西川純のメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード

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15/06/09(火)

[]早さ 12:51 早さ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 早さ - 西川純のメモ 早さ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は平均的な教科教育研究者の二、三十倍の業績があります。しかし、私が二、三十倍に有能である分けではあるわけありません。ただ、仕事の仕方を知っているからです。

 私のゼミ生が私に「忙しい」とか「徹夜した」とか言って言い訳すると、私は「徹夜する理由は3つしかない。第一は、君は無能である。第二は、君は無計画である。第三は、君は無能かつ無計画である。さて、君はどれ?」と言います。

 私に関わる人は無能ではありません。この時代に、『学び合い』をやっている私に繋がろうという人は無能ではありません。従って、無計画が原因です。

 以下で書くことは、よくゼミ生に語っていることなので、「なぜか仕事がうまくいく教師の7つのルール」と「新任1年目を生き抜くサバイバル術、教えます」(いずれも学陽書房)に書いてあります。詳細はそれを読んで下さい。

 仕事が上手くいかない人は仕事の仕方を知りません。

 仕事を分類するには「失敗すると大変、大変じゃない」、「頭を使う、頭を使わない」の2×2の4種類に分類します。失敗すると大変じゃない仕事は、可能な限り手を抜きます。例えば、昨年の書類の日付を変えて提出します。受け取る事務にとって、素晴らしい書類を出されるより、締め切りに間に合う方がありがたいはずです。頭を使わなくてもいい仕事は、直ぐ処理します。例えば、はい/いいえのように一言で済むような仕事は、直ぐに処理します。これを実行するために、私はメールを頻繁にチェックします。この種の簡単な仕事でも、十、二十重なると重い仕事になってしまいます。私とつきあった人だったら、私のレスが早いのに驚いていると思います。理由は、私が忙しいからです。忙しい人でこの種のレスが遅い人を私は知りません。だって、忙しいのに、この種のレスが遅くなれば膨大な小さな仕事がたまるからです。そうすれば仕事は出来なくなる、そして無能というラベルを貼られる。そのような人は仕事を与えられなくなる。ということになるからです。

 さて、以上のように徹底的に手を抜くのはどうするかといえば、「頭を使う、失敗すると大変な仕事」に時間を集中するためです。

 忙しい人は、この種の仕事を平行して数多くこなしています。私の場合はたいていは十数件を平行してこなしています。これをこなす方法は、時間をかけすぎないことです。

収穫逓減という法則があります。ある生産を増加させるために何らかのことをすれば生産量は全体として増加するが、次第にその増加分は次第に小さくなるという法則です。

仮にある仕事に5時間かければ出来るとします。1時間かければ質が10%上がり、さらに1時間かければ5%上がり、さらに1時間かければ2.5%上がり、さらに1時間かければ1%上がるとしましょう。つまり5時間かければ1の仕事が出来、6時間かければ1.1になります。以降、2時間で1.15、3時間で1.175、4時間で1.195の仕事が出来ると言うことです。

仕事の出来る人はこれを知っています。何故なら、一杯仕事をしているからです。人の時間は有限です。一日8時間、週40時間があったとします。仕事の出来る人は5時間で8つの仕事をします。ところが仕事が出来ない人は40時間をかけて1つの仕事をします。ところが40時間かけても1.5ぐらいの仕事しか出来ません。

 私が本を書くのが早いのは、このことを知っているからです。とにもかくにも、最低限の時間で1冊を書き上げるのです。その後、時間の隙間を見つけて推敲します。どれだけ推敲に時間をかけるか、それは他の仕事との兼ね合いです。

 さて時間をかけたいならばどうしたらいいでしょうか、週40時間を50時間、60時間かけるのです。では、プラス10時間、20時間を生み出すためにはどうしたらいいでしょうか?

 第一に、誰が仕事をすべきかを峻別します。自分でなくてもいい仕事は徹底的に人に任せます。ただし、この場合は、自分がしなければならない仕事に関して、抜群の結果を出し続ける必要があります。

 第二に、無駄な時間を徹底的に削ります。忙しいと言っている学生に昨日やったことを聞けば、どうでもいいことを一杯しているのです。一つ一つはそれなりの意味があることは理解できます。ところが時間は有限です。優先順位を考えなければなりません。それが出来ないと、いっぱいのことが中途半端に終わります。そして、帳尻あわせのために徹夜をします。

 私は仕事の段取りを考えます。例えば、事務棟に書類を届けなければならないとき、その途中に届けなければならない書類や、手紙をまとめておきます。往復の時間が無駄だからです。

 先ほど書きましたように、私は平均的な教科教育学研究者の二、三十倍の業績があります。それは私が二、三十倍有能だからではありません。平均的な教科教育学研究者が時間を二、三十倍無駄にしているからです。

 このことはゼミ生に何度も指導しているのですが、なかなか学び取れません。理由は今の自分の二、三十倍の願いがないからです。ま、高校入試の我が子の尻をたたきながら、我が身の力のなさを感じる今日、この頃です。