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私立の中高一貫校で国語を教えています。

2008-01-05

ライティング・ワークショップ一日目。 00:15 ライティング・ワークショップ一日目。 - 『学び合い』の文化を教室に を含むブックマーク はてなブックマーク - ライティング・ワークショップ一日目。 - 『学び合い』の文化を教室に ライティング・ワークショップ一日目。 - 『学び合い』の文化を教室に のブックマークコメント

今帰ってきて、おいしいコーヒーを入れて一息つきながら、今日のワークショップを振り返っています。

そう、振り返りってすごく大切なんですね。

メディア研究会の1月例会で行われるライティング・ワークショップ。

実は西川先生の本をアマゾンで注文しようとした時に「この本を買った人はこんな本も買っています。」というおすすめに従って、吉田さんの本を何冊かポチッと注文しました。

そして、『効果10倍<学び>の技法』を読んで、吉田さんにメールを送り、何回かのやり取りの中で、このワークショップへ誘っていただいたのでした。

作文を書くのに参考になる本を持ってきてほしいということだったので、9冊鞄に詰め、吉田さんの本も9冊他の鞄に入れ、さらに『学び合う教室』も持って家を出ました。

会場は武蔵溝ノ口下車徒歩10分の男女参画センター。会場に向かう途中でO田さんに遭遇。聖学院大学のディベートの授業の様子をうかがい、ドラえもんディベートのビデオを新しく作ろう、なんて話をしているうちに会場に到着。

そしてN村さんに久しぶりに会って挨拶をし、吉田さんにお会いして挨拶をし、二階堂高校のS藤さんに挨拶をし、「ブログを見ている」というS田さんに挨拶をし、到着した人に片っ端から手づくりの名刺を渡し、といったことをしているうちに時間となってワークショップが始まりました。

吉田さんは、想像していたより背が高くて、ちょっと異国の雰囲気が漂う(?)ような感じの方でした。

ディベートや授業づくりネットワークで、立て板に水のように司会進行をする講師に慣れている身からすると、最初は「ん?」と思うほど朴訥な感じの入り方でした。でも、後から考えると、実にタイミングよく声かけをされるんですね。20名の参加者に対する目配りは流石だと思いました。

アイスブレークで一人1分ずつ自己紹介をした後、2日間の目的を3点確認しました。

1 本来のライティング・ワークショップは書きたいと思ったことを延々と書いていくのだけれど、今回はそうした原型ではなく、ある程度の制限を設けることになるかもしれない。しかし、実践をした小学校ではクラスの8〜9割が書くことがキライだったのに、2学期の時点で大好き!という生徒がほとんどになった。書きたいことを書くアプローチの素晴らしさを味わってもらいたい。

2 体験したことのどこが実践に役立てられるか、グループで交流しながら検討したい。

3 中高大学版のライティング・ワークショップの本を作るためのチームづくりをしたい。

大切なのは2日間で終り、ではなく、継続すること。

という確認のあと、「読み書き」についてのタイムラインを書いたものを使って、小グループの中でそれぞれの「読み書き」のトピックについて分ち合いを行いました。(本来アイスブレーク、タイムラインの記入の順番のはずが、到着が遅れた方がいたため、タイムラインを書いてから、アイスブレークをしました。)

ランダムに動いて3〜4人のグループを作りました。僕は横浜国大のK倉さんと、S藤さんと一緒になって、それぞれの「読み書き」の歴史について幼児期から現在までの印象に残るトピックを紹介し合いました。これはお互いのことを理解する上でも実に楽しく有効な時間でした。

次に、吉田さんから5つの課題が出されました。

1 書くことの指導でうまくいっていること

2 書くことの指導でうまくいってないこと

3 システムレベルで変わらないといけないないこと

4 書くことの指導がうまくいく条件

5 私の中で変わらないといけないこと

吉田さんが入っていたチームを分解して5つのグループに分かれました。

僕たちの所には、捜真のM先生が加わり、1のテーマについて検討することになりました。

ホワイトボードを使っていいということだったので、僕が書記になって、マインドマップの形でブレーンストーミングで出てきたことをマッピングしました。

次にギャラリーウォークという手法を使って、グループごとに時計回りに他のグループの書いたものを見てゆき、五分間ずつそれに書き加えることがあれば違う色のペンで書き加えるという作業をしました。

