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私立の中高一貫校で国語を教えています。

2011-07-16

人や物事との出会いを通した教師になるための学び   ──長瀬・藤原ライフヒストリー・インタビュー(1) 08:56 人や物事との出会いを通した教師になるための学び   ──長瀬・藤原ライフヒストリー・インタビュー(1) - 『学び合い』の文化を教室に を含むブックマーク はてなブックマーク - 人や物事との出会いを通した教師になるための学び   ──長瀬・藤原ライフヒストリー・インタビュー(1) - 『学び合い』の文化を教室に 人や物事との出会いを通した教師になるための学び   ──長瀬・藤原ライフヒストリー・インタビュー(1) - 『学び合い』の文化を教室に のブックマークコメント

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」

                115号 2011年7月15日発行

                      (毎週火金日発行)

http://www.jugyo.jp/

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★目次★

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1.人や物事との出会いを通した教師になるための学び

  ──長瀬・藤原ライフヒストリー・インタビュー(1)

         「ライフヒストリー」編集委員

               岐阜県中津川市立中学校  長瀬 拓也

                    福山市立大学  藤原  顕

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 ライフヒストリーアプローチを紙上で展開することの試みとして、研究

ペアを組んでいただいて執筆いただく企画です。長瀬拓也さんと藤原顕さ

んのお二人のペアとしては、初回となります。      (石川 晋)

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1.人や物事との出会いを通した教師になるための学び

  ──長瀬・藤原ライフヒストリー・インタビュー(1)

         「ライフヒストリー」編集委員

               岐阜県中津川市立中学校  長瀬 拓也

                    福山市立大学  藤原  顕

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 MM誌上ライフヒストリー・インタビューの第三弾として、今回は長瀬・

藤原チームの番です。

 以下、まず、互いの自己紹介を挙げます。その後、表題のように、長瀬

さんの教師志望の形成において、また教師としての力量を準備的に形成す

ることにおいて、意味のあった人や物事との出会いをテーマとしたインタ

ビューの記録を載せます。最後に、互いに今回のインタビューを振り返り

ます。(藤原)

藤原の自己紹介

 ある教師があるスタイルの授業を実践するその歴史的な由来を知りたい、

それを実践の物語として提示すれば、方法や技術のみをそのまま提示する

よりも、より深みがあって学べる機会の多いテクストを生み出すことがで

きるのではないか。これが、授業へのライフヒストリー・アプローチを採

る私の思いです。大学院に入って以後、約30年間、国語の授業を中心に授

業研究に取り組んでいますが、この10年はライフヒストリー・アプローチ

で、いろんな教師たちと授業について語り合っています。

長瀬の自己紹介

 今年で8年目になりました。横浜、岐阜で小学校の教師を6年した後、岐

阜の中学校の教師2年目に入りました。ちなみに、岐阜は小中学校の異動

が多いので意図的に中学校の教師になったわけではありません。

 もともと教育史や伝記はとても好きでした。ライフヒストリー・アプロ

ーチについても、教師の人物史を考え、授業を捉えていくことはこれから

の教師教育にとても大きく寄与できると考え、興味があります。

 教師は同じ授業をしても全く同じにはなりません。今までは、そこには

教師の技量や経験が問われていました。しかし、それ以上に、その人らし

さにつながる授業ができるきっかけになるのではないかと考えています。

ライフヒストリー・アプローチで新しい授業研究の形を模索していきたい

です。

 長瀬─藤原:第1次インタビュー

藤原 小、中、高時代で、いい先生に出会って教師を目指した等、今教師

   であることと繋がっているエピソードはありますか?

長瀬 ないですね。いじめられていました。父親がいじめを助けてくれた

   と思っています。父親がいて、成長したと思います。この辺りのこ

   とは、拙著『若い教師のための読書術』(ひまわり社、2009年)で

   書いています。

藤原 いじめの問題に向き合ってくれた父上のことですが、たとえば仮に

   教師でなくても子どもがいじめられていたら学校に乗り込んでいじ

   めている子どもに向き合う父親はいると思います(実際私の友人に

   そういう経験のある人がいます)。長瀬さんの場合、父上が教師で

   あるが故に、一般人とは異なる、何か独特のいじめ問題への対処の

   在り方があり、そこから「教師ってかっこいい仕事」「俺の使命は

   いじめをなくす教師になること」(『若い教師のための読書術』)

   と感じられたとも思えるのですが、その点ではどうでしょうか?

