西川純のメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード

西川純です。新潟県上越市の上越教育大学の教育実践高度化専攻(教職大学院)で『学び合い』を研究しています。諸般の事情で、このブログのコメントは『学び合い』グループのメンバー限定です。メンバー登録は、いつでもOKです。ウエルカムです。なお、メールはメンバー以外にもオープンですので、いつでもメールください。メールのやりとりで高まりましょうね。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。西川研究室はいつでも参観OKです。 詳細は http://www.iamjun.com/をご覧下さい。 もし『学び合い』グループに参加される場合は、 http://manabiai.g.hatena.ne.jp/をご参照ください。
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17/03/26(日)

[]膝 21:19 膝 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 膝 - 西川純のメモ 膝 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 備忘のために書きます。

 本日も、私の膝の上で、食後のデザートのヨーグルトを息子を食べ、その後ろで酒を飲んでいます。

[]私の限界 21:17 私の限界 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 私の限界 - 西川純のメモ 私の限界 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 現状の「特別な支援が必要な子」とは、生活・学習に困難がある子どもです。そして、この困難を感じる主語は「教師」です。教師が困難を感じないならば、ケース会議も開かれないでしょう。つまり、勉強が出来て、教師とはコミュニケーションがとれる子であれば、様々な障害があっても「特別な支援が必要な子」に分類されません。そして、そのような子は社会に出た後、ものすごく障害を感じます。文部科学省は通常学級にいる特別な支援を必要な子は6.5%いると言っています。でも、その数に入っていない障害のある子どもはかなりいると思います。教師だったら思いつくでしょ、「周りの子どもと関わることが出来ない子」です。でも、その子が勉強はある程度出来て、教師とは話せるならば、一斉指導の授業では困難を教師は感じません。

 大学教師として30年間勤めました。ゼミ生は約二百人います。当然、そのような子がいます。そのような子に対して、私の出来ることは限られています。私のゼミにいる間は排斥されないようにすることは出来ます。『学び合い』の中で障害が見えにくく出来ます。でも、その多くは、卒業・修了させたとき、「この子の人生は厳しいだろうな」と分かった上で送り出します。

 私が高校教師だったら、手帳を取らせるでしょう。それさえあれば、厳しい人生の中で「生きられる」可能性を高めることが出来ます。そして、そのような子どもを受け入れられる就職先を探すように保護者に勧めるでしょう。

 でも、高校教師は大学教師と同じで限界があります。その子どもが幸せになるためには、その子どもを理解し受け入れる大きな集団が身近になければならないのです。ゼミのような小さい集団では支えきれずに、ゼミから出てもらった学生がかつて一人だけいます。ものすごい学生でした。ただし、私に対しては可愛いのです。泣いて、絶対に先生のゼミにいたいと願ったのですが、断りました。他の学生が支えることにへとへとになってしまったのです。高校の場合もそれに近いものがあります。高校は広域から生徒が集まります。結果として、その子の近くで生活する人は数が限られてしまいます。

 だから、義務教育が果たすべき役割は大なのです。

[]特別支援教育 16:57 特別支援教育 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 特別支援教育 - 西川純のメモ 特別支援教育 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 特別支援の本を書き終わって、ハッキリしたことがあります。それは義務教育段階の特別支援教育の目的は、子どもを学校教育に適応させることだということです。多くの先生は、そのことが子どもの将来に繋がると思っています。しかし、子どもの就労を理解していないので、それは単なる思い込みにすぎません。そして、多くの場合、学校に適応させることは社会に不適応させることなのです。

 恐ろしいことです。

 例えばです。特別支援の子が就職して、職場でお漏らしをしてしまいました。何故だと思いますか?学校で休み時間までトイレを我慢することを教えられ、それが出来ると褒められたからです。ところが職場には小一時間ごとの「休み時間」はありません。

 就職している特別支援の子どもがいる親、特別支援の子どもを受け入れている企業、事業所の方々は、義務教育の特別支援の先生方が一生懸命に教えていることを「全く」、「全然」大事だとは思っていません。しかし、その声を聞くことがないので、気づきません。そして、無意味なことを延々と教えています。

