西川純のメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード

西川純です。新潟県上越市の上越教育大学の教育実践高度化専攻(教職大学院)で『学び合い』を研究しています。諸般の事情で、このブログのコメントは『学び合い』グループのメンバー限定です。メンバー登録は、いつでもOKです。ウエルカムです。なお、メールはメンバー以外にもオープンですので、いつでもメールください。メールのやりとりで高まりましょうね。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。西川研究室はいつでも参観OKです。 詳細は http://www.iamjun.com/をご覧下さい。 もし『学び合い』グループに参加される場合は、 http://manabiai.g.hatena.ne.jp/をご参照ください。
ツイッター http://twitter.com/jun24kawa
『学び合い』メールマガジン参加者募集中!(無料)http://www.mag2.com/m/0000270912.html
『学び合い』マップ募集中!(無料)http://manabiai.g.hatena.ne.jp/kokohagw/
授業公開の仲介のガイドライン http://dl.dropbox.com/u/352241/manabiai-data/koukai.pdf
だめで元々で、とりあえずドロップボックス(http://db.tt/bMZAZwx)とjimdo(http://jp.jimdo.com/)の無料アカウントを登録してみてはいかがでしょうか?実に簡単ですから。

本格的にトライする人も多くいると思います。その際、人とのつながりが大事です。身近にいる人と繋がれるとありがたいですよね。『学び合い』を実践される方は、『学び合い』マップ(https://www.google.com/maps/d/edit?mid=zDInXkSSxyO4.kNDji5uDNm0Y)に、是非、登録下さい。登録は、『学び合い』マップ登録フォーム(http://form1.fc2.com/form/?id=77081b4d4f40dd2f)から出来ます。  「私なんて、人になんか教えられるレベルに行っていない」と思う方へ。だからいいんですよ。一番知っている人が、一番の教え手ではないことは『学び合い』を実践しているならば、子どもを見れば分かるでしょ。それに、教える必要はないのです。共に学び合えばいいのです。いや、愚痴を言ったり、笑ったりする、それでいいのです。  是非、一人でも多くの人がマップに登録下さい。強く、強く、お誘いします。

18/08/15(水)

[]『学び合い』の組織 14:37 『学び合い』の組織 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 『学び合い』の組織 - 西川純のメモ 『学び合い』の組織 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 何度も書いたことですが、最近書いてないので書きます。

 『学び合い』の実践者のネットワークは全国に広がっています。FBでの『学び合い』グループは教育のグループとしては最大でしょう。

 しかし、不思議とは思いませんか?全国的な組織がありません。あるのは各地の『学び合い』の会です。それも、いつでもだれでも作っていいのです。誰に断る必要もありません。結果として同じ都道府県にいくつあってもいいですし、先にできている会の承諾は必要ありません。やりたい人がやればいい。だから、その会の代表や世話人という人はいますが、全国的な組織の役員はフォーラムのお世話係ぐらいではないでしょうか?しかし、それも何らかの会議や個人の任命に基づく者ではなく、手間のかかる仕事を「私がやります」と手を上げ、まわりは「ご苦労様」と思っているだけ。当然ながら何の権限もありません。それは各地の代表や世話人も同じです。さらに当然ながら全国レベルの代表、世話人、会長はいません。

 私が会長だと思っている方もおられるかもしれません。でも、違います。『学び合い』の古手の人は上記のことを知っています。だから、全国大会のフォーラムで私を紹介するときは「上越教育大学教授 西川純」で「西川会長」ではないでしょ?

 『学び合い』ネットワークの中でも役割の重さ、影響力の大きさは一人一人違います。しかし、一般社会とは違って、何らかの組織図によって定められているものではありません。出身大学・研究室によって定められているもではありません。それは、その人が今までに何をなし、今何をなそうとしているかによって定まる「敬意」によって定まるものです。まあ、「あの人がそういうだったら、そうしよう」というものです。

 SF作家のホーガンが描く「断絶への航海」のケイロン社会が、私の思い描く脱工業化社会の理想像としてあります。だから『学び合い』の全国大会であるフォーラムを開催した頃から一貫して固定的な組織を作ることを拒否していました。そして、その意味を多くの方々に語り続けています。

 固定的な組織がなければ維持できないようなものであるならば維持しなくていい。時代の必然性があれば、固定的な組織がなくても維持・発展するはずです。だから、日本で一番小さい国立大学の一人の教師が始めたことが日本中に広がっている。

http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20150815/1439592516

[]多様性 14:37 多様性 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 多様性 - 西川純のメモ 多様性 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 最近は前に比べれば少なくなりましたが、私のいるところで実践発表される方が「西川先生には違うといわれるかもしれませんが・・・」とか「西川先生から叱られると思いますが・・・」と言ってから語り出す方はいます。しかし、絶対にそんなことはありません。

 全国の皆さんに、古くからの『学び合い』実践者の方、西川ゼミのOB/OGの方に申します。私がブログ等でそんなことしたこと一度でもありますか?いや、酒席の雑談でも言ったことはありますか?「無い」と断言します。色々な方から「○○さんの『学び合い』は西川先生のとは違いますよね」と言われることは少なくありません。私は「たしかに私とは違う(もしくは「私の趣味とは違う」)。でも、現実の子どもを目の前にしているのは○○さんだ。だから、きっとそれが正しいと私は思います。どちらが正しいかは時間が決める。もし、○○さんのがよりよいと思ったら、その瞬間に私は過去の自分を捨てるよ。『学び合い』はそうやって脱皮して、成長したのだから。世の中には色々な人がいる。入り口は多様の方がいい。我々が願っているのは一人も見捨てない教育と社会なのだから。」と言っているはずです。私のこのスタンスはぶれずに一貫しています。

 第一、我々は子どもに対して「多様な人とおりあいをつける」ことが大事だと教えているのです。みずからがそうしなければ。

追伸 ちなみに社会科学である教育学、その実践である教育において「正しい/正しくない」を最終的に決めているのは論理的な結論でもなく、自然でもありません。どれだけの人がそれに賛同し、社会を変え、その影響が永続するか否かによって定まるものだと考えています。と思っているので、学術論文のみならず、教師用・保護者向けの本を書いています。

[]新規採用者 11:04 新規採用者 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 新規採用者 - 西川純のメモ 新規採用者 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 教師の方だったら、人生で一番大変だった年はいくつですか?

