し合い,共有することで,一面的な見方や個人の思い込みを是正することができるし,かつ,未来に向けた建設的な話ができる。問題の原因を探し出したり治療(指導)をしようとすると,誰かが悪者になってしまいそうな話になりがちで,本来の「その人」のための話し合いになりにくい面もあるが,未来を見ながら,やりたいこと,やれること,やったほうがいいことを考えのは楽しいし希望がもてる。
決して,「愛着モデル」がよくて「医学モデル」がよくない,ということではない。医学モデルで診断し,症状から病名が付けられると,周囲からある一定の理解が得られることもあり,その人への共感的な理解を促す面もある,と本にはある。名前がつくと,なぜそういう症状を呈しているのかについての一定の理解が促進する面もあるだろう。それによって安心する人もいるだろうから。
物事を見るときには,ある一点だけを見るのではなくて,取り巻く周辺状況も合わせて見る,見ようとする感覚が大切だよなあと感じさせられる。ある症状に名前を付けて「これこれだ」と言えば,余計な説明はいらなくなるし,効率的?なような気もするけれど。でも,そうなってしまうと応答的なコミュニケーションは生まれにくくなる。
いわゆる一方的な「診断」「指導」みたいなイメージ。なんか「その人」がもっている力を生かし切れない感じがする。ちょっと時間がかかったりすることもあるだろうけれど,応答的なコミュニケーションを保持しながら,その人が「こうしていけばいい」「こうしていこう」「よし,やっていけそう!」みたいになっていくことが「その人本来の生き方を獲得すること」になるんじゃないかと思う。
それは「愛着モデル」であろうと「医学モデル」だろうと。
2017-08-19
朝のチェックイン
1学期は,いわゆる「業前活動」は設定していなかった。というのもすべての子どもたちがスクールバス通学で,おまけに遠方ということもあり学校到着が遅かったから。
新しい校舎も完成し2学期からは少しだけ近くなるので,子どもたちの登校時間も若干早まることになる。そこで2学期からの「業前活動をどうするか?」を考えている。
8:15~8:30の間。15分間。
今までの経験だと,曜日で振り分けてクラスごとに読書をしたり,スキルタイムという名前で漢字練習や計算練習をする時間にあてていたりした学校が多かった。しかし,うちの学校は全校20人。クラスごとに別れてやっても,2~4人でやらざるをえないところがほとんど。なんかさみしい。
それに,本校の学校教育目標は「自ら学び,共に歩み,未来を拓く子どもの育成」。15分の業前活動とはいえ,ここに直結するものでなければならないはず。
ふっと思いついたのは,
「なんだ,全員で朝学習会をすればいいんだ」
ということ。1年生から6年生までワークスペースに集まって,始業前にちょっとウォーミングアップ。そんな感じ。
子どもたちにとっては,朝のチェックイン,みたいな位置づけになる。朝,全校20人が顔を合わせ,学習を通してちょっとした会話・対話をする。お互いの今日の感じを掴むのにいいかもしれない。
朝の時間を使ってそれぞれ学びたいことを決めて,学ぶ。学ぶこと,練習することを自分で決め,計画的にやれるようにだんだんとしていくイメージ。もちろん初めのうちはインストラクションをしたり個別の対応も必要かも知れないけれど,異学年の先輩がいれば,慣れるまではそんなに時間がかからないだろう。「自ら学ぶ」ということは,自分で自分に合った学びを選択し,計画的に続けることでもある。それがその先の「生き方」にもつながって行く。みんな同じように与えられたプリントを「ただ」することでもないし,「やりなさい」といわれたことをすることでもない。
その時間は,担任の先生は(忙しければ)授業の準備をしていても,事務的なことを済ませていてもOK。教務主任の私がそこで子どもたちをみていればいい。(私だって子どもの学びにかかわっていたいし笑)もちろん,みんなで一緒に子どもたちの学び合う姿を見ながら喜んだり励ましたりすることもできる。全教員が全児童の担任である時間。
