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桐生の研究室 RSSフィード

タイトルを変更しました。 学校現場から大学へ籍を移して5年 日常生活と研究について語っていこうかしら。 kiryu☆juen.ac.jp(←☆を@へ)へ下さい。

17年12月22日(金)

ドアでの立ち話

実践と理論が結びついた瞬間に立ち会ったので報告する。

K教授とのドア会話

今年度定年退職なさるK教授が書かれた原稿や授業での資料をいただいたり,

それに関するお話を聞いたりすることがある。

お話を聞くというよりは,廊下ですれ違ったときの立ち話のような雰囲気で,

研究室のドアをノックされ,

先生は,いつも部屋の中に入るではなく,

開いたドアを手で閉まらないように押しながら話しをするのである。

さて,今回は。

K教授が取り組まれている「仮説」について

本学での中等理科指導法の1場面で

独立変数従属変数が比較的見えやすい物理の事象ではなく,

変数が見えにくい生物の観察で扱ったときの授業内容であった。

「生物の観察を,ただじっくり見るだけで終わりにしている方が多い」

と先生はおっしゃる。

先生が実践した中等理科指導法のお題は『中1の観察「茎の作りを観察しよう」で独立変数従属変数を同定しよう。』である。

この解答は,ここには書かないが,

お話をお聞きしながら,自分の中学校教師として行っていた実践に思いを馳せていた。

当時中3の観察『いろいろな細胞』の一場面である。

この授業は,私が修士でいたM2の2001年の5月連休明けに,

当時学部4年のH本さんが,

私の授業を1週間録画録音して,

スケッチ力の向上というテーマで卒論を研究していたのである。

(※H本さんの卒論やN川先生の書籍に内容はあります)

スケッチの力を高めるために,

「『容易から難解』な構造」へと細胞を観察するようにしていた。

しかも,スケッチの参考に教科書の写真も見ていいし,

友達のスケッチも見ていいとしていた。

スケッチ力を高めるために,「教科書の写真を見せるのか!」

という方がいるかと思うが,見ていいのである。

見て写していいのである。

写真の形を1本の線で表現するのは,

顕微鏡下だけの像を参考にするのではなく,

様々な像を参考にして,1本の線で描くことでスケッチ力は向上すると考える。

しかも,描くことがメインではない。

書きながら私のお題をクリアするために,メモと説明が必要なのだ。

お題は,

『前時の細胞と,今回の細胞の違いを誰にもわかるように説明せよ』

である。

また,学習展開として細胞の観察順は,

染色されていないタマネギの鱗片葉

染色されたタマネギの鱗片葉

同じ葉であるオオカナダモの葉(原形質流動を起こさせてある)

同じ葉であるムラサキツユクサの葉(気孔が見える)

人のほほの細胞

そして,もう一つ,教師がスケッチへ,ABCと評価をして書いて返却する。

スケッチが向上していくのである。

この実践をK教授と立ち話をしながら,思い出した。

スケッチ力を向上させるための手立てを,

K教授の『仮説』という点で改めて眺めると違う世界が見えてきた。

観察の中で教師が意図的に条件を変えることで,説明仮説が生まれていたのである。

「スケッチ力の向上しか考えていなかったけど,仮説を意図的に生じさせていたんだ」

と思った瞬間,生物の観察も天体の観察も,

様々な授業で行っていた観察が,

「仮説」が生じるように展開を仕組んでいた自分がいたのである。

子どもが意欲を失わずに観察していたのは,この仕組みなんだと,納得。

実践と理論が結びついた瞬間である。