 おそらく、新規採用の1年であることを上げる人は多いと思います。

 何も分からず、いきなり担任、校務分掌、部活顧問を任される。冷静に考えれば、無茶ですよね。だったら、時間講師で始めることもありだと思います。

[]道徳 10:26 道徳 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 道徳 - 西川純のメモ 道徳 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 教師の発言・板書が大部分を占めている今の授業での道徳は無意味です。今の授業でできるのは「そうすべき」と思わせることです。でも、「そうする」にするには主体的・対話的な授業であり、『学び合い』しかそれができないと思います。

 何故でしょうか?それはホモサピエンスの生存戦略に根ざしています。

 考えてみてください。「いじめ」が駄目なことはみんな知っています。知らない子どもがいると思いますか?でも、「いじめ」は無くならない。その子どもたちに、もう一度、「いじめ」は駄目であることを教師が語って変わると思いますか?絶対に変わりません。

 人がどのような行動をするかは、正しい/正しくないで決めません。自分が所属している集団の多くがどのように行動するかで決まります。なお、いつもながら根拠俺で私は書きません。詳しくは、「理科だからできる本当の「言語活動」」(東洋館)の第2章、「『学び合い』道徳プラン」(明治図書)の第1章をお読みください。

[]アマゾンの採用基準 10:26 アマゾンの採用基準 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - アマゾンの採用基準 - 西川純のメモ アマゾンの採用基準 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 アマゾンの面接対策(https://gigazine.net/news/20180814-amazon-preparing-interview/)が公開されています。これって非常に合理的だと思います。

 アマゾンが求める能力は生得的(つまり生まれつき)ではないことを知っています。トレーニングによって得られる能力だと知っています。だから、公開すれば、アマゾンに採用されたいと思う人はトレーニングします。面接ではトレーニングの結果としてアマゾンが求めるレベルに達した人を採用すればいいのです。即戦力を獲得することができます。

 日本はメンバーシップ型雇用が神武景気からバブル崩壊までは続いていました。その場合は自社に合わせるのは企業内教育がやっていました。だから、学歴フィルターのようなおおざっぱな方法でよかった。企業内教育がないジョブ型雇用の場合、即戦力を求めます。

 日本でもこのような雇用が広がれば、無節操な併願はできなくなりますね。

 私はこの記事を読みながら、今後は大学入試もそうなるだろうし、そうすべきだと思いました。最低限の学力保証は新テストで足切りしたらいい。というか事前に応募条件にそれを明記すればいい。2次試験の午前にスマホ使い放題の記述式問題を課します。午後に面接をするのです。面接まではスマホは利用不可にします。そして、記述式問題、面接の傾向をアマゾンと同様に公開しているのです。

 今の大学の3ポリシーは似たり寄ったりで美辞麗句が並んでいます。しかし、尖った3ポリシーでなければ企業は学歴フィルターではじくかもしれません。偏差値ではなく。第一、偏差値の信用性は2020年以降、暴落しますから。

18/08/14(火)

[]未来の教師3 17:40 未来の教師3 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 未来の教師3 - 西川純のメモ 未来の教師3 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 時間講師として一生生きようとする人は増えるでしょうか?

 私は増えると思います。

 現在、教員の中に占める「常勤的非常勤」(意味が分からない言葉ですね)は7%います。その人達が「多少収入が減っても担任・部活指導・校務分掌が無い方がいい」と思えばいいのです。そもそも、地方においては教員は相対的に高額所得者ですから。

 今、講師がなくて困っている学校は山ほどいます。それによって教育が成り立たないことを指摘する人が増えています。市場原理ですから、待遇を改善するしかありません。

 働き方改革で「同一労働同一賃金」が進むでしょう。教師のブラック勤務は給料に反映されていません。だから、担任・部活指導・校務分掌をやらないからといって大幅に減額できません。

 そんな人が7%いたとして、「そっちがいい」と思うとは思いませんか?

 卒業した先輩から話しを聞いて後輩が「時間講師の方がクール」と思い始めたらどうでしょうか?

[]未来の教師2 14:15 未来の教師2 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 未来の教師2 - 西川純のメモ 未来の教師2 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 先に書いたことをもう少し詳しく書きます。

 平均的な中学校教師の勤務時間は、勤務時間は午前8時頃から午後5時前で休憩時間を引くと8時間となります。もし、一日6時間の時間講師を担当すると、50分×6=300分=5時間となります。「同一労働同一賃金」となれば、校務分掌・部活指導・担任なしの非正規雇用職員の給与は単純に正規職員の63%になります。(実際はそれ以上になるでしょう。だって授業が教師の仕事のメンインであることは確かですから。)そして、基本的な福利厚生は同一。

 夫婦共稼ぎの人ならば、これを選択する人はかなりの数になると思います。

 今、民間企業はメンバーシップ型からジョブ型になっています。簡単に言えば、「終身雇用なんだからこれぐらいはやれよ」というメンバーシップ型から、「キッチリ働けば、キッチリ支払います」というジョブ型になっています。でも、多くが公務員である教員がどのようにシフトするのだろうと思っていましたが、ここあたりから突破口が開かれるかも知れません。

[]未来の教師 13:49 未来の教師 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 未来の教師 - 西川純のメモ 未来の教師 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 以前から田中光夫という方に興味を持っていました。正規採用を辞めてフリーランスになったのです。それがネガティブではなく、ポジティブに非正規雇用になったのです。しかし、私の「2030年教師の仕事はこう変わる!」(学陽書房)に書いたことを具現化している一つの姿だと思います。

 「教師がブラック残業から賢く身を守る方法」(学陽書房)に書いたとおり、勤務時間外の仕事はしなくていいのです。「同一労働同一賃金」が徹底されたならば、部活もせず、校務分掌もなく、担任もない時間講師の給与が正規職員に限りなく近づきます。そうなったら学校の働き方改革が進みます。また、能力がある人ならば高額で採用する時代も来るでしょう。今の時間講師の売り手市場は続きますから。

 それにしても、時代の先端を生きている人はヴィジョンがあると思いました。田中さんに了解を得て公開します。

 まだ、頭が未整理ですが、大鉱脈の香りがします。

 

西川:『突然すいません。田中さんの生き方って次の世界に対応していると前々から思っています。同時に先に行きすぎていると思いますが。何で職を辞されたのですか、そして、これから70までの人生をどう設計されているのですか?教えてください。』

 