異学年で,学び合う時間。年上が年下にアドバイスする時間にもなるだろう。「みんなが頭良くなる時間にしよう」ということ。「共に歩み」である。自分だけできればいい,ではなくて,「みんなが」できるようになる。そのために,お互いがサポートし合う。前をゆく者,後を追いかける者。そこに優劣はない。
そういう時間を積み上げて行くことが,やがてその子の「未来を拓く」につながるはず。つながるように,私たちが意識してその時間を設定し,「つなげていこう」と子どもたちの語り続ける。そんなイメージ。
15分という時間は短いけれど,それが連続してあればそう問題はないかも。「続きは明日」でいい。その時間だけで全てを完結しようと思わなければ15分でもいい。「続き」はあるから。
この業前活動プランは,まだプランのまま。ある先生に話したら
「あ,それいいね!」
賛成してくれた。
学校教育目標から考えると,クラス個別の「業前活動」よりも,こっちのほうがいいだろうと思う。超少人数だから,各担任がいつでも子どもに関わっている必要もない。そのほうが良いこともある。
いずれ,自由参加の,「放課後学習会」にもつなげていきたいいけたらいいな。
全員の子どもたちが,継続的に学び合う時間になるといいし,だんだん合同朝の会みたいな感じになるといいなあ,とも思っている。
2017-08-17
道具は夢じゃないね,やっぱり
ドラえもんの「道具」は,「夢」を与えたか?
「明日があるさ」(重松清)の中には,そういう問いかけが出てくる。

- 作者: 重松 清
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
のび太の道具の使い方は「夢」を叶えるものだったか?
スネ夫やジャイアンが「道具」を使えば,「夢」を叶えることにはならないのか?スネ夫やジャイアンだって,「夢」はあるよね。
自動車は「夢」を叶えたか。
ナイフ,はいい道具?悪い道具?
原発はどう?
核兵器すら,「平和のために必要」という人もいるかもしれません。
人工衛星を飛ばす技術と,ミサイルの技術ってにていたんじゃなかったかな?
「人工衛星」だっていろいろあるしね。
うーん。道具は道具。
道具は夢じゃない。
やっぱりそうだな。時々ごっちゃになってしまうよね。
道具の先に何があるか,何を見たいか。
それはけっこうシンプルだと思うし,実は全ての人と共有できる絵じゃないかな。
2017-08-14
「おーい,田中~」
今月初めの『学び合い』フォーラムin関西。
西川先生の講演で印象的だった言葉は
「おーい,田中~」。
うろ覚えですが,たしかこんな話の中での台詞でした。
会社が倒産した○○さん。中学校を会場にした同窓会に姿を見せません。心配した仲間が
「おい,○○はどうしたんだ?」
と他の仲間に聞きます。
「○○の会社が倒産したらしい。それで落ち込んでいるみたいだ。」
と。
すると
「何だよ,しょーがねえなあ。ちょっと○○呼んで来いよ~」
おくれてやってきた○○に
「おいおい,なんだよ~。え?会社が倒産して困っているんだって?俺たちに任せろよ~」
「あ,そうだ,たしか田中の会社で人がいるって言っていたよなあ。」
「あ,そうそう!」
「ちょうどいいじゃねえか。あそこに田中いるじゃねえか,おーい,田中~。○○おまえのとこで頼むよ~」
そんなような話。
だれかが困っていれば,その時に誰かが声をかける,サポートする,助ける。そのようなコミュニティの基盤を,学校なら作れるし,学校しか作れないし,そのようなコミュニティ作ることが子どもたちのこれからの幸せに直結する,という例え。
地域丸抱えでセーフティネットをはる,っていうことでもあると思う。
自分事ではあるが,最近,自分の大きな課題でありながら専門的な知識がまるでない分野のことについて,困っていた。最近,学校教員以外の方々と一緒にお話したり学ばせてもらう機会が多かったので,そのつながりの中である方に相談をしたところ,そこからさらに複数の方々につないでくださり,専門的な視野や技能で大きな大きなサポートを得られ,気持ちがずいぶん楽になったことがあった。
