西川純のメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード

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04/07/21(水)

[]天狗の鼻(その2) 08:20 天狗の鼻(その2) - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 天狗の鼻(その2) - 西川純のメモ 天狗の鼻(その2) - 西川純のメモ のブックマークコメント

 先のメモに書いたと同じレポートに、先よりもずっと鼻を折る部分がありました。

 その先生が、もがきにもがいていた最終段階のことです。以下のように書かれていました。

 『3年生の秋ぐらいになると、「もういいや」という気持ちになりました。1年生の時の争乱状態を考えれば、ほぼ普通に授業や話が出来るようになったのですから。半分は諦めにの気持ちがありました。「もういいよ。俺はよくやった。あとは、高校への進路が決まればいい」

 授業の準備はそれまで通り、一生懸命にやりました。ただ、以前と違うのは、一挙手一投足にいたるまで考え、生徒達にも細かく指示を与えていたのが、「はい、やろうね。わからなければ教科書を見て、班の人と相談して」と生徒達に任せるようになったことです。(多少、面倒くさくなっていたのかもしれません。)

 あるとき授業中に急ぎの用があって、職員室で仕事をしてから戻ってきたことがあります。それまで遊んでいたものを、教師がきたからといってぱっと席に戻ったりしても、すぐに雰囲気でわかりますよね。しかし、そのときは私が理科室に戻っても淡々と班ごとに実験を進めていました。けっして面白い実験ではありません。同じような操作を繰り返して測定するだけのものです。それを実に楽しそうに行っているんです。うまく言ったと言っては笑い、失敗したと言っては笑い。私は、ただ黒板の前の教師用の机に座ってみていました。机間巡視もしませんでした。淡々と授業が負われいました。

 翌日の生活ノート(日記です)に、ある女の子が書いてきました。

 「最近、理科の時間が面白いです。実験が多いし、みんなでやっていると楽しいです。」と。

 私はそれまでも、実験中心の授業でしたが、そのように書かれたことはありませんでした。

 その頃から、生徒達だけでいろいろな話が決められ、進められていきました。(中略)

 クラスが良い方向に向かっていった直接の原因は分かりません。おそらく、複合的であろうと思います。』 

 これを読み終わって、いい知れない虚脱感を感じました。西川研究室、OBなら、なぜだか分かるよね。

 この先生のクラスで起こったこと、いや、起こらせることを研究しているのが我々なんです。我々は、その原因を明らかにしています。そして、私は十数回の講義をかけて、それに関することを語っていました。ところが、その十数回の講義を聴いたこの先生は「原因は分かりません」と無邪気に書かれています。

 深く、深く、反省します。