田中:『西川さんおはようございます。

 メッセージ嬉しいです。

 公立小学校教師を辞めたのが3年前、教員14年目終了の年でした。

 その年、勤めていた学校の中で2つの学級が崩壊し、担任が病休に入りました。同時期に産休に入った方もいたため、3学級から担任がいなくなりました。

  副校長が教育委員会から講師リストをもらい電話をかけどもかけども、結局一人目が見つかるまでに3ヶ月かかりました。残りの2学級は担任不在のまま、引き続き副校長や他の担任で補教に入る日々が続きました。

 空き時間を自分の仕事に当てられない他の教師も疲弊し始め、学校全体が重たい空気に変わり始めました。

 そんな中、講師に入っていた先生が「もうこんな子どもたちと授業は続けられない」と突然来なくなり、ようやく見つかった講師も辞めてしまいます。振り出しに戻り、また3学級担任不在に。

 この状況を目の当たりにし、いち教師としてどのような働きができるか考えるようになりました。

 丁度異動の年でした。次の異動先も決まっていたのですが、どうしても日本全国に存在する「病気休職による担任不在の学級」の存在がモヤモヤと心に引っかかってしまっていました。

 これからどんどん増加するであろう病気休職教員。これには歯止めはかからないであろう。行政がさまざま手を打つも、定年退職者が増え、新規採用が増え、不採用者が減り、講師登録者が減る。慢性的な講師不足へ。

 この流れはしばらく止まらない。病気休職者の代替講師が足りないのなら、そのクラスの子達はどんな教育を受けるのだろう。

 ぐるぐる思いを巡らす中で、

 「僕が退職してフリーランスになり、困っている子どもたち、先生、学校、保護者を助けたらいいじゃないか」

と考え、1月に退職届けを提出しました。

 一番心配したのは「収入」でした。独身ですが自分で建てた家のローンもあります。先を見越して15年ローンで組んでいたため残り8年、どう払うかなぁと考えながらもどうにかなるべと割り切りました。

 フリーランサーなので副業もできますから、午前中だけ小学校で担任代替(時間講師)として働き、午後からは大学で講座を持ったり知り合いの子の家庭教師をしたりしました。

時間講師には校務分掌が割り当てられないため授業のみに専念でき、午後から丸々自由な時間。仕事終わりに昼から釣りや映画、畑仕事を楽しめました。

 3年間の中で、病気休職代替担任講師を公立5校、私立1校やりましたが、どの学校でも「ようこそ来てくださいました!」と諸手を挙げて歓迎され、去るときは「是非また来てください!」と惜しまれながら去ります。こんな待遇を受けたことは公務員教師のときはありませんでした。それほど喉から手が出るほど講師が欲しい状況なのだとわかりました。

今国外ですが、日本にいれば毎日のように講師依頼の電話がかかってきます。講師は「売り手市場」ですので、同時に依頼があった場合、即決せず状況を聞き、1番条件の良い環境を選ぶこともできますし、こちらの提示する条件(車通勤の許可・午前中だけの勤務・勤務期間等)も全て飲んでもらえました。

 当初、「崩壊学級をフラットに戻して病休明け教師に引き渡す」というのを目的として取り組んでいました。しかし、「魚を与えるよりも魚の採り方を身につけさせなければ、また同じことが起こる」と分かり、『学び合い』や協同学習、作家の時間といった「子どもたち同士が手を取り合い、どんな担任の元でも学んでいける力を身につけさせようと取り組みました。3ヶ月程度で次の学校に移る働き方に決め、年間数校回ると決めていたため、種を植える程度しかできなかったかもしれませんが、毎日書いた手書きの通信は皆んなの手元に残してきたので、それを元肥として発芽してくれていると願っています。

 今年40歳になりました。70歳までを考えるとあと30年。現在マーシャル諸島共和国の教育に一石を投じるための新たな学校づくりの布石を打っています。

 マーシャル諸島共和国の教育は悲惨です。アメリカの資本が教育に食い込んでおり、マーシャル語しか話せない、マーシャル語も書けない読めない子たちに対して、英語の教科書しか配布されておらず、子どもたちはどんどん学びから離れてしまっています。

 先日、私が所属するNPOグローメイトの代表進藤純子の勤める高校に足を運びました。数学の教科書は全て英語、高校生のほとんどが英語が読めず、小学生レベルの数学しかできないのにかかわらず、スケジュール通りに授業を進めることを教員も強いられています。

 このような状況を変えるには、現地の子たちのニーズにあった学校を作るしかない、幼児教育から作り直すしかないと考え、今、放課後に学び直しができる「学び舎」を作っている、それが今の私の活動です。

 今後、日本に戻った後は、フリーランスの強みを生かし、東京以外でも担任代替教師をしようと考えています。また、世界中で不足している「日本人学校」の現地採用教員も視野に入れて、働く方法を各国の日本人学校に教師と一緒に模索しています。

 毎年、新たな挑戦の場を探し、動き続けていきたい、そう決意しています』

 

西川:『敬意を込めて、深々と礼。もう一つ教えて下さい。

あなたのようフリーランスを大学生も選択するようになるためには、何が必要ですか?つまり、教員採用試験に落ちたから臨時採用ではなく、臨時採用で一生涯をすごそうとするために制度面を含めて何が必要かを教えて下さい。』

 

田中:『臨時採用教員として一生涯教員をするという働き方における私の考える課題は2つ。一つ目は「給与」について。二つ目は「自己研鑽」についてです。

 下のサイトは非正規教員の現状についてのニュースです。

 http://健康法.jp/archives/33098

総務省が「同一労働同一賃金」に改革を進めようとしています。そうなれば、時間講師・非正規採用教員も賞与がもらえるようになります。今後の展開に期待します。

 公務員は、少しずつではありますが給与は上がっていきますし福利厚生もしっかりしています。

 非正規教員を続けるならば、確定申告も自分で行わなければなりません。その辺も2回ほどやってみてやり方はわかりました。公務員ではない利点を生かし、他の副業も可能です。上手くやれば、収入面のリスクはそこで回避できます。

 私のように、時間講師として週20時間•午前中のみの勤務の場合、校務分掌は割り当てられないため非常に楽です。校務分掌がなければ、残業の不安もありません。自宅で教材研究すればよいのです。フルタイムで働かされるタイプの非正規教員なら、他の教師と同様校務分掌も割り当てられますし、部活動も割り当てられてしまいます。その分賞与はでますが、他の正規教員と同様の仕事量にかかわらず給与は低いので「うまみ」が少ないです。