この書くことについての検討とギャラリーウォークを合わせて1時間。出来上がったものは実に示唆に富んだそれぞれの知識と知恵の集合体でした。

ここで昼休みになりました。

ホワイトボードや壁に掲示されたそれぞれのまとめを見ながら、この1時間は講師の吉田さんは全く話をせず、受講者の我々が活動することでこれだけの知識を共有し合うことができた事実に感激していました。

もし、講義形式で同じ内容をレクチャーしようとしたら、一日かかったでしょう。それをわずか1時間で成し遂げてしまったんです。

これを授業に置き換えたら…と考えたとき、『学び合い』の素晴らしさが実感できました。ギャラリーウォークはまさに可視化を行ったわけです。ということで、午前が終わった所で非常に興奮していました。

昼休みはK倉先生と留学生への指導から、メディアリテラシー、ドラマ教育などについていろいろとお話をして楽しかったですね。

午後はまず午前中の小グループでの作業についての振り返りから始まりました。ノートの1ページを二つに分けて、左側によかったことを書き、右側に書いたことからさらに気付いたことを書き出します。

そして書いたことを発表し合って分かち合いました。

次の作業は「過去2週間に書いたこと」を思い出してできるだけ書き出してみるということでした。

10分ほど書き出した後、グループを再編し、6つの新しいグループに分かれました。

そして、3つのグループは何を書いたのかをそれぞれ1枚の紙に書き出し、残りの3つのグループは書いた目的を確認していきました。僕たちのグループは書いた目的をまとめて行きます。一人ずつ何を書いたかを発表し、その目的をまとめて行きました。

4人で五周以上したんじゃないでしょうか。僕だけでも

名刺を書く(コミュニケーションのため)

推薦書を書く(説得のため)

読んだ本の抜き書きをブログにアップする(共有のため)

読んだ本の抜き書きをノートに書く(自己啓発のため)

聖書の抜き書きをノートに書く(決意表明のため)

アンケートを書く(図書券を得るため)

などを発表しました。

それぞれのグループでまとめた紙を提示しながら分かち合いを行いました。

気がついたのは、こうした行った「書く」行為のほとんどが、嫌々ではなくむしろ楽しみながら行っているということでした。

しかも、学校で教えている作文に比べて、なんと多彩なことでしょう。

吉田さんから書くことと書くこととを学ぶことの整合性が大切だという確認が行われました。

我々は生きて行くために書いているんですね。それも本当に多様なものを書いています。そのことにあらためて気付きました。

次はいよいよライティング・ワークショップの手法を一つをやってみました。

まず「作家ノート」の見開き左ページに、昨日したこと(2008年1月4日)を箇条書きで書きます。

昨日は自宅での仕事始めでしたから、仕事をナンバリングしながら書き出して行きました。8つの仕事をこなしたんだなあということがわかりました。

次に右ページに、左ページに書き出したことから思ったこと、面白いと思ったこと、心に残ったこと、質問などを書き出して行くように指示されました。

左ページを見ながら、例えばこんなことを書きました。

朝起きることの意味(長男が寝坊して朝ご飯にありつけなかったことに対して)

周囲を片付けてから仕事をすることの大切さ(布団を干した後、マクラが散乱していた)

面白い本との出会い→行動化、分かち合い(吉田さんの本の感想をまとめたことに対して)

食欲の奴隷にならないためには?(お昼ご飯のお好み焼きで作っている妻がお代わりをしていないのにお代わりをしたことに対して)

こうしたことを書き出して行きました。

さて、その次は、「右ページに書いたことから、これについてなら書けそうだということについて、10分間、ひたすら書いてみよう」という作業でした。

吉田さんからは「自分に対する期待をできるだけ下げて」「書いてみて大切だと思った所には傍線を引く」「新たな発見があった所には波線を引く」という指示が出ました。

僕は「食欲の奴隷にならないためには?」ということについて書きました。

10分後、グループの中でそれぞれが書いたことに関して、二周程度分かち合いをしました。

これが面白かった。

S条さんはふと見かけた近所の家の玄関の様子から、済んでいる老夫婦の精神的な若さについてまとめていました。

K島さんは、電車の中でお化粧のコンパクトを開くのと、DSを開いてゲームをしている人ととの共通点について考察をしました。

F城さんは、大好きなサルサのダンスのことについて書くうちに、踊りよりも前に体が存在しているということに気付きました。

それぞれの方の話を聞いていると、そこからまた新しく書きたい題材が見えてきて、ものすごくワクワクしました。


と同時に気がついてしまったんです。

それは午前中にまとめた「書くことの指導でうまくいかないこと」の中にあった「生徒たちの生活経験の貧しさ」というのが、実は我々が生徒たちに気付かせるだけの指導をしていなかったんだということに。