その課題は,これからもきっと続くし,解決とはならないものだけど,その方々の存在は本当にありがたいし,それらの方々の親切な申し出と行動には本当に感謝している。だから,いずれ,私ができることでお力になれることを探し,お返しできるようになりたいと思うのである。
そして,それは,直接その方々に向けたことでなくても,いいと思う。めぐりめぐるから。
そんな時に,この
「おーい,田中~」
を思い出したのであった。
2017-08-06
物語を続ける
「ここまできた」
『学び合い』フォーラム。
西川先生の話は,これが教育フォーラムか,と思うくらい。
その内容は,これから予想される未来社会の話。
『学び合い』を知らずに参加されている方にとっては,あまりにもぶっ飛んだ話で,
「え,何何??」
だったかもしれない。「刺激」ですな。
こういう話を,教育系フォーラム,研修会でもうじき語られるようにになっていくのだろうとも思う。
さて,西川先生の講演の後は,ちょんせいこさん
https://wbmf.info/と阿部隆幸さん(あべたかさん)の対談。
ちょんさんと,あべたかさんが,
『学び合い』フォーラムで
ファシリテーションを語る
「ファシリテーション6つの技術」を語りながら
『学び合い』を語りながら,
ホワイトボードに書いている
オープンクエスチョンを語っている
ホワイトボード・ミーティング®のフレームで対話の場をつくっている
このシーンは,私に取っては感動的です。
思えば震災後,東北青年塾の阿部さんから連絡をいただき,宮城・東松島市でせいこさんの講座開催仲介をしたのでした。
「震災後の宮城の先生方,子どもたちに,幸せな子ども時代につながるファシリテーションを届けたい」
というせいこさんの気持ちで,その後何度も宮城に足を運び種をまいてくださり,今があります。
西川先生もそう。震災後に石巻河北総合センターに来てくださり,『学び合い』の考え方を集まった先生がたに伝えてくださった。その中に,今宮城・東北で『学び合い』の中心的な役割をしてくださっている仙南の五嶋さんもいたことも,私にとっては物語。
『学び合い』の「一人も見捨てない」は,震災後の宮城・石巻にとっては,まさにリアルな現実。
昨年の『学び合い』宮城フォーラムでは,震災直後から石巻入りしてくれたプロジェクト結・中川さんと,同じく震災支援の一環で宮城で登壇してくださった岩瀬さんが対談。
もちろん,人が人を呼び,つながり,今となっているから,きりがないのでここには書かないけれど,本当に様々な人の思いと活動が形になり重なり合っての「『学び合い』フォーラム舞台上のせいこさん・あべたかさん」だった。私の中では震災を背景にした,昨年フォーラムの続き,という感覚。
これは,「私の中」の物語。
震災では,私は信任のころからサークル活動でお世話になっていた,尊敬するY先生をなくしました。本当に尊敬すべき方。その方から学びたい,と思い,私は当時の沿岸部雄勝小から大川小に転任すべく異動願いをしましたが,かなわず,内陸の学校に転任。そこで震災。大川小はもちろん,私がそれまで赴任した全ての学校は津波で大きな被害を受けました。
そこから,私の,私の中の勝手な物語は始まっているんですよね。
「震災であれだけ多くの方々が命を落とし,被害をうけた東北。震災直後は,『生きて学校に通い,友だちと学べる』ことがどれほど価値のあることかを,石巻の学校関係者は味わいました。だからこそ,震災前に戻るのでは足りない。震災より一歩前に進まないと,多くの方々に申し訳ない。」
そんな中で,その方向性を示してくれたのが『学び合い』の「一人も見捨てない」と,学級ファシリテーションの「幸せな子ども時代」でした。
まさに,一人でできることではないから,「みんなで」であり,お互いに「エンパワーし合う関係づくり」を通して長く長く続けていくしかないことです。
そんなことを思い返しながら,舞台上のせいこさんとあべたかさんを見ていたのでした。確実にお二人とお二人につながる本当にたくさんの方々は東北を支えるベースをつくってくれている,と感じるのです。
もちろん,これは「私の」見える世界,物語。違う方には違う見える世界があるし物語があります。だからこそ,その世界・物語を対話を通して共有しましょう。そして,それぞれの「一歩前に」を実現するイメージ。