[]広がる・広がらない 11:50 広がる・広がらない - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 広がる・広がらない - 西川純のメモ 広がる・広がらない - 西川純のメモ のブックマークコメント

 高校2年生が私の所に来ることを書きましたが、その生徒の質問は以下の二つです。

①西川先生の『学び合い』について書かれている本を拝読した上で、なぜ、今学び合いが注目されていながら日本の教育の主流ではないのかということ。

②何が『学び合い』の普及を阻んでいるのか。

 きっと同じように疑問である方もおられると思います。そこでここに書きます。

 生物は生きるために様々な形質をDNAの中に刻みつけていますが、行動もその一つです。例えば、ウスバシロチョウの幼虫はムラサキケマンなどのごく限られた植物(食草と言います)の葉だけを食べます。そして親は食草に卵を産み付けます。だから、幼虫は生まれたら、近くのムラサキケマンを食べれば生きられるのです。このような単純な生活であれば、その中で生き残る行動はDNAに刻みつけることが可能です。

 ところが人間は違います。熱帯雨林、砂漠、極北と様々な環境の中で生きています。食べるものも違うし、その食べ物を得る方法も違います。身を守る方法も違うでしょう。人類が宇宙で生活するようになったら、そこにも適応するでしょう。こんなことをDNAの中に全て刻みつけることなど無理です。じゃあ、どうやっているか?

キャンポスという人は面白い実験をしました 。実験では母親の近くに小さい子どもが遊んでいます。その近くには大きなドラが置いています。子どもが遊んでいるとき、いきなりドラを鳴らしたら、どんなことが起こると思いますか?おそらく、子どもが泣くと思うのではないでしょうか?しかし、違います。

ビックリした子どもが最初にやるのは、母親の顔を見るのです。もし、母親の顔が穏やかであれば、遊びに戻ります。しかし、母親の顔が恐怖の表情である場合は、泣きながら母親にすがりつくのです。

子どもは何が危険か、危険じゃないかを知りません。それを母親の判断に仰ぐのです。とても優れた戦略です。子どもが大きくなるに従って、他の大人に判断を仰ぎます。例えば、皆さんがどうしても路上駐車をしなければならないとします。片一方にはきつきつのスペースしかありません。他方は一台も駐車していません。さて、みなさんはどちらに駐車しますか?アマゾンで何かを買うとき、何を手がかりにしますか?今一番売れているもの、一番評価の高いものですよね?つまり、他の多くの人達を参考にしています。

人類は、様々な環境で生きる術を全てDNAの中に刻みつけることはしませんでした。ただ一つだけ、「周りの人達に合わせる」ということをDNAの中に刻みつけたのです。だから、幼児ですら母親の判断に従っています。(このあたりの詳細は『理科だから出来る本当の「言語活動」』(東洋館)に書いています。理科以外の方も参考になると思います)

これが高校2年生の生徒の質問に対する答えです。つまり、「多くの人が『学び合い』以外を実践しているから」というのが理由です。

でも、それだったらいつまでも変わらないはずですよね?でも、変わらない生物は緩慢に自滅します。生き残る生物は、周りの環境に合わせて変化しうる生物です。

それ故に群れの中に「周りに合わす」という程度がきわめて弱い、弱い、若干弱い、個体を含んでいます。この「周りに合わす」ことはきわめて弱い個体が、アスペルガー症候群ではないかと考えている人もいます。

人がものを買う際の行動を理論化した人に、ロジャーズやムーアがいます。それによれば、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガートがいます。イノベーターが周りに合わせず、後になるに従って、合わせます。ラガートになると周りが変わっても、「過去の周り」に合わせて決して変わりません。

二十年前は『学び合い』を実践するのはイノベーターばかりでした。今は、アーリーマジョリティにも広がっています。だから、高校生には「安心していいよ」と言うつもりです。