長瀬 いや、むしろ、一人の大人、親として向きあう姿に教師ってかっこ

   いいなと思いました。特別なことではなく、一人の親としていじめ

   た生徒に話す姿やいじめに対する思いからかんじられました。教師

   を目指す上で父親からの受けた影響は、すごくあります。問題児を

   大切にしろ。大変な子はかわいい、かわいがれと教えられました。

藤原 そういう父上が残念なことに長瀬さんが高校3年生の時に亡くなら

   れるのですが、このことが教師志望の決定的なきっかけになったと

   『若い教師のための読書術』から伺えます。この点は、父上の意志

   (遺志)を継ぎたいといった思いが、高3の長瀬さんをして教師へ

   と向かわせたと見なしてよいでしょうか?

長瀬 よいと思います。実際に亡くなって1週間ほどの間に進路は教育学

   部に変わりました。以前は、外国語学部でした。高校が英語コース

   であり、海外に興味があったので。教師にいずれなれればよいなと

   いう気持ちから、ストレートに教師になろうと。でも、それでもス

   トレートでいっていいのか……という思いはありました。何か違う

   経験を経て教師になった方がよいのではないかという思いがありま

   した。社会経験を踏まないといけないといった社会の雰囲気があっ

   たのだと思います。

藤原 教育学部進学が決まった時、進学先の大学に在籍されていた大橋功

   先生(美術教育学、現東京未来大学)の本『教師をめざす若者たち』

   (プレジデント社、2000年、中国・敦煌での教育ボランティアにチ

   ャレンジした9人の学生の物語)と出会って、「先輩」の「様子」

   を、「まるで近くで自分が見ているような感覚で」、感情移入しつ

   つイメージしながら「読ん」だことが、『若い教師のための読書術』

   から伺えます。なぜでしょうか?

長瀬 この本は大学入学が決まった3月末に読みました。数週間後に入学

   という中で、感情が移入したことと、一人ひとりの記述に自分を重

   ねたと思います。著者の大橋先生には、僕の教師観や授業観をつく

   ってくれる、新しい何かを提供してくれる……そんな人かもしれな

   いという印象を持ちました。

藤原 その後、念願の教育学部入学ですが、いただいた資料(教師になる

   までの学習歴)に「が、教師になってもよいのか考え始める」とあ

   ります。その辺りのこと、お聞かせください。

長瀬 1回生の時は苦痛でした。まず、先の大橋先生の授業がない。わり

   と一般的な教養の話で、一斉型で受けているような講義ばかりでし

   た。僕の中で楽しい授業(その当時は先生が楽しい話をするという

   授業観)が少なく、これでいいのかという問題意識がありました。

   この頃、ただ授業を受けて、採用試験を受け教員になっていいのか

   という意識がありました。受かるためではなく、「なる」という意

   識を共有できる仲間がいて、自主的な教育サークルに繋がっていっ

   たと思います。

藤原 教採に受かるではなく、教師に「なるという意識」という点、なれ

   ればいい=受かればいいではなく、なって教師として通用する、そ

   れをめざして今学ぶべきといった意識と理解していいでしょうか?

   この点、受験勉強で身に着けた学習観=効率性重視(最小の努力で

   目の前に与えられた学習目標を達成さえすればいい)のままでいる

   と、教採も受かりさえすればいいといった発想に留まってしまうと

   思います。長瀬さんは、ここで言う受験的学習観とは異なる学習観

   を、高校時代から持っていたのでしょうか?

長瀬 たしかに「なって教師として通用する、それをめざして今学ぶべき

   といった意識」がありました。面白いことに、受験的学習観もあり

   ましたが、そうではない、陶冶的な学習観というものが同時にあり

   ました。これは、簡単にいえば、人として成長する学び方という考

   え方です。僕は両方必要だなと。しかし、多くの人はどちらかに偏

   っているなという気がしました。

藤原 先に触れられた「なる」という意識を共有できる仲間とのサークル

   ですが、こうした人(たち)とどのようなきっかけで出会ったので

   しょうか?その場合、教育サークルを作って学び合おうという発想

   は長瀬さんから出たのでしょうか、それとも友人からでしょうか?