 現在の私の給与は、14年間の経験が加味されているため一コマ2500円、1日4コマ指導するので1万円、ひと月20日働くとして手取りで20万もらってました。

 この辺の現実を学生さんが受け入れられれば、「午後からまた別のやりたい仕事」で稼ぐ、ゆったりとした時間の中で授業準備や日々の振り返りを重ねる、という働き方が継続できそうです。

 二つ目の課題の「自己研鑽」についてです。

公務員教師になって受けてきた悉皆研修(初任研・2〜3年次研・研究員など)は、非正規教員は受けられませんが、そもそも必要あったのかなと。自ら学び続ける教師であればあまり必要ないと感じるものばかりです。

 反面、同僚との関わる時間が少ない分、そこを割り切って働かなくてはならず、同僚から学ぶ機会は減ります。私の場合、民間のセミナーで学ぶ方が多かったのですが、大学上がりたての若手にとっては「学校文化」「地域文化」を学ぶ上で同僚との関わる時間は多少必要かもです。

 臨時採用教員の受け持つ学級の多くが「授業不成立」「学級崩壊」状態の学級集団です。病気休職者の後釜として採用される場合が多いためです。

 となると、そのような学級を受け持つための「覚悟」「スキル」「哲学」が必要になります。それらを身につけるための自己研鑽を、臨時採用教員をしながら続けられるかが鍵かなと。

 現在、臨時採用教員の多くが「採用試験に受かって正規教員になりたい!けどなれない」という人ばかりです。又は、結婚・出産を経て退職、教員免許を持っているので臨時採用教員として現場復帰という女性です。私のような教員経験のある元教師が臨時採用教員としてくると「当たりだ!」と喜ばれるわけです。講師先で一緒になった20代前半の若手教師からは「ガチャでスーパーウルトラレアキャラ引き当てましたねうちの副校長」と、スマホゲームに例えられました。そのくらい元教師は珍しいのです。

 長くなりましたが、大学生がフリーランサーとしての教師業を選択する場合、この二つの課題と対峙し、それらを乗り越えるすべを「働きながら探す」のが大事かなぁと考えます。

 フリーランスティーチャーはまだ誰も経験していない働き方です。フロンティアはまだあったんだなぁと嬉しくもあり、日々手探りですので不安もあります。

 共に冒険できるフリーランスティーチャーの仲間が名古屋と東京に今年度二人増えました。これで私の知る限り4名です。

 フリーランスティーチャーという病気休職者の代わりの仕事がなくなればいいなと願っています。働きながらその革新の糸口を見つけたいです。』

18/08/13(月)

[]Society5.0の教育 09:54 Society5.0の教育 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - Society5.0の教育 - 西川純のメモ Society5.0の教育 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 「個性化」「総合化」「非同時化」「分散化」「適正規模化」「地方分権化」のSociety5.0に共通する学力なんてありません。それを想定し、それを保証する全ての教育はSociety5.0における教育になり得ません。自己矛盾です。

 では、教育で国民全員に何を保証すべきなのでしょうか?

 学力ではありません。

 繋がりです。

 他人に繋がれば、他人の知識・知恵を活用できます。それによって大容量でマルチCPUの能力を獲得できます。これがあれば、重度の知的な障害を持つ子であってもSociety5.0活躍することが出来ます。国民全員が人工知能やプログラミングの専門家になる必要性はないですし、そもそも、そんなのは不可能です。

 では、繋がりを保証するには何が必要でしょうか?

 コミュニケーション力だと思われがちです。

 違います。

 たしかに、それがあった方がいい。でも、国民全員が座談や交渉のエキスパートになる必要はない。そして、そんなのは不可能です。ホモサピエンスの本能と能力に基づき150人(ダンバー数)と繋がれればいい。これだったら誰でも出来ます。だから、つながる機会さえ与えればいい。『学び合い』だったら教師の管理下で安全に、年間を通して週5日間30時間の教科学習の時間を繋がる機会とすることが可能です。

 でも、それが出来ない人もいます。例えば、重度の自閉症の人。でも、その人を仲間だと思い、それが自分にとって得であると理解出来る集団を実現することは可能です。『学び合い』では「一人も見捨てないことが自分に得(徳ではありません)である」ことを語ります。そのための中長期のヴィジョンを持っています。

私は7、8割の子どもが救われる教育ではなく、100%の子どもが救われる教育を目指しています。その結果が『学び合い』です。

 以上の様に考えているので、学力の保証という囚われから易々と脱することが出来るのです。

 

追伸 あと育児と介護は学校教育で必修にすべきだと思っています。これからありとあらゆるサービスは人工知能+ロボットに代替えされるでしょう。でも、育児と介護は肉親がすべきだと思っているからです。

追伸2 実は、もう一つあります。書くのがためらわれるのですが、性行為を含めた交際です。何故なら、生殖行動は人工知能+ロボットに絶対代替えできない唯一の行為ですから。(もちろん、これは理論的な話しです。我が子を持つ親の立場で考えれば、私自身が首をかしげますから)

[] 公正に個別最適化された学び 09:12  公正に個別最適化された学び - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク -  公正に個別最適化された学び - 西川純のメモ  公正に個別最適化された学び - 西川純のメモ のブックマークコメント

 政府の掲げるSociety5.0は、狩猟社会、農耕社会、工業社会、現代の情報社会を越えた先にある段階です。AI、ビッグデータ、IoT、ロボティクス等の先端技術が高度化し、あらゆる産業や社会生活に取り入れられた社会です。

その時代を生きる子どもたちに、共通して求められる力は

1.文章や情報を正確に読み解き、対話する力

2.科学的に思考・吟味し活用する力

3.価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力

 だとしています。これを実現するために文部科学省は

1.「公正に個別最適化された学び」を実現する多様な学習機会と場の提供

2.基礎的読解力、数学的思考力などの基盤的な学力や情報活用能力をすべての児童生徒が習得

3.文理分断からの脱却

 を推進するそうです。

 

 普通の人にはすんなり受け入れられる文章ですが、私には理解不能です。説明します。

 現実に子どもを教えている皆さんに問います。

 あなたが教えている子どもたちの中で以下を全員が獲得できると思いますか?

