西川純のメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード

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07/04/23(月)

「でんでん虫」、「個性」、「自己解決力」の三題噺です。

[]でんでん虫 21:56 でんでん虫 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - でんでん虫 - 西川純のメモ でんでん虫 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 大学の学部の頃です。ある人がクイズを出しました。それは「でんで~んむしむし、でんで~んむし」を繰り返すのです。何度聞いても、同じなのですが、それには「良いでんでん虫」と「悪いでんでん虫」の違いがあるのです。それを何度聞いても、その違いが分かりません。私としては、その人の表情、発音等を分析して、その違いを見極めようとします。一緒に聞いている友人は、途中で分かったみたいで、それを判別できます。でも、私は最後まで分かりません。最後に教えてくれました。「でんで~んむしむし、でんで~んむし」というかけ声には差はないのです。その前に、「じゃあ、やるよ、いい?」と言ってから「でんで~んむしむし、でんで~んむし」とやるのが良い(いい)でんでん虫で、「じゃあやるよ」と言ってから、「でんで~んむしむし、でんで~んむし」とやるのが悪いでんでん虫です。分かってしまえば馬鹿みたいなものです。

 認知心理学の初期の研究にバウワーの研究があります。その研究によれば、我々は失敗から学ぶことはできず、成功からしか学ぶことはできないそうです。理由は、失敗した理由は無限なのに対して、成功した理由は限定されるからです。私はでんでん虫に関して、ありとあらゆる仮説を立てて分析します。しかし、失敗しても、それによって正しい仮説への道を探ることができません。ところが成功した仮設ならば、次の仮説の一歩になります。バウワーの研究は、基本的にそのことを自由試行の中で証明しています。

 つまり、分からん話をいくら聞いても意味がないということです。もちろん、分からん話が、いつか役に立つということもあるかもしれません。しかし、学校教育の時間は、そんな丁半ばくちに費やすほど余裕がありません。

 これが三題噺の一番目です。

[]個性 21:56 個性 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 個性 - 西川純のメモ 個性 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 子ども達が関わりあうと、個性が失われる、と思い込んでいる先生がいます。それ故、子ども達が関わりあうことを制限します。これってばかばかしいと思います。その馬鹿馬鹿しさを、ゼミ生(佐々木麻衣ちゃん)の卒業研究を紹介しています。詳しくは『「座りなさい!」を言わない授業』(東洋出版社)にあります。そこでは次のように書きました。

 『もし,あなたが宴会の幹事であり,みんながアッと喜んでくれる宴会企画しようと思ったなら,おそらく先輩幹事からいろいろな情報を仕入れるだろう。でも,先輩幹事から得た昨年の企画をそのままやったなら,新鮮みがなく,おそらくアッとは言ってくれないだろう。何よりも,自分が納得できない。そうであるならば,何としても昨年の企画にはないアイディアをひねり出そうとするのではないだろうか。一方,あなたがみんなから押しつけられて嫌々ながら幹事を引き受けたときを想像してほしい。そうであるならば,昨年の企画をなぞって無難宴会企画するだろう。子どもも同じである。  子どもの独自性を保障するには,子ども同士の情報交換を遮断することによっては保障することはできない。子ども自身が独自性を出したいと願うようにすればよい。上記の授業においては,「その時間をとにかく終わらせたい」ではなく,「自分が納得できるおもちゃを作りたい」と願わせることである。そのような願いがあるならば,子ども同士がどれほど情報交換をしても独自性を損なうことはない。いや,むしろ他の子ども情報を得れば得るほど,自身の独自性を高めるために頭をひねるだろう。子どもの個性を保つために学び合いを制限することは,下策の下策である。  麻衣ちゃんが教育実習から帰って,面白いエピソードを話してくれた。子どもがわからないことを友達に聞いている場面である。最初は,一生懸命に聞いて,補足質問をする。しかし,わかりかけると,表情がウーンとなり,「ちょっと,ちょっと,もう言わないで」と教えてくれることを止めるそうである。子どもは自分でできるところは,自分でやりたがるものである。我々が最も大事にする考えは,子どもを信じることである。』と書きました。つまり、情報遮断をするより、自分らしいものを願うようにすることのほうが大事だと書きました。

