西川純のメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード

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17/01/30(月)

[]戦略 18:23 戦略 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 戦略 - 西川純のメモ 戦略 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 あるゼミ生に、「実際に小学校に次期学習指導要領が全面実施される32年度には日本の教育はどう変わるのですか?」と聞かれました。このような質問はゼミ生はもちろん、その他の人からたびたび聞かれます。その度に、私は間髪入れず、満面の笑みをたたえて「何にも変わらない」と応えます。そして以下のように説明します。

『日本には小中高の教師が70万人いる。単一の職種としては最大の職種だ。教育は日本における最大の事業。関わる人は膨大だ。そのような人達が一気に変わるわけない。

 32年度になれば、「な~んだ。今までと同じじゃん」と気づく。だって、みんな変われない。それを互いに知る。そして、今回の学習指導要領はどんどん形骸化する。これは総合学習の導入時期にあったこと。総合学習の熱が燃え上がったのは、学習指導要領の答申が出る前後。そして、実際に全面実施してみれば、みんなが今のままの授業をし始める。「自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する」の自らが子どもではなく、教師に置き換わる。結局、クロスカリキュラムが総合学習であるという形骸化が起こり、教材開発する教師にとっては総合学習だけど、子どもにとっては今まで通りの学習になってしまった。

おそらく、アクティブ・ラーニングもカリキュラム・マネジメントも同じだよ。アクティブ・ラーニングは話し合い活動に形骸化し、カリキュラム・マネジメントはコミュニティースクールに形骸化する。致し方ない。

 学習指導要領の委員だって色々な人がいる。穏やかにしたいと思っている人もいる。その人達は、改革が行き過ぎなような意見を言う。最終的な案は、それらの人達の意見を併記するしかまとまらない。つまり、今のままでも大丈夫な逃げ道を含んでいる。

 でもね、私はそれを繰り返したくない。だから、32年度までに2種類の教師を一定以上生み出したいと思っている。第一の教師は、自分たちの毎日の授業が目の前の子どもの30年後、40年後、50年後の生活を決めるものであり、生き死を決めるものであることを理解する教師。第二は、主体的で対話的な授業が、今までの授業より学力向上や人間関係づくりに有効で、何よりも「楽」であることを理解する教師。

 早晩、従来型授業では、従来型の進路指導やキャリア教育では我が子がどうなるかを保護者が知ることになる。その時に、ソフトランディング出来る準備をしたい。そして、何よりも、今目の前にいる子を一人でも奈落への道から救いたい。今できるのは、さっき言った2種類の教師を一人でも多く生み出すことだと思う。私の基本戦略はそこにあるんだ。』と。

 もし平成32年度までに、先の2種類の教師が全教師の2割を超えることが出来たならば「日本の教師は大きく変わるよ」とゼミ生に応えられる。

 私の難敵は、『学び合い』に反対する人ではないのです。今の授業でも実現できるレベルの学力向上や人間関係づくりで満足している教師なのです。別ないい方をするならば、「子ども」という言葉を安易に使う人です。子どもという子どもは一人もいません。そして、その規格から外れた子どもは十数年間、かなり辛い学校生活を送り、卒業後は社会の中に受け入れられない。その割合が昔は2割程度だったのが、今は4割になり、5割になりつつある。キツいいい方ですが、卒業後の子どもが不幸であっても教師は分かりません。意識しなければ。卒業生が集まったとき、そこにいない子どもの現在を分かりません。知ろうとしない限り。私も含めて、公務員である教師は、自分は安全なポジションにいます。繰り返します。私もそうです。仕方がありません。人は、解決出来ない問題から目を背けます。例えば、死から逃れられないことから目を背けるように。だから、その死に目を向けるようなことを言う人は嫌われます。私のように。正直、私自身が辛いのですから。私が逃れる術は、常に戦略を考え、何かをすることです。