西川純のメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード

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06/10/23(月)

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 わがゼミのKinさんの仲間にH先生という先生がいらっしゃいます。KinさんがH先生に「学び合い」を伝えていたのですが、どのように目標設定するべきか、悩まれたそう。その先生家庭科の調理実習で学び合いを実践され、開眼されたそうです。それをKinさんから聞いて、なるほどと思いました。家庭科の調理実習は学び合い に開眼するには最適な単元だと思いました。

 理由は目標の設定が、分かりやすいからです。学び合いが成立するためには、「何のためにやるのか」と「どういうことをしなければならないのか」という目標の設定が必要です。前者に関しては、学校教育とは何か(なぜ学校に行かねばならないか)をちゃんと語らなければなりません。後者に対しては、今までの考え方を捨て、子どもたちにストレート目標を語る必要があります。これが出来るには、子どもが有能であることを確信できなければなりません。それが出来ないと、おせっかいなことをしはじめます。

 家庭科の調理実習では、「食べる」という至極、分かりやすい学ぶ意味があります。学校教育レベルで語らなくても、子どもが納得してくれます。また、「おいしい」という判断をすべての子どもが出来ます。例えば算数の場合、すべての子どもが出来たか、出来ないかはわかるとは限りません。これを乗り越えるのは子どもたちの学び合いが必要です。それが成立する前は、答えを子どもに渡すことが有効です。ところが、答えを分からないように、教科書をしまわせる先生がいるほどですから、抵抗が大きいです。ところが家庭科は、そのようなことをしなくても全員が判断できるのです。

 Kinさんから家庭科実習の話を聞いたとたん、上記のことを理解し、なるほどと判断しました。これを是非、広めたいと思いました。そこでKinさんを通して、H先生からより具体的な姿を教えてもらいました。 以下がそのメールです。いろいろな方より知恵を授けていただけることを感謝しています。

 『初めまして。突然のメール失礼いたします。埼玉県公立小学校教諭のHと申します。Kin先生と同じサークルで刺激を受けている者です。先週家庭科の授業を行いました。これまでにKin先生に教えていただいた「学び合い」のつもりです。

調理・・・味噌汁

調理中私が、クラス全体に言った言葉は以下の通りです。

1「おいしい味噌汁を作ります。2時間目が終わるまでにきれいに片付けてください。」

2「包丁は、ふきんにくるんでもって行きます。」

3「味噌煮干は、先生の所で渡します。必要な量を言ってください。入れ物も持ってきてね。」

4「煮干は、30分くらい水に浸しておいてから調理を開始します。」(これは、教科書に書いていないため。)

このくらいだったと思います。

●時間

 味噌汁作りでは、2時間だと思います。30分だしを浸す時間があるので。ほかのクラスは、朝来たときから浸し、1時間目で終了したところもあります。実質2時間です。

●安全面

 包丁の使い方やガスの使い方は、1学期にすべて指導してあります。湯が沸騰してお鍋が空っぽに鳴ると危ないので、見て回りました。

○班に声をかけたこと

 二つの班が「だしをとる」と教科書に書いてあったので、文字通り煮干を火にかける前にだしを取り出してしまいました。「ほかの班見たあ?」と声をかけました。

 油揚げの「あぶらぬき」が書いてあることに気づいた班が二つありました。「よく気づいた!」とほめました。しかし、油揚げに湯をかけるのではなくてお鍋の中に入れたので、「教科書見たあ?」と声をかけました。

○広がる情報

 味噌の計量方法が難しかったようです。計量スプーンに「すりきり」もって行く子がいました。それを見て次々とすりきりをまねしていました。

煮干はらわたと頭を包丁で切っている班がありました。一つの班に教えました。「ほかの班にも教えてくれば?」と言っておきました。

子供が「見て学んだのだろう」と私が判断したこと

 調理後の授業での感想です。「揚げ玉を入れたのが早すぎてべちゃべちゃになってしまいました。」・・・味噌汁に揚げ玉を入れる班があったのです!もう一つのコンロでほかの二人が揚げ玉を使っていました。明らかに様子が違います。こちらは、ちゃんとみそしるらしくサラッとしてました。

 「わかめは、やっぱり切るんだったみたいです。」・・たぶんわかめを「水に浸す」ところまでは、ほかの班を見てわかったのかもしれません。でも、切るところまでは見なかったようです。(ほかの班は、カットわかめを使用していたせいかな?)

 私は、すべての班の味見をして、最後にコンロ周り、ガスの元栓をチェックして終わりました。とても楽な実習となりました。』

 認知心理学のごく初期の研究(たしかバウワー)によれば、我々は失敗によって学ぶことは出来ないそうです。学び取れるのは、成功からです。なぜならば、失敗した場合、何が失敗の原因か特定できない一方、成功した場合は、何が成功の原因であるかを特定しやすいからだそうです。

 一度、学び合いを経験すれば、本当に子ども達が主体的になると言うことはどんなことかが分かります。そして、そのためには今まで後生大事にしていたものが殆ど必要ではなく、むしろ、今まで大事にしていなかったことが大事であることに気づけます。