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峰本のくもり時々「学び合い」日記

2010-12-29

[]『デジタル教材の教育学』 18:14

デジタル教材の教育学

デジタル教材の教育学

 休日の今日,年賀状作成やら原稿書きやら,やらなければならないことは山ほどあるが,まず何よりやらなければならないのが,この本のメモ取りである.1週間ほど前に読み終えているこの本は,私の研究にびんびん当てはまってくるすごい本だ.そこで,この本のメモ取りをしようと,ずっと思っていた.

 今日は子どもの宿題を見てやらなければならない.そこで,PowerBookをリビングに持ち込み,息子に宿題をさせている横でPowerBookを開いて,メモの打ち込みをやっている.でも,これはいいね.息子の宿題は算数なので,彼を叱咤激励しつつ,こちらはメモを打ち込み,息子の作業が一段落したら,答えを確認してやっている.おかげでメモ取りも半分程度終わったし,息子の宿題も今日の分が終わった.ただし,こたつの上でやっているので,腕が少々上に持ち上がりすぎてしまうのが難点だが.

 このメモ取りをしている中で必需品だと思ったのがブックスタンド.本を打ち込むときに,別の本でページを抑えているのだが,これでは極めて効率が悪い.そこで,午後からは気晴らしもかねてお買い物に行く.買ってきたのはこのブックスタンド.

 これはノートパソコンのスタンドとしても使える点がいいかなと思った.また,ブックスタンドとして使う際に,ページ押さえをしたままでページをめくることができるという点もよいと思った.ただ,実際使ってみると,ページ押さえが思ったよりも軽くて,本があまり安定していない.

 まあ,本を抑えに使っていたときに比べると別世界だけれどね.

2010-10-22

[]『絵で見る十字軍物語』 09:10

絵で見る十字軍物語

絵で見る十字軍物語

 図書館の本だが、読み終えた。なかなか興味深く、面白かった。詳しくは右の「ブクログ」へ。

2010-10-11

[]『獣の奏者・外伝 刹那』

獣の奏者 外伝 刹那

獣の奏者 外伝 刹那

 もう、懇意にしている出入りの書店の方がこの本を持ってきてくれた時は幸せでたまらなかった。私はこの本が出ていることを知らなかったのだ。『獣の奏者4 完結編』の後書きでこうした「外伝」が出ることは知っていた。しかし、それがこの時期に出版されているとは知らなかった。だから、書店の方が持ってきてくれた時はもう嬉しくてならなかった。本当に書店とは懇意にしておくものである。

 さて、家人の者も読みたいというので、まずは私が早く読み終えなければと、他の読むべき本を後回しにして読み始めた。いやぁ、素晴らしい。今日読み終えて、まだその余韻に浸っている。聖書のお話の準備をしなければならないのにね。

 本編ほどのスケールの大きい世界観はないが、それでもエリンとイアルの恋やエサルの秘めた恋など、読み応えのある物語が、でも単純に恋物語だけではなく、親子の情愛、イアルという特殊な立場にある者の葛藤、エサルが経験してきた学びの場と師との交わり、そして彼女の身分のしがらみへの切ない思いなど、様々なことが重層的に重なり、物語の奥行きを何重にも深めている。いやはや、面白い。その存在感の確かさに舌を巻くばかりだ。

 逆に言えば、その存在感の確かさがリアルであればあるほど、物語世界においてエリンとイアルがすでに亡くなっていることが切なく哀しく感じられる。それはあんまりだと、作者に文句を言いたくなる。そこまで物語世界に入り込んでいる自分に驚くばかりである。

 ともあれ、面白かった! 家人に回す前に、もう一度読もうかな?

2010-09-24

[]『ウェブで学ぶ』 07:37

ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)

ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)

 梅田望夫氏の本の最新作である。オープン・エデュケーションの現在の動向と、その意味、今後の影響について記されている。この本は、今読んでいる最中なのだが、非常に刺激的である。また、私の進むべき今後の方向性を大いに示唆してくれて、非常に興味深い。

 愚かなことであるが、私はまだ大学院での研究指針を絞りきれていない。最近の興味・関心は読書教育にあり、リーディング・ワークショップの本を読んだりしている。だが、修士の時に研究していた情報教育の観点から見た国語科指導の方向性もなかなか捨てたものではない、と思い始めている。国語科と情報教育との関連は、特に高校段階での研究はあまり進んではいないそうなのだ。しかし、今後それはどのようであるべきなのかは、大変重要な問題であろう。

 もちろん、読書教育という方向性も今後必要になってくるものであり、その重要性も全く変わらない。だが、最近はリーディング・ワークショップやライティング・ワークショップがある程度の一