西川純のメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード

西川純です。新潟県上越市の上越教育大学の教育実践高度化専攻(教職大学院)で『学び合い』を研究しています。諸般の事情で、このブログのコメントは『学び合い』グループのメンバー限定です。メンバー登録は、いつでもOKです。ウエルカムです。なお、メールはメンバー以外にもオープンですので、いつでもメールください。メールのやりとりで高まりましょうね。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。西川研究室はいつでも参観OKです。 詳細は http://www.iamjun.com/をご覧下さい。 もし『学び合い』グループに参加される場合は、 http://manabiai.g.hatena.ne.jp/をご参照ください。
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05/11/08(火)

[]ノウハウ22:06 ノウハウ本 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ノウハウ本 - 西川純のメモ ノウハウ本 - 西川純のメモ のブックマークコメント


 今度の本は異学年、ジェンダーを通して、先生そして子どもが楽になるという本です。次の本は、学力向上です。そこには、まず過去研究を紹介しつつ、Iさん、kさん、Oさんの研究を紹介したいと思っています。ちなみに、その後は、Gさん、Kaさんの研究を中心とした、子ども主体の学習の本、Kiさん、Nちゃんを中心とした評価の本、Obさん、Hさんを中心とした特別支援の本です。なお、しかし、それ以前に完成しなければならないなと思っているのは、我々の教育実践の実態を明らかにする本です。それは、現在、Koiさん、Hさん、Kobさんの研究を中心とした研究です。その本のタイトルは「学び合いの奥義書」で、副題は「ノウハウ本ではありません」です。

 ある学校で我々の研究室の成果を導入した実践を行っています。しかし、全員がそれを実感しているわけではありません。その学校先生方と話したとき、何故、実感できないか分かりました。それは考え方を理解するのではなく、方法を使おうとしているからです。例えば、我々の授業の場合、「おしえない」、「ほめる」、「つぶやく」ということが中心です。でも、それが有効になるのは、何故、そのようなことをしているかが分かっていなければなりません。それらが有効になるのは、何故、そのようなことをするかを、子どもたちにちゃんと語らなければなりません。そのためには、授業の最初に、ちゃんと「何を考えているか」を子どもたちに語らなければなりません。そして、それ以降の毎日の授業で、子どもたちの日々の営みに関して、コメントをしなければなりません。それが出来るためには、何故、、そのようなことをしているかが分かっていなければなりません。そこのところが伝わらなくて、、「おしえない」、「ほめる」、「つぶやく」ても無力です。

 院生さんに、そのことを話しました。そして、「でも、ちゃんと本には、目標の設定が一番大事で、考え方が大事だと言うことは繰り返し書いているんだけどね」と言いました。それに対して、ある院生さんから、教えてもらえました。教師が教育本を読む場合、最初から最後まで読むことは希で、自分が関係あるページだけをざっと読んで、使ってみるという方法が一般できだそうです。さもありなんと思います。私も、コンピュータソフトの本を読む場合はその方法です。また、学術論文でも、たいていは、その方法です。そう考えてみると、ノウハウ本の特徴が分かります。それは、最初から最後まで読まない、ということです。自分がとりあえず関係しそうなところだけを、ピックアップし、そこだけをざっと読みます。そこで、「学び合いの奥義書」の副題は「ノウハウ本ではありません。最初から、最後まで読んでください!」にしようかな、と思いました。

追伸 誤解している先生方も、熱意ある一生懸命先生方です。私の伝える能力のなさ故にです。自責の思いに駆られます。

[]我々の授業 22:06 我々の授業 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 我々の授業 - 西川純のメモ 我々の授業 - 西川純のメモ のブックマークコメント


 我々の授業を本でのみ知った人は、とても変わった授業だと思うでしょう。でも、上越に2泊3日ぐらい来て、我々の授業の様子をビデオで集中的に見た人の感想は、「今のままでいいんですね」です。このギャップはどのように理解したらいいのでしょうか?

 どんな先生も、教師の演説の部分があります。それは語る部分、板書する部分です。その後に、子どもたちが作業をする部分があります。子どもたちが、与えられた問題を解いたり、与えられた課題をといている部分です。その部分では、教師は机間巡視をしながら、子どもたちと会話しながらしています。この基本構造は、我々の授業も、一般の授業も全く同じです。では、どこが違うか?それは、それぞれの部分の比率です。一般の授業の部分前者が大部分を占め、後者は一部です。ところが、我々の場合は前者が一部で、後者が大部分です。つまり、比率の問題です。子どもたちの様子は基本的に変わりありません。両者の違いは、子どもだけで何とか出来る部分が大きいか、いや、小さいかの「考え方」の違いなんです。だから、我々の授業を見た人の感想は、自分が見知った子どもの様子が連続しているだけの姿を見て、「なんだ、ものすごく変わったものはないんだ」ということを知ります。しかし、同時に、「何で、このときに教師が指示を与えないんだ???」と思います。でも、教師がごちゃごちゃ指示を与えなくても、子どもたちがちゃんとやりとげることをビデオから見とれます。いや、自分がごちゃごちゃ言うより、早く、質高く達成することが見て取れます。そのあたりでビックリです。でも、我々のデータを通して、何故、教師がごちゃごちゃ言うより、早く、質高く達成できるかを理解するようになります。そうなると、「今のままでいいんですね」という感想を持つようになります。結局、重要なのは、今のままのスタイルで、子どもはごちゃごちゃ言わなくても、早く、質高くできるという考え方を獲得すればいいだけだと言うことが分かるんです。

 さらに、より多くのことを伝えたいと思ってます。それは、人によって様々でいいんだ、ということです。現在、多くの教師が頼っているノウハウは、一人一人の個性に関わりなく、一つの方法をすればいいんだ、と言っているように感じます。ここで、このような発問をし、次に、このプリントを配り、3秒間無言で、腕の確度は何度にして、これこれを言いなさい、というような具合です。でも、私はナンセンスだと思います。10人の教師がいれば、10人のスタイルがあっていいはずです。先ほどの、教師の演説の部分と、子どもたちの作業をする部分の比率は、一人一人違っていいはずです。また、授業の最初に何を語るかは、一人一人の教師、一つ一つのクラス、その人の授業によって千差万別でいいはずです。我々のOBは全く違った授業をしています。でも、子どもをどのような存在として捉えているか、学校教育は何のためにあるのかは共通しています。

 そのあたりを、我々の本を読んだ方に、正しく伝えるにはどうしたらいいか、それを考えています。