我々4人が作文の題材として選んだのは、食べること、通勤の時にふと見かけたこと、電車の中で考えたこと、仕事の後で踊るサルサのことです。

生徒に置き換えてみれば、食事、通学途中、放課後(部活)といったありふれた出来事のなかで、気がついたことなんです。

それを振り返ると、昨日一日の出来事を思い出して書くこと、これはそれほど大変なことではありません。

そして書き出したことを眺めて、面白いなと思ったり、突っ込みをいれてみたりすること、これも簡単なことです。

だから、次にその中から「書けそうなものを一つ選んで」といわれた時に、ほとんど抵抗なく「この中のどれから選ぼうかな」とスムーズに選ぶことができました。教師から与えられるのではなく、自分の中から生まれてきた疑問だとか、面白いと思ったことだから、10分間書け、と言われても、何とかなってしまうんです。藤城さんは「自分に対する期待をできるだけ下げて」と言われたことで安心して書けた、と感想を述べていました。文体も、常体、敬体ごちゃ混ぜでもいいわけです。

そして、自分で読み直して、「ここが大事」「ここは書いてみて気がついた」という所に線を引いたり、波線を引き、その上で3〜4人の中で分かち合いをするので、自分が書いたことを話したくて仕方がない、という感じでした。

こうして「作家ノート」に書くことのネタをストックして行った上で、「作家の時間」には、改めて書き出しをどうするか、全体の構成をどうするか、という構成などを考え、書いた上で最終的な校正を行うということになります。

僕が今までやってきた作文指導では、乱暴な言い方をすれば、いきなり校正しながら清書、という場合もありました。

本当に生徒たちに申し訳ないです。

そうこうするうちに、あっというまに4時になってしまいました。

「作家ノート」に書いたことを小グループで分かち合っている時間が、実に楽しく、幸せでした。

そして「作家ノート」は何よりの宝物になるに違いないと確信しました。

もし、出版まで行きつかなかったとしても、一年間この「作家ノート」を書き続けることだけでもその子にとって、一生の宝物になるんじゃないか、と話し合いました。

昨日の出来事を思い出して書くこと以外に、どんなアプローチの仕方があるのだろうと思っていたら、K倉さんからこの本がいいと紹介していただきました。

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早速注文しました。

さらに「In the Middle: New Understandings about Reading, Writing, and Learning (Workshop Series)」Nancy Atwell 著には、ライティング・ワークショップだけでなく、リーディング・ワークショップの様々なアプローチもたくさん紹介されているので、訳しながら読むように薦められました。

二次会でもS田さんがIn the Middleをアマゾンに注文して、これから読むんだとおっしゃっていて、ぜひ、僕も挑戦したくなりました。問題は、アマゾンにどうやって注文したら良いか、洋書の注文と支払い方法がわからないという点ですね。

それから、信州大のS藤さん、S田さんと西川先生の所に是非押し掛けようという話も盛り上がりました。

こちらも日程がフィックスしたらぜひ実行したいと思います。

S田さんとはディベートのお話も色々しました。

「京都の先生で、ブログを書かれている有名な先生がいますよね。あの方と同じ団体なんですか」と言われましたので、1995年あたりからディベートの夢を語る会までさかのぼって解説してきました。

いやー、楽しかった。

勢いに任せて書いているうちに、12時を回りましたね。

まだ明日があるのでこのくらいにして寝ます。

あべたかあべたか2008/01/06 04:10ライティングワークショップの内容もさることながら、
うーん、イクトスさんの心の変化、感じたことが書かれているのがすてきです。

ライティングワークショップに関しては、いわせんさんの紹介で知ってはいるのですが「ただ書くだけでしょ?」とちょっといぶかしんでおりました。

すてきな時間を持つことができるようですね。
これを、例えば、小学校の教育課程(教育計画)に組み込むことは可能なのでしょうか。

わたしも吉田さんのグループか何かあるのでしたら、ぜひまぜてもらえないかなと思っております。

sumi-chansumi-chan2008/01/06 16:58はじめまして。埼玉県で小学校教員をしています、山口と申します。
岩瀬さん主宰のワークショップグループ「楽学」で、一緒に学ばせてもらっています。ライティング・ワークショップの話も聞いていて本もすでに持っているのですが、実践どころか本も少ししか読めていない状態です。

