2017-01-09
成人式とタイムカプセル
出かけるまで,ドキドキして,なんとなく行くのにはばかられたというのが正直な気持ちかな。
何でだろう?
石巻市河北地区成人式に参列。今回成人する若者たちは,私が1年を通して『学び合い』に取り組んだ最初の学年。私にとって『学び合い』初年度のクラスの子たち。
私自身が必死だったとき。
「一人も見捨てない」
「みんなができる」
そして
「結果を出す」
という言葉と現実とのギャップに,苦しんだ1年。「みんなが」と言いつつも自分の『学び合い』を成立させるのに必死,そんな感じだったと,今は感じる。当時はそんなこと,気付きもしないんだけど。
うまくいかなくなると,「信じる」という言葉にすがり,「信じた」のか「預けた」のか「逃げた」のかよく分からない状態になったこともあった,と思う。今では。
だから,振り返っても,
(十分なことができなかった)
という思いが自分の中のどこかにあるのだろう。自分なりにはかなり,一生懸命にやったんだと思うんだけど。というか,その一生懸命さが今思うと押しつけっぽくなっていたのではないかな,という思い。
成人式式典が終わった後には,当時の小学校に集まりタイムカプセルの開封式。
タイムカプセルは,6年生当時,
「また,再開できるように。成人式の日に開けよう」
ということで決まった。
・ちょっとドキドキ感のある場所
・誰にもみつかる恐れがないところ
・きちんと安全に保管できるところ
をみんなで検討し探した(ような気がする)結果,体育館の床下に隠すことにしたのだった。(これは極秘で)
体育館に行く前に,校長室に三々五々集まってきたかつての6年生と対面。近況を尋ねたりなんだり。
「介護の仕事に就いています。」
「看護の勉強をしています。」
「大学で工学学んでいます」
「建築の仕事をしています。」
「保育士めざして勉強中」
などなど。
みんなそれぞれ,自分の道を歩いているんだな,と思い,うれしい。もう私が出る幕じゃないんだよね。
タイムカプセルを床下から探し出し,中身を取り出しながらワイワイやっている彼らを,ちょっと離れて見ている,そんな感じ。そこに積極的に入っていくのはなんか違う気がして。彼らの時間だから,とも思ったのかな。そこに私もいてもいいんだろうけど,そういう時に一歩引くんですよね,自分って。性格の問題かな…。
「あ,先生,これ!」
とタイムカプセルの中から出して手渡されたのは,クラスで出していた一枚文集「十人十色」の原稿束。
(ああ,原稿,ここに入れていたのかあ。探してもないはずだ…)
と。
原稿をいくつか読み返してみる。子どもたちの日記と私のコメントが中心の紙面構成なので,その時のことを結構リアルに思い返すことができる。
(なんだ,わりと面白い日常だったんじゃないか)
(なんだ,わりと頑張ってはいたんじゃないか)
と,ちょっと安心(笑)
3月,卒業式間際の最終号には
「聞き飽きたかもしれませんが(笑),いつでも『みんな』を大切にしてください。学級で生活するときは学級のみんなを,そして学校のみんなを。もちろん家族のみんな,地域のみんな,日本のみんな,世界のみんな…。「みんな」が大切にされる中で,自分も大切にされるのですからね。」
と,書いてあった。
今と言っていることは,ほぼ同じであることにも安心。このことをこれからの子どもたちにもきっと伝え続けてくことになる。
最後に,代表の子が
「これから,またみんなが集まれるように,このタイムカプセルに新しい物を入れておきましょう。次はまた20年後にこれを開けます!」
ですって(笑)
私のとっての『学び合い』初年度のクラス。子どもたちに苦労をかけたことも本当に多かったはず。
でも25人中23人が出席してくれ,欠席した2人について私が
「○さんと,□さんはどうしてるの?」
とたずねたら
「○さんは,あとで△君が家にいって声掛けてみるって。□さんは結婚したんですよ~」
とのこと。
そうやって即答してくれたことが私にとっては本当にうれしい。
これからも「みんな」を大切に,尊重しながら「みんなで」前に進んでほしいな。応援します。