1.文章や情報を正確に読み解き、対話する力

2.科学的に思考・吟味し活用する力

3.価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力

 無理であることは自明だと思います。だから、それらを獲得できない子どもがSociety5.0で生きるために何が必要かを明確にしなければならないのです。ものすごくわかりやすく表現するならば、重度の知的障害がある子どもがSociety5.0で活躍するには何が必要かです。残念ながら文部科学省の文章を読んでもそれが見えません。

 さらに、今後のSociety5.0においてイノベーションを起こし、リードする人材の

1.文章や情報を正確に読み解き、対話する力

2.科学的に思考・吟味し活用する力

3.価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力

 を普通の教師が指導できると思いますが?

 以前、創造性教育を調べたことがあります。結果、わかったのは「創造性教育は不可能だ」ということです。なんとなれば、これこれこうすれば創造性が育つ、というものがあったら、その創造性は創造性ではないという自己矛盾に陥るからです。

 つまり、教師になるであろう程度の知的レベルの

1.文章や情報を正確に読み解き、対話する力

2.科学的に思考・吟味し活用する力

3.価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力

 が育てられるかもしれないというのが最大限で、国民の大部分にはフィットしないのです。

 さて、手段として

1.「公正に個別最適化された学び」を実現する多様な学習機会と場の提供

2.基礎的読解力、数学的思考力などの基盤的な学力や情報活用能力をすべての児童生徒が習得

3.文理分断からの脱却

 を推進するそうですが、どんな場を提供したとしても、教師が指導するという現状の教育では不可能であるのは自明です。が、そのような考えを持っている人は多くはないです。子どもという子どもは一人もいないのに、かってに理想的な子どもモデルを押しつけるしかありません。

 また、「基礎的読解力、数学的思考力などの基盤的な学力や情報活用能力をすべての児童生徒が習得」を全国民に与えられるなんて無理なのは教師だったら自明だと思います。

 さらに、失礼ながらパロディのように感じるのは「文理分断からの脱却」です。もし、これを一律に求めたら、数学の才能に恵まれ、フィールズ賞を狙える人材に枕草子を学ばせることが「「公正に個別最適化された学び」を実現する多様な学習機会と場の提供」なのでしょうか?

 私にとって小学生でもわかるロジックだと思うことが分からないことが分かりません。分かる人、教えてください。

 

 もちろん、報告書の中には

・学校がこれまでの一斉一律の授業のみならず、個人の進度や能力等に応じた学びの場となること

・同一学年集団の学習に加えて、異年齢・異学年集団での協働学習が拡大していくこと

など、「学びの在り方の変革」を打ち出しています。

 これを読めば『学び合い』の実践者だったら「ジャストミート」と叫びたいですが、最終的な改革の方法が

1.「公正に個別最適化された学び」を実現する多様な学習機会と場の提供

2.基礎的読解力、数学的思考力などの基盤的な学力や情報活用能力をすべての児童生徒が習得

3.文理分断からの脱却

 であるならば、何の変化もないでしょう。基礎的・基本的な学力の保証という囚われから脱してほしいな。Society5.0にはそんなのないのです。

18/08/12(日)

[]心 21:06 心 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 心 - 西川純のメモ 心 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 ゼミ生には『学び合い』は「心」だ、と言います。わけ分からないですよね。でも、私が本に書いてある全てのテクニックを全く使いません。でも、それで動いています。

 『学び合い』のセオリーがあります。それを生み出した愛と願いがあります。それさえあればいい。そうすれば2割の子どもは分かります。その子が動きます。そうすれば合計8割の子どもが動きます。

 2割の子どもは正確に心を読みます。それは安心であり、恐ろしいことです。心があれば、巧まなくても言動は一つの法則に支配されます。

[]面接 16:50 面接 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 面接 - 西川純のメモ 面接 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 「2020年激変する大学受験!(学陽書房)」(https://amzn.to/2w0SECw)に以下のような架空の会話を書きました。

 

就職出来ない学生の面接

 

人事:大学では何を専門とされたのですか?

学生:源氏物語の研究をしました。

人事:そうですか(ため息)。で、実務経験は?

学生:実務経験といいますと?

人事:実際に働いた経験です。

学生:居酒屋でアルバイトを3年しました。

人事:弊社の業務とは関係ないですね。

学生:学生時代はラグビー部に所属し、チームプレーを学びました。インカレでは7位になりました。

人事:弊社の業務とは関係ないですね。で、何か資格をお持ちですか?

学生:国語の高校の教員免許状を持っています。

人事:あははははは。そうですか。ご苦労様でした。結構です。

学生:え? 面接はこれで終わりですか?

人事:はい、終わりです。

 

就職出来る学生の面接

 

人事:大学では何を専門とされたのですか?

学生:画像解析です。

人事:弊社のビジネスと関連して具体的に説明して下さい。

学生:複数の衛星画像を用いて、今後10年間の小麦の生産量を予想するシステムの構築です。御社は現在・・・(業務との関連を説明する)。

人事:で、実務経験はありますか?

学生:私の所属する研究室は御社の総合研究所と共同で画像解析システムの構築をしております。私もフーリエ変換によるノイズ除去の部分に携わらせていただいております。そこにお座りの研究所の吉村さんには大変お世話になっております。

人事:え? あ、山際研究室の方なのですね。いつもお世話になっております。

吉村:では技術的なことを質問させていただきます。現在はフーリエ変換によるノイズ除去システムの開発をされていますが、今後の展望はお持ちですか?

学生:私自身は植物生理学を専攻しております。現在は光合成に関する研究を発展させるために物理学で確立された手法を使っています。今後さらに発展させるためには、生物学での知見を生かすべきと思います。具体的には(以下、技術的な説明が続く)

人事:ところで資格は何かお持ちですか?