 これが三題噺の二番目です。

[]自己解決力 21:59 自己解決力 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 自己解決力 - 西川純のメモ 自己解決力 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 わがゼミ卒業生のY(昨日のYとは違います)から電話がありました。Yの勤務校では「自己解決力」を大事にしてるそうです。そこで、『学び合い』の考えからでは「自己解決力」をどう捉えるべきか質問されました。

 彼から「自己解決力」という言葉を聞いたとたん「あ~・・」と思いました。我々の場合は「自分たちで解決する力」なのですが、一般では「自分だけで解決する力」を意味します。そして、たいていの場合、「さあ、5分間は自分で考えて」と指示を出し、そして5分後に「さあ、相談しよう」とします。なぜ「5分間」自分で解決させるかといえば、自分だけで解決する力を養うためです。ところが我々の場合は、そんなことを指定しません。となると、「自分だけ」の先生は、「そんなことをしたら自分で解決せず、人の答えを丸写しにする」と言います。しかし、そんな気持ちの子どもに5分間自己解決の時間を与えたらどうなるでしょうか?きっと、何も考えずに5分間を過ごすはずです。そして、5分後に何をするでしょうか、きっと答えを丸写しにするはずです。つまり、5分間考えさせても無意味です。さらに言えば、まったく分からない子どもに5分間与えても、5分間、無意味になるだけです。

 分からなくても考える時間が大事とお考えの先生もいるかもしれません。思い出してください。多くの人にとって物理学はちんぷんかんぷんでした。そのちんぷんかんぷんの時間に意味があったでしょうか?ありません!我々の脳の仕組みは、分からんことは意味がないんです。もちろん、偶然意味が生じるかもしれませんが、学校教育はそんなに暇ではありません。

 想像してください。新任の教員に自己解決力を育てるために、校長がその先生にほかの人に相談してはいけないと指示します。周りの先生に、教えてはいけないと指示します。そんなことを2週間やったらどうなるでしょうか?大抵の新任の先生は、つぶれてしまいます。子どももそうです。分からない子どもに5分間与えたら、問題解決をする気を失わせます。

 情報遮断によって自己解決力は生まれません。自分で解決したいという気持ちにさせることです。それがなければ、どんな手立ても無理です。子どもは自分で分かりたいと願っています。できることは自分でしたがります。これは子育てした方だったら分かるでしょう!「自分でやる!」と子どもに言われない親があるでしょうか?その気持ちを育てるために、親は何をすべきでしょうか?

 Yへ

 上記のことを先輩の先生に見せたら?それで、「わが校の自己解決力は・・・」とのたまったら、黙って、その通りにしなさい。君のクラス子どもにとって不幸だけど、無意味な5分間を強いなさい。宮仕えは、そういうもんです。そして、その子たちを救うために、自分の立場を固めなさい。期待しているよ。

 三題噺、お、わ、り

[][]分からないふり 21:56 分からないふり - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 分からないふり - 西川純のメモ 分からないふり - 西川純のメモ のブックマークコメント

 息子が我々に「回文って何?」と質問をします。そこで、上から読んでも、下から読んでも同じ文であることを教えます。そうすると、長い回文を言い出します。そこで、「何で知っているの?」と聞くと、教科書にあるそうです。そこでです。家内が、「知っていても、授業中に「知ってる、知ってる!」と言っては駄目だよ。先生が授業でそのことを話すとき、黙って聞いているんだよ。そして、先生回文ってどんなとがあるかな~?と言われたら、教科書に書いていないことを言いなさい。先生が説明する前に、そんなことをペラペラしゃべったら、先生が泣くからね」と諭していました。息子の担任の先生は、もちろん、そんなことで泣くような柔な教師ではありません。しかし、それを聞きながら、「あ~、こうやって、分からないふりの、うまい子どもが生まれるのだな~」と感じました。