私の「物語」の軸は震災。それはたまたまその当時,石巻で学校の教員をしていて,大事な方を失い,お世話になった地域が大きな被害を受けたから。他者には他者の物語がもちろんあります。
物語の共有。エピソードの共有。情景の共有=情報の共有。
西川先生の講演は,教育フォーラムとして,ぶっ飛んでいました(笑)。でもそこには西川先生の物語,エピソードがあるから,説得力があるし,何よりも迫力がありました。だから参加した方々の中には
「現実的にその「ぶっ飛んだ」世界をイメージして学校や教室,地域を見ていく必要があるんだな…」
と伝わった方もいるでしょう。
無理だと思うことも,みんながその気になればきっとできそう。そんな風に思います。
「楽しいクラスをつくりたい?できるんじゃない?みんなが一人残らずそう思えばできるよ。それぞれがそれぞれの『楽しい』って何か話したり,楽しかったら『何で楽しかったのか』,楽しくないことがあったら『何で楽しく亡かったのか』を話したりしながらやっていけば。少なくとも前には進めるよ」
そんな風に,子どもたちには言ってきましたし。たぶん,それって何でもそうだと思うんですよね。
「みんなでやればなんとかなる」
一人一人の強みを活かす,活かせるような場とプロセス」をつくる。
やっぱり,『学び合い』×ファシリテーションになった』笑
「ここまで来た。さあ,次いこー」
私の,そう,私の物語は次のページに入ります。
2017-08-05
ぎりぎりまで迷う
本日は『学び合い』フォーラムin関西。
私も参加させていただきます。
力不足でありながら,私も分科会を持たせてもらっているので,どういうことを伝えようかとこの1か月考えてきましたし,内容もいったんは決まってからもその都度思い直して変えてみたり。
大阪にくる間にも,また思い直して変えたり,また昨日の晩にも変えたり。結局,「どうしたらいい」のかは,分かりません。
ただ,教師がファシリテーターになる,ファシリテーターになろうとする意識を持つことは重要,と思っているということをお伝えしたいんだということです。
どんなファシリテーターか,はそれぞれでいいと思いますが。
そして,教室であれば子どもたちがファシリテーターとしての練習を学習を通して体験的に学ぶこと,教師であれば会議を通して体験的に学ぶこと。お互いがお互いをエンパワーし合えるような関係をどうやって築いていったらいいのか,ということ。それをトライアンドエラーの中で学んでいくこと。
明るく楽しいコミュニケーションを積み上げた先に,辛くて困難な課題についても話し合えるようになります。いきなり,は難しい。コミュニケーションの量が確保されて,質へと転換します。時間はかかるものだし,学習や会議などの中だけで」できるものでもないかもしれません。だから日常のコミュニケーションを良好なものにする。だから,大人も子どももファシリテーターとしての基本的な技術を学び,知っていること学び続けていくことって大切だと思っています。
先日は,ある会議を見学する機会をえました。ファシリテーターが存在する会議でホワイトボードを使った会議です。参加者みんなが顔を上げ,見合い,一緒に課題について意見を出し合う話し合いでした。話し合いの最後には,参加者全員がお互いに一言ずつみんなに感想や気付きを伝えていました。
子どもにとっての授業は,大人にとっての会議かもしれません。それぞれが参加し,学び合う授業,会議は双方向のコミュニケーションがあってこそ成立する,そんなことを強く感じる機会でした。
双方向のコミュニケーション,聴き合う関係づくり。
そんなことを分科会ではお伝えし,一緒に考え合えるといいのかなあと思っています。ぎりぎりまで迷います。
2017-08-04
明日は,『学び合い』フォーラムin関西
昨日は,宮城県協働教育コーディネーター研修会に参加。
内容が濃く,たくさん考えることもできたし,今後どうしていくといいのかも,感じられるよい機会となった。
まだ十分整理し切れていない面があるので,これから。
学んだこと確かめたことを,今一言でざっくりと言うと…。