学生:はい。一応、TOEFLで80点を取っています。しかし吉村さんから中国語も話せるように勧められていますので、現在、中国語も習っています。

 

 さて、架空の話しですが、架空の話しではありません。後半の「就職出来る学生の面接」は三十六年前に私が経験したことを基にしています。私の研究室は生物物理学研究室でした。生物学の研究室には珍しく、数学や物理を駆使し、コンピュータも利用する研究室です。私の研究室と繋がっている外資系企業が、衛星画像からコンピュータ処理によって穀物の生産量を予測するプロジェクトを立ち上げ、それに必要な人材を求めていたのです。

 即戦力を求める外資は昔から以上の様な面接をします。

追伸 当時、初任給が15万円だった当時に60万円出すという破格の条件でした。しかし、石坂先生からは終身雇用じゃないからね、と言われて断りました。ということで、今の私がいます。でも、これからの子ども達は終身雇用という選択肢を得られない。

追伸2 エリート用の面接もその本に書きましたが、異次元の面接なのです。

[]まし 16:31 まし - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - まし - 西川純のメモ まし - 西川純のメモ のブックマークコメント

 この前のフォーラムで『西川先生は『学び合い』はパーフェクトではありません。でも、今の教育より「まし」です、とおっしゃいます。何故、パーフェクトではなく「まし」という言葉を使うのですか?』という質問を受けました。

 私は「ここだけの話、本当はパーフェクトと思っているの」と言って、会場を笑わせた後にちゃんとした説明をしました。それは『学び合い』は常に脱皮しつつけているからです。

 私が研究の軸足を『学び合い』に移してから二十年間たっています。それから目から鱗が落ちるような発見を連続してしました。おそらく、研究者百人分の発見を経験させてもらったと思います。その結果、『学び合い』の方法論は大きく変化しました。

 私の本の大部分は初心者用の本です。その本には十年以上前に確立したテクニックを書いています。しかし、今ではその全てのテクニックは不要で「心」さえあればいい。大事なのはヴィジョンという訳の分からないことを言っています。

 そういえば、私がSNSで発進していること自体、訳の分からないことを書いています。私の発信している情報、私の本を読んで、私の専門は何ですか?と聞かれて応えられる人は殆どいないと思います。

 そのように脱皮し続けているのですから、今後も脱皮しつづけています。だから、今の『学び合い』の先に、より普遍的で完成度の高い『学び合い』が延々とあるのです。だから、「まし」とう表現を使います。

 私の好きな言葉に「自らの製品、サービス、プロセスを自ら陳腐化させることが、誰かに陳腐化させられることを防ぐ唯一の方法である。(ドラッカー)」という言葉があります。『学び合い』にどこに限界があり、具体的にはどのように現れるかを一番知っているのは私だと自負しています。だから、西川研究室の数十人が膨大なデータ収集に基づき分析し、それを日本中に広がる私の人的ネットワークで拡散し、評価し、改良し、それを集約し続けます。研究者は最先端を走っていてなんぼのものです。58歳ですが、まだまだ走り続けるつもりです。

 さて、次の一手はどうしようかな、と思いながら、思いつくまま発進しています。

 最近の一連のバカげたメモは、最終的には毎日の授業に結びつけなければならないのです。それを考えています。

[]文部科学省 16:08 文部科学省 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 文部科学省 - 西川純のメモ 文部科学省 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私の一連のメモを読んでいる人の中に、私が文部科学省に批判的であると思われるかもしれませんが、違います。

 私は文部科学省が「好き」なのです。

 私は大学院の指導教官だった小林学先生が好きですし、尊敬もしています。その小林先生は文部科学省の教科調査官となった高校の先生でした。その好きで尊敬している小林先生から文部科学省の人が何を考え、どのように行動しているかを教えてもらったのです。

 まあ、家庭で特定の野球チームのファンである場合、子どもが自然とそのチームのファンになるようなものです。これこれだからファンというものではなく、理屈なくファンなのです。

 自分のひいきのチームが連敗すると、いっぱしの野球解説者のように敗因を分析するオッチャンっていますよね。私もそれに近いものがあります。あははははは

[]巨大組織 10:12 巨大組織 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 巨大組織 - 西川純のメモ 巨大組織 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私の知る限り、外圧を受けた巨大組織の中で、自律的な改革をし続けることによって長く生き残った組織はローマ帝国です。

 ローマの場合は、原理原則にこだわらず、実利的な方法を取るということに徹した点が特異的です。当たり前のようですが、これを堅持することは大変です。実利的な方法を取るという場合、その場、その時の状況を分析し、ちゃんと考えることが必要となります。ところが、多くの場合、これが面倒なので、「先例にしたがって」とか原理原則によって判断しがちです。

 例えば、「公正に個別最適化された学びの実現」を自分たち主導で出来るのか?という問を文部科学省が組織として発せられるか?おそらく、個人としては分かっている人はかなりいると思いますが。

[]大学 09:54 大学 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 大学 - 西川純のメモ 大学 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私の講演を聴いた方だったら聞いたことがある流れです。

 少子高齢化→国内市場の縮小→長期の不景気→終身雇用制度の崩壊→企業内教育の崩壊→メンバーシップ型からジョブ型→即戦力を求める企業

 こうなったときの就職活動はどうなるかを知りたければアメリカでの就職活動を知ればいいです。

 アメリカでの就職活動での特徴は、第一に、学歴重視・成績重視であることです。

 出身大学が一流であること、修士以上の学位を持つこと、GAPの高い成績がもとめられるのです。即戦力を求めるのに学歴・成績を求めるのは大学がジョブ型に対応しているからです。大学の授業が徹底的に即戦力に関わる講義・演習です。特に修士以上になると、ケーススタディで徹底的に鍛えられます。成績が厳密で、どんどん落とされます。

 ということをしているから学歴重視・成績重視なのです。もし、上記を満たさないと企業から思われたら卒業生が就職出来なくなります。だから、します。

 第二に、インターンシップが盛んで、それが就職活動に直結しています。

 さて、上記に関して今の大学が対応しているでしょうか?残念ながら否です。今の大学は研究者養成のジョブ型教育を、研究者養成でない大学もしています。

 では、企業はどうやって即戦力の学生を求めるでしょうか?

