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私立の中高一貫校で国語を教えています。

2009-02-20

『川の少年』ティム・ボウラー/入江真佐子訳 13:34 『川の少年』ティム・ボウラー/入江真佐子訳 - 『学び合い』の文化を教室に を含むブックマーク はてなブックマーク - 『川の少年』ティム・ボウラー/入江真佐子訳 - 『学び合い』の文化を教室に 『川の少年』ティム・ボウラー/入江真佐子訳 - 『学び合い』の文化を教室に のブックマークコメント

川の少年 (ハリネズミの本箱)
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おすすめ平均 star
starどうして泣いているんだ?
starこんなには泳げないけど

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幻想的な、美しい物語。

肉親との永遠の別れというのは、身を引き裂かれるような痛みを伴います。

子どもの頃、自分の祖母や両親が自分より早く死ぬだろうということに気づいた時の物理的に感じるほどの恐怖は忘れられません。

この物語では、最愛の祖父の死を、少女がどのように受け入れていくのかが「川の少年」という謎の人物との出会いを絡めて描かれていきます。

一番印象に残ったのは、主人公のジェスが川の源流に近いところから河口まで泳ぎ続けるシーンです。

高校の時に水泳同好会を作って、毎日毎日泳いでいた身としては、泳ぐことに人生を感じることがあります。

25メートルプールで何度も何度もターンをくり返しながら泳いでいると、「向こうに着いたらもう泳ぐのをやめよう」と思っているのに、ついターンをしてしまって、「今度こそ、向こうへ着いたらやめよう」とまた思いつつ泳いでいたりします。

これに隣のコースに泳いでいる奴がいて、途中で抜かされていったりすると、さらに焦りが加わって、自分の泳ぎが乱れてきて、自分をコントロールすることのむずかしさを痛感します。

そういう経験があるので、ジェスが海に向かって泳ぎ続けるシーンで、思い悩んだり、泳ぐのをやめようと考えたりするのは、とてもよくわかりました。

もう一つ印象に残ったのは、家族の絆です。

ジェスの目を通して描かれる両親、そして祖父が、それぞれにジェスに深い愛情を注いでいることが言葉だけでなく、その行動を通して伝わってきます。

ジェスもそんな周りの大人の心の動きを理解して、けなげに振る舞っているのですが、そういう温かい人間関係に感動しました。

生徒にも勧めたい一冊です。

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