「手伝って!」
て言えることがすごく大事。もちろんそれだけでなく,
「手伝ってもいいかな」
って思ってもらえるようになること。
そこに,何を目指してそうしているか,とか,日常の良好なコミュニケーションとかが,すごくかかわってくるんだよなあ,ということ。
『学び合い』フォーラムin関西でも,そんなことを伝えることになるだろう,と。
今の今まで,ずっと悩み ちょこちょこと変えたりしているけど,最後はそのあたりになりそう。
2017-08-03
「強みを強化する」
先日のホワイトボードミーティングケース会議の学習会でのキーワードは「強みを強化する」でした。
「強み」というと,一般的には,「よいところ」「優れているところ」と捉えがちですがど,ホワイトボード・ミーティング®のアセスメントスケールでは「好きなこと」「普通にできていること,できていたこと」も含まれますし,むしろそこに目を向けるようにします。
ファシリテーターとしては,その「普通にできていること,できていたこと」も「強みである」という見立てを参加の中で共有し「その強みを強化していこう」というプロセスを作ることが役割。本当にそこ,大事だなあ,と思いました。
普通にできていることも強み。それを,共有してもらえるだけで,困りに困ってどうして良いのか分からなくなっている時でも,パッとやれること・やれることが見えてきます。霧が晴れるように,どちらに進むのかが見えてくる,そんな感じ。そうなると,まずは一歩が踏み出せます。
ファシリテーターは課題を解決してあげる訳ではなく,話し合いの参加者に内在している力を引き出すのだなあ。
「ファシリテーターは,見立ての一致をすることでエンパワーするプロセスをつくります」
とのこと。
「ここが強みともいえるね」
「なるほど,確かにそうだね」
と,強みを「強み」として共有することが,一つの強化でもあると感じました。
j授業でも,クラスでも,学校でも,職場でも。「困っているから,前に進める」という認識は,この「強みを強化する」プロセスをくぐることでもあるのだなあ,と思いました。
2017-08-02
「大切なのは№2」
この間の,イエナプラン全国大会で,あるプレゼンの中で出会った言葉。
「大切なのは№2」
誰かの願いや思いを叶える,前に進めるために自分が何ができるかを考えることだな。
「エンパワーの法則」
他者をエンパワーするプロセスをつくる,そういうことだな。
「大切なのは№2」は,「自分が№1」に立つ,ということではない。他者の強みを活かす,活かせるようにような場をつくる,エンパワーするプロセスをつくる,そういうことととらえたい。
それが,自分にとっても楽しいこと。
2017-08-01
「困ることがあるから,前に進める」
ちょんせいこさんのホワイトボードケース会議講座。平日夜からの2時間,というショートバージョンだったけれど,得ることやはり多し。
「この人の困り感は何か,ということなんですよねえ。人は困ると前に進めるんです。困ることがあるから,前に進めるんですねえ。」
困ることがあるから前に進める…!
そうか…。困っていることがあって,そこからどうしたらいいのか皆目見当が付かなければ,不安がたまる一方。でも,この先どうしていきたいのか,どうしたいのか,何ができるのかが見えてくると,一歩前に進めることになる。
ファシリテーターは見立ての一致を図ることで,参加者をエンパワーする。解決策を示すのではなく,参加者である自分たちに力があることを気がつく,そんなプロセスをつくる。
うーん,そうかあ。
子どもたちには
「分かることもあったけどまだ分からないことがあるんだよね,くらいなほうがちょうどいいんだよ。全部分かりましたでは,勉強が足りないってことだと思うよ。」
なんていうこともあるけど,それと同じようなものかなあ。
「ファシリテーターは見立ての一致を図ることで,参加者をエンパワーする。解決策を示すのではなく,参加者である自分たちに力があることを気がつく,そんなプロセスをつくる。」
見えなくなっていることを,見えるようにするお手伝い。そんな感じかな。
新しい気付き。