 私は「研究室」だと思います。これは、理系ではずっと前からそうでした。私の所属した研究室も特定の企業との繋がりがあり、指導教官の推薦があれば確実にそこに就職できました。

 膨大な応募者の中でフィルターをかけるとしたならば「研究室」がもっとも安全です。

 そのような研究室を主催する大学教員はどんな人でしょうか?企業との繋がりを持っている人です。企業の講演会に呼ばれる人です。そのためには情報発信を積極的にやらねばなりません。今までは研究者に読まれる論文を書けば良かったのですが、その内容を実務に繋げた本を書き、講演を出来る人です。

 さて、このような人はどれだけいるでしょうか?みなさんの出身大学を思い浮かべて下さい。おそらく、1割もいないと思います。仕方がありません。大学研究者の評価システムは学会での業績「のみ」で評価されていますから。そうやって育てられているのです。

 大学受験の産業がその流れを知るのはタイムラグが生じます。

 そうなると、名門の○○大学に入学したから安心だと思って入学した学生が、入学してしばらくすると気づきます。○○研究室か○○研究室に所属しなければ一流企業に就職出来ない。その研究室に所属するためにはGAPは何点以上で、○○、○○という講義の成績がSであることが最低条件。また、研究室で求めるパフォーマンスを上げない場合は卒業単位が得られず、退学か他研究室に異動を余儀なくされるのです。つまり、大学が研究室という小大学の集合体になるのです。

 ただ、このような変化に関して、一点障害があります。

 それは文部科学省が入学定員に関して厳密だからです。入学した学生のほぼ全てが卒業するというモデルのもとに構築されているからです。

 さて、実はもう一つのシナリオがあります。

 それは企業・生徒が大学を見捨てるというものです。

 ジョブ型に対応している大学教員は、自分の大学の学生でない人を研究室に所属させます。その人が所属することによって自身の研究室の業績を上げられるような人です。そこでの成果をもとにその人の推薦状を与えるのです。それが学歴になるのです。さらに資格を取ったり、実務経験を積んだりするのです。この方が脱工業化社会に対応した就職活動ですね。

追伸 昔から一流の人の名刺を100枚集められれば就職出来ると言われます。そのようなものです。

[]ソフトランディング 08:41 ソフトランディング - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ソフトランディング - 西川純のメモ ソフトランディング - 西川純のメモ のブックマークコメント

 今日の朝、以下のメールが来ました。

「西川先生

おはようございます。

「安倍首相が文部科学省を潰すという話しを色々なチャンネルで聞きます。最初聞いたときはショックで呆然としました。(最近は抵抗感がつきましたが)でも、立法が見送られたフリースクールを義務教育にするという、教育機会確保法の拡充版が通ればそうなるな、と思います。もちろん、そうならないことを願っています 」

の投稿ですが、文科省が潰れたほうが『学び合い』はしやすいのかなと感じたのですが、そんなこともないですか?

先生方の意識が変わらないから意味が無いですかね?

文科省が潰れることのデメリットを教えてください。この投稿の意味をもう少し詳しく教えてほしいです。忙しいのに申し訳ありません。ちょっと脳みそがついていきませんでした。」

 

 あのメモはおそらく読み流されることを想定していましたが、食らいつく人がいるのですね。補足します。

 

 最大のメリットは移行期間に潰れる人を最小限にすることができるからです。

 ロジャーズとムーアの理論はほぼ重なります。購買者をイノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガートに分けて考えます。一点違うのは、ロジャーズはその製品を使いこなすに努力が不要な製品を対象として、ムーアは努力が必要な製品を対象としています。後者の場合はアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に「キャズム(深いミゾ)」があると考えています。アーリーマジョリティに広げるためにはホールプロダクトが必要なのです。

 子どもと保護者には『学び合い』を利用するには努力は不要です。『学び合い』を数年実践している人だったら自明ですよね。だって、経験のない西川ゼミのゼミ生だったら、どんなあれたクラスであっても2時間で変えられますから(お申しいただければ派遣します。旅費は求めます。)。ところが教師が変わるのには努力が必要です。『学び合い』は技術的には非常に簡単なのですが、意識改革が難しい。バンジージャンプと同じです。やるべきことは一歩踏み出すだけなのですが、踏み出せない。

 さて、今の行政機構の外で市場論理で広がったならば、おそらくイノベーター、アーリーアダプター以外の84%の教師がついていけずに潰れてしまいます。イノベーター、アーリーアダプターの教師もその他の教師を見捨ててしまえば腐ります。

 だから、文部科学省が斬新的な改革、ただし、保守的な人からは革命的と思える速度で改革ができれば、ソフトランディングできます。ようは現行制度で何ら問題なくできることをやりさえすればいいのですから。

 でも、難しいと思っています。だから、両方のシナリオに合わせた本と講演をしています。早くわかる人、実行する人が増えればソフトランディングに近づきますから。

18/08/11(土)

[]チェックメイト 18:18 チェックメイト - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - チェックメイト - 西川純のメモ チェックメイト - 西川純のメモ のブックマークコメント

 安倍首相が文部科学省を潰すという話しを色々なチャンネルで聞きます。最初聞いたときはショックで呆然としました。(最近は抵抗感がつきましたが)でも、立法が見送られたフリースクールを義務教育にするという、教育機会確保法の拡充版が通ればそうなるな、と思います。もちろん、そうならないことを願っています。

[]ママ友の会話 17:54 ママ友の会話 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ママ友の会話 - 西川純のメモ ママ友の会話 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 以下は架空の会話です。しかし、既にそれと同じようなことが日本で起こっており、今後増えるであろう会話です。

 

田中:お久しぶり。お互いに来年は高校3年生になるわね。幸子ちゃんはどこ受けるの?

佐藤:あの子はのんびり屋さんだから、まだ決めていないの。恵子ちゃんはどこ受けるの?

田中:あの子は○○大学だっていっているだけど、この前の模試の結果では届いていないの。あ、そういえば山田さんのお兄ちゃん東京大学に合格したの知っています?凄いわよね~。○○高校で合格したのは1人だけで、それが山田さんのお兄ちゃんだそうよ。

佐藤:うちの子も東京大学に合格したのよ。

田中:え??聞いてなかった。お兄ちゃんはたしか○○高校に進学したのよね。じゃあ○○高校で東京大学に合格したのは二人なの?一人だけだって聞いたけど。

佐藤:あの子は高校1年で退学したの。

田中:え?聞いていなかったは。何で?

佐藤:あの子が、「この学校の勉強は自分に合わない。それに進路指導の先生が昨年まで農業高校に勤めていて、旧帝大の受験のことを聞いても何も応えられない。僕でも知っていることを応えられないんだよ」と言ったので、「それなら、そうしたら」と退学させたの。

田中:え~・・・・・。で、どうしたの?

佐藤:自宅や図書館で勉強していたの。

田中:どうやって勉強したの?

佐藤:インターネットを探せば授業動画が一杯あるのよ。私も観たけど、私の高校時代の先生より遙かに上手いの。それに問題集、参考書はあるし。最近は東大生も参加するネットサービスがあるわ。インターネットのテレビ電話で分からないところを教えてもらえるし、受験傾向のアドバイスも得られる。

田中:そんなので勉強になるの?

佐藤:そりゃなるわよ。だって受験に関係しない科目の勉強をせずに、ひたすら受験に関係する科目に専念できるから。もろもろの学校行事にも参加しなくてもいい。徹底的な受験勉強ね。

田中:でも、高校を卒業しなければ大学は受験できないよね?

佐藤:そんなことはないのよ。高校卒業程度認定試験という試験があってこれに合格すれば大学受験資格を得ることは出来るの。試験科目は5教科のみ。だから、大学受験の勉強をしていれば、自然と合格できるわ。

田中:なんか、凄いけど、それでいいのかしらって思っちゃうけど。

佐藤:私も。でも、お兄ちゃんがそう願ったから応援したの。下の幸子はお兄ちゃんの勉強する姿を見ているけど、私はみんなとわいわいやれるから高校に行くって言っている。だから、幸子は高校に通っているの。

田中:へ~。でも、お兄ちゃんは一人でずっとというのは辛くないかしら。

佐藤:不登校の子どもをバックアップするNPOはこの町にもあるの。そこに行けば、年齢の違った色々な子どもと関われる。あの子は中学校の子の勉強を教えていたわ。その子は息子の姿を見ていて、高校に行かない、って言っているみたい。親御さんも、その方が良いと言っているのよ。

田中:へ~。

 

 そして田中さんは、色々なところで以上の話をします。その話しを聞いた保護者の中で、学校に行くことに辛さを抱えている子どもの保護者が佐藤さんに相談に行くようになります。増えるに従って、その地域の保護者の中で高校に行かないという選択肢が一般化します。

 しかし、このことを知る高校の先生は殆どいません。いても、「変わった親がいるね」と思う程度です。

 ちなみに、今は大学入試の話をしましたが、これは小学校、中学校の保護者でも同じです。二人子ちゃん、三人子ちゃんのママ友ネットワークの中で広がります。そして、キャズムの16%を超えたとき、一気に広がります。その時、学校は「何故、学校教育があるのか」に応えなければなりません。ちなみに、それが出来ないから「高校入試に影響するぞ」という脅し文句を使う中学校教師が少なくないのです。

 

 以上、架空の話しです。

[]シナリオ 16:49 シナリオ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - シナリオ - 西川純のメモ シナリオ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 今、OBと色々なことを話しました。その中で学校制度崩壊のシナリオが鮮明になりました。地方でも学校に行かせず、ネット上の授業動画や通信教材で学ばせる親がぽつぽつを生まれているそうです。その親はNPOを運営しているような人で、アンテナが高く、行動力のある人です。

 ここまでは私のイメージしたものと同じです。

 私にとって新鮮だったのは、学校を全否定しているわけではなく、兄弟の中で学校に行かせている子がいる一方、学校に行かせてない子どもがいるそうです。ここが新鮮でした。

 今、ネガティブな不登校ではなく、ポジティブな不登校を選択している保護者はイノベーターです。これがアーリーアダプターに広がって臨界点を超えるとパンデミックが始まります。イノベーターとアーリーアダプターの違いは、前者は理屈だけで行動しますが、後者は少数ですが実績を求めます。

 イノベーターの人とその他の人との人的接触はないと思っていました。何故なら、保護者同士の接触は学校を介している場合が多いですから。だから、ネットや本などの情報によります。ですが、弱いな、と思っていました。ところがです、兄弟の中で学校に行かせている子がいる一方、学校に行かせてない子どもがいる保護者であれば、学校を介してママ友ネットワークに繋がります。それを通して、情報が流れます。

 学校に行かない子どもが高校入試の科目に特化した勉強が出来ることが分かり、それが実際に結果として受験結果に表れることをママ友ネットワークで流れたらどうなるでしょう。そして、学校に行かなくても子ども同士が関われる場を、イノベーターの人がNPOで立ち上げているという事実を知ったら。

 ネットよりも遙かに感化力は高い。

 こりゃ、ほっておいても崩壊は起こるな、と確信しました。

[]少人数 07:15 少人数 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 少人数 - 西川純のメモ 少人数 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 かつて「少人数指導では学力は上がらない」という副題の本を書きました。(https://amzn.to/2w0QUJi)学力なんて簡単に上がります。ようはツボがどこかを分かったら。

 30人学級二つを三つに分けて二十人学級になったら少人数指導になると思っている人がいるのが理解できません。30人でも、20人でも、10人でも個別指導は出来ません。せめて5人以下にしなければ。そして、5人以下にしても成績がそれほど上がらないことは、全国の僻地小規模校の実態が明らかにしています。

 という、小学生でも分かる論理が、多くの人に理解されず、多くの予算が無駄にされていることに脱力感を感じます。

 学力向上の最大のポイントは、本人が学力を上げたいと思うことです。でも、歴代の担任が「勉強しなさい」と言い続けても変わらなかった子に対して、もう一度、教師が言うより、同級生が「一緒に勉強しよう」と言う方が遙かに有効です。

[]個別最適化 07:02 個別最適化 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 個別最適化 - 西川純のメモ 個別最適化 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 「公正に個別最適化された学びの実現」という言葉があります。でも、この言葉の主語は「学校」、「教師」だと普通の人は思ってしまう。違います。学習者です。

 そもそも動的に変化する「公正に個別最適化された学び」を求める三十人の学習者を理解し調整することなんて神ならぬ人が出来るわけありません。

 でも、分からないのだろうな。だから、いつのまにか学校にとって、教師にとって、公正に個別最適化された学びの実現になってしまう。学習者にとっては一律の学びの実現になる。いつまでたっても工業化社会の論理。

 文部科学省の方、教育委員会の方、どうか「公正に個別最適化された学びの実現」を頑張らないでください。規制を解除し、ほっておいてください。

[]天才 06:54 天才 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 天才 - 西川純のメモ 天才 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 国はイノベーションを起こす人材養成を必死になってやっています。しかし、そのレベルの人にとって今の学校教育は邪魔・無駄でしかない。思い出してください。ビルゲイツ、ジョブズがどうだったか。

 そのレベルの人材を発掘、育成するとしたならば、スーパーグローバル大学創成支援事業では間に合わない。その人達は中間管理職の上であって多くはAIに駆逐されてしまう。

 トップのトップを育てられる学校は日本にありません。せいぜいいって邪魔しない学校。だから、学校外にそのような人材の受け皿をつくらねば。

https://www.businessinsider.jp/post-165753