長瀬 仲間の側からですね。出会った人が教育学部ではなかったので、問

   題意識が高かかったと思います。一緒にやろうと誘ってくれました。

藤原 このサークルは、現在ある教育サークル「未来の扉」

   (http://blog.goo.ne.jp/miratobi)へと繋がっていったのでしょ

   うが、どんな活動に取り組んだ紹介して下さい。

長瀬 『若い教師のための読書術』でも述べましたが、外部の吉永幸司先

   生(国語科教育学、京都女子大学)をお招きしました。吉永先生の

   お話では、授業の作り方、教材の扱いを深く印象に残っています。

   また、小幡肇先生(奈良女子大学附属小学校)の授業を自主的に参

   観しました。授業をとにかく見に行こうとはりきっていた時期でし

   た。

藤原 そうした間に、長瀬さんはかなり読書経験を積まれているようです

   が、印象に残っている本を紹介して下さい。

長瀬 その時には、佐藤学さん(教育方法学、東京大学)の本を読んでい

   ました。佐藤さんの『教育の方法』(放送大学教育振興、1999年)、

   『授業を変える学校が変わる─総合学習からカリキュラムの創造へ』

   (小学館 、2000年)が感銘に残っています。教師が子どもに寄り

   添う姿が父親の姿と重なったのだと思います。デューイやアランな

   どの古典にも挑戦しました。完読はできませんでしたが……。

藤原 先の「一斉型で受けているような講義で」「これでいいのかという

   問題意識」が1回生の時にあったとのことですが、大学の授業を通

   しての教師になるための学びは、その後どう展開しましたか?

長瀬 それまでの僕の最初の授業観は、高校までの一斉授業への反発→父

   親の反抗児をかわいがる生徒主役の姿勢への共感→子ども中心的な

   授業の創造への共感→1回生の授業の形への反発という具合に展開

   してきています。『若い教師のための読書術』でも述べましたが、

   2回生で西之園晴夫先生(教育工学、元佛教大学)の教育方法学の

   授業や、先の大橋先生との出会いがあって、授業観が大きく変わっ

   ていきますが、その萌芽は1回生にあったのだと思います。西之園

   先生はゼミの先生でもありました。授業とは学習とはいった概念、

   観の転換をさせてくれた先生です。西之園先生は、学習課題を出さ

   れ、それをグループで取り組むといったもので、今まで体験したこ

   とがない授業でした。大橋先生は授業というより、何気ない話の中

   に教師としての心構えを教えてもらいました。一緒にNYに研修に行

   ったりしました。


藤原のコメント

 長瀬さんとは、ネットワークの集会で少しお話しましたが、まだ十分に

は知り合っているといった状態ではなく、率直に言って手探り状態でした。

そんな中で、今回私にとって発見だったのは、長瀬さんの学習観です。教

師になって意識的に(たとえばネットワーク誌を購読して実践に役立てる、

集会に参加してレポートを出す等)実践する人は、上記の受験勉強的な学

習観を大学時代に何らかの形で組み替えていると、私は思っています。

 長瀬さんの場合もそうで、すでに高校時代から受験勉強的なものだけで

はない学習観を抱いた、それを種に大学時代に教師になるための、またな

ってからも必要な自己を振り返り自己を向上させることこそ学びだという

学習観、与えられた目の前の課題を体よくこなすことが学びだというので

はない、本物志向の学習観を形成されたのではと思います。こうした学習

観が、長瀬さんの授業観の根底にあるのではということを、考えさせられ

ました。

 次回以降は、新人期(1年目)の格闘、初任期(3~5年目ぐらいまで、

教師として一応安定した時期まで)の学び、現時点からみた教師としての

成長の意味付け(ライフヒストリー・アプローチでキャリアを検討するこ

との意味)といったテーマで、進めていきたいと考えています。

長瀬のコメント

 率直に学習観って大切だなと思いました。教える前に、教師がどのよう

に学ぶか、学ぶべきかを考えておくことで授業がもの凄く変わると思いま

した。これは、僕にとって大きな発見でした。藤原さんとの出会いによっ

て新しい学びが生まれました。感謝です。

授業づくりネットワーク誌の最新号

http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html

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【編集後記】

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 長瀬さんは「教える前に教師がどのように学ぶか、学ぶべきかを考えて

おくことで授業がもの凄く変わると思いました。た。これは、僕にとって

大きな発見でした。」と述べていらっしゃいます。この「対話」を読みな

がら私も、やはり私自身の学び方について、考えざるを得ない気持ちにな

っています。また、自己の学びのプロセスを振り返るためには、一人で考

えることでは不十分だということも感じています。「大きな発見」が自分

の中に起こるためには、すぐれた「対話」が必要なのだと、考えます。

 次回日曜日発行の116号は、東北から、初登場の成瀬陽子さん。ハイブ

リッドチームからの発信です。どうぞお楽しみに。

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」

第115号(読者数1709) 2011年7月15日発行

編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com)

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