西川純のメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード

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13/01/01(火)

[]忙しさの原因 18:08 忙しさの原因 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 忙しさの原因 - 西川純のメモ 忙しさの原因 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私が高校教師だった二十数年前は、学校には余裕がありました。放課後に子どもと遊ぶ先生もいました。教務室にいけば雑談をしている教師がいました。夏休みには、ゆったりと教材準備をしている先生がいました。ところが今は違います。

 多くの人は、教師は、夏休みは暇だろうと思っています。実際は全く違います。毎日、毎日、研修が連続して組まれ、年度によっては授業のある期間より忙しいのが実情です。

 今は、放課後に子どもと対応している時間もありません。教員の労働を調査した報告書 によれば平均的な教員の姿は以下の通りです。

『起床時間は5時48分。家を出るのは7時11分、通勤時間は25分で、7時36分には学校につく。教員は職員室に行き身支度を調えた後、授業準備、書類の整理、部活指導、校門指導などによりかかる。実際の仕事開始である。子どもが教室にそろった8時18分から朝礼、朝の会、朝学習・読書の指導をする。1時間目の授業は8時40分くらいからになる。時間割上の授業が終わった後での清掃指導や帰りの会などが終了する時間が16時03分。その後、教員はクラブや部活の指導、採点や成績つけ、書類作成などの仕事をこなす。学校を出るのはその3時間後の19時26分である。その間に休息をとっているのはたったの20分である。帰宅に要する時間は朝より長くて30分だから自宅には19時32分着で、就寝までの帰宅後の時間は3時間53分、就寝時刻は23時25分となっている。睡眠時間は7時間に満たずに6時間23分である。』

 いかがでしょうか?これが学校の先生の実情です。最近、もてはやされているフィンランドの教員の労働時間は6時間16分(日本11時間6分)で睡眠時間は7時間42分(日本6時間23分)です。私が知っている人の経験談に、笑えない話があります。上記の状態を問題にした労働基準局が学校に申し入れをしたそうです 。しかし、労働基準局の申し入れた労働時間では学校の仕事が終わりません。そこで、教務主任が学校近くの喫茶店で仕事や会議をすることを提案し、そうなったとのことです。

 日本の教員は何故こんなに忙しいのでしょうか?先の調査によれば、書類作成に大きな差があることを指摘しています。例えば、フィンランドでは月当たりの書類作成は5.7なのに対して、日本のそれは22.8と極端に多い状態です。例えば日本の場合、O157の事件があると、行政はそれに対応したマニュアルを作らなければなりません。一人一人の教師は、そのマニュアルに沿った膨大なチェックリストを書かなければならなりません。例えば、マスクを忘れた子どもがいたかどうかというチェック項目があります。もし、マスクを忘れた子どもがいた場合、その子に対してどのような指導をしたかを詳細に書く欄があります。それが毎日続くのです。

 研究機関の薬品が盗まれ事件が起こると、学校における薬品管理が厳しくなります。今までは、オープンな棚で大ざっぱな量の管理にとどまっていたのが、厳重な薬品庫にしまわれ鍵で管理をするようになります。数量計算は厳密で、毎回の実験ごとに使った薬品の量を記録しなければなりません 。

 遊具で事故が起こると、遊具確認が徹底的に行われるようになります。今までは、係の教師が一人でチェックしていたが、複数の先生がチェックを厳重に行うようになります。例えば、ロープには複数の先生がぶら下がり、鉄棒は様々な技を教師がチェックするようになります。そして、それに関する書類を作成します。

 以上は、ほんの一例に過ぎません。実際は上記の数十、数百倍の書類の山に埋もれています。現在の教師は教育職ではなく事務職になっているのです。

 これらの書類書きは、以下のような過程で生まれ、蓄積しているのです。まず、教育に関して何らかの事件が起こったとします。国会の議会答弁に対応するため、直ちに、文部科学省が調査を実施します。それは県に、市町村におろされ、最終的に各学校でその調査が実施されます。このようなことは国レベルのみならず、県、そして市町村レベルの議会で議論されます。それに伴って、県、市町村の教育委員会が独自に調査を行います。結果として、何か問題が起こる度に、国、県、市町村からの、ほぼ同じ調査が各学校で行われることになります。

 その次には、「これこれの対策を講じました」と目に見える形で議会に報告しなければなりません。具体的には、誰からも文句が出ないような厳重なマニュアルを作成することとなります。そして、一度、そのようなマニュアルを作れば、それはそれ以降毎年実施されることになります。なぜなら、「もう必要はない」という説得力のある説明は困難であるからです。そのような調査・マニュアルに対応した書類が学校現場には山のようにあります。それは、それで意味があるでしょう。たしかに厳重にチェックすれば事故は防げます。しかし、どんな教師であっても1日は24時間で、家に帰れば守るべき人がいる家庭人である教師が多い。その有限の時間を上記のような書類書きやチェックに費やせば、今まで費やしていた部分(即ち子どもと接する時間など)を割愛せざるを得ません。問題は、「それに値する書類であるのか?」です。

 そして、それらの各種調査は最終的には冊子としてまとめられます。文部科学省、県、市町村でそれぞれまとめられた冊子が学校には山のようにあります。それらの冊子には、教育事務所の指導主事が時間を費やしまとめた表やグラフがふんだんにあります。役所の文章なのですから、踏み込んだ分析はできません、結果として、それらの分析の最後には、分析する前から明かな考察がつけられています。そのため、学校の誰も読まずに、どこかの書庫に保管されます。それらの冊子の印刷のために、数百万円単位のお金が使われています。それらの予算は、校舎の修繕や教材の購入に使えたかも知れないお金なのです。