今回のワークショップも参加できず残念でしたが、筑田さんがブログに詳しくレポートして下さったので、ありがたく興味深く読ませて頂きました。

「自分に対する期待をできるだけ下げて」という一言に、こう言われたら自分も安心して書けるだろうし、子ども達も安心して書けそうだなと思いましたが、一方でどきっとしました。

いろいろな方のブログなどを読ませて頂いて、コメントしたいなと思ったり、日々のできごとの中で自分のブログに書き留めておきたいと思うこともあるのですが、うまく言葉にできそうにないからやめてしまったり、書いている途中で断念してしまったりということがよくあります。自分のそういう様子が思い出され、「うまく書ける」ことに対して、期待をしていたのか…と、気づかされました。

これからもブログを楽しみに読ませて頂きます。
よろしくお願いします。

澤田澤田2008/01/06 19:10筑田さま。澤田英輔です。
とても詳しいレポートでびっくりしています。
昨日今日と本当にありがとうございました。
筑田さんの名刺はとてもユーモアにあふれていて、クールでした。

ライティングワークショップ実践の中学部会?として、
今後いろいろとお世話になります。よろしくお願いします。

ikutosuikutosu2008/01/06 19:38>あべたかさん
小学校でこそ、うまく活用できると思います。
何てったって、授業を担任がやりくりできますからね。
専科の中高だと縛りがあるので、工夫が必要です。
特に公立の中学のお話を聞いて、本当に大変だなあと思いました。

>山口さん
ようこそいらっしゃいました!
コメントしていただけて光栄です。
つたないことを書き散らしておりますが、
1 ここは良い!
2 「んん?何が言いたいのかわからないぞ」
3 (ここは変えた方が良いんじゃないの?)
4 ラブレターを送ってあげよう。
「大切な友達」というアプローチの方法です。今回のワークショップで学びました。3は直接的なダメ出しじゃなくて、質問の形で言ってくれるとうれしいです。
これでコメントはバッチリです!
これからもよろしくお願いします!

>澤田さん
「さま」はやめてくださいよう。
名刺、腱鞘炎になりかかりながら書いた甲斐がありました。うれしいです。
中学部会、やりましょう!帰りの電車の中で、門倉さんに「リーディング・ワークショップ」についてもちょっとお話を伺いました。
4月まではまだ間がありますから、あと3ヶ月、いろいろとリサーチし、ブレーンストーミングし、さらにバージョンアップしちゃいましょう!

iwaseniwasen2008/01/06 20:04ikutosuさん
岩瀬です。詳しい報告ありがとうございました。
読んでいて、まるで参加しているような感覚で読むことができました。
小学部会(?)とはまたひと味違うWSだったようで、参加したかったです!
いよいよ、中学部会、動き出すのですね!楽しみです。

>あべたかさん
やはりいぶかしんでおられましたか(^_^;)
これからぜひ一緒にやれるといいなあと思っています。

「大切な友達」アプローチは、拙著『効果10倍の学びの技法』に載っていますがとても効果的な方法です。ボクの学校では研究授業あとの協議会でも使っています。

ikutosuさん、今日も報告楽しみに待っていますねー!

iwaseniwasen2008/01/06 20:06追伸です。
『魂の文章術』はオススメです。
ボクも吉田さんに紹介されて読みましたが、参考になることがたくさんあります。

『in the middle』訳しながら読む会(?)、ぜひボクも混ぜて下さい。全く英語ダメなのですが、是非読んでみたい本なので・・・

KAIKAI2008/01/09 02:20こんばんは。
小学校部会?の甲斐崎といいます。
今後ともよろしくお願いします。
↑の岩瀬さんや山口さんと一緒になにやらいろいろ画策しているものです。
中高大部会の方々といつか一緒に学べるのを楽しみにしています。

ikutosuikutosu2008/01/09 05:32>甲斐崎さん
いらっしゃいませ。
「いろいろ画策している」という表現、怪しげで好きです。うふふ。
もうすぐ事例集が出るのですよね。楽しみにしています。

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