西川純のメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード

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19/03/22(金)

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 昨日、「受験勉強がものすごく馬鹿馬鹿しいことであることを知っています。そんなもののために息子の1年間を費やすなんて考えられません。そんな受験勉強中、心の中で「こんなの屑だ」と思いつつも、尻をたたき続けた自分を嫌でした。」と書きました。

 本日、ゼミ生から「受験勉強は本当に無駄ですか?」と聞かれたので応えました。

 まず、どんな勉強だって、それなりに役立つものがあります。しかし、その時間をかけるだけの価値があるかを考えたとき、無駄と言えるのです。1年間は、あることに集中し、戦略的に解決するというトレーニングにはなります。それなりに価値がある。しかし、2年間やるほどの価値は無いと思います。何らかの理由(例えば、部活動に燃えて9月頃まで受験勉強をしなかった)がある場合は、浪人して勉強する意味はあるでしょう。高校3年生の時に受験勉強しなかったのですから。しかし、2年かけて受験勉強しても、覚える速度と忘れる速度が平衡状態になってしまうように思います。

 私は大学では生物物理学を専攻しました。そのため、数学、物理学、生物学を学びました。その結果分かったのは、大学で学ぶ数学、物理学は、高校までに学ぶ数学、物理学とは縁もゆかりもないことが分かりました。高校までで学ぶ数学は計算法で、大学では「計算可能であるか?」を学びます。高校までに学ぶ物理の大部分(つまり古典力学)の公式は、F=mαを3次元に拡大し、微分したり積分したりすれば導かれます。大学の数学、物理学にフィットする人は、中学校から大学の教科書で学ぶべきだと私は思います。私は高木貞治の解析学概論、代数学講義、ファイマン物理に驚喜しました。

 でも、数学、物理学はまだいい。高校までで学ぶ生物は大学で学ぶ生物学と無関係です。それが証拠に、生物学を専攻する学部で生物学を必修としない大学は山ほどあります。私の時代だったら、中学校時代からワトソンの分子生物学を読むべきです。

 個別最適化した教育が実現できるならば、真性の学問を薄めて学ぶのではなく、真性の学問を早い時期から学べます。多くの人がウオッカを飲めないからという理由で、それを100倍に薄めてみんなで飲んでいるようなものです。ウオッカを100杯に薄めたら単なる薄いエチルアルコールで、美味しくありません。いや不味い。ウオッカを飲めない人は、ウオッカを飲まなければ良いのです。他のものを飲めば良い。数学や物理にフィットすることは偉いことではありません。単に相性の問題です。

追伸 小中高の数学教育を大事にしている方の多くは、大学で数学を専攻された方は多いと思います。生物物理学を専攻している私ですら上記のように感じたとしたとしたら、その方々は小中高の数学と大学の数学の違いをご存じなはずです。それなのに、数学云々で拘る理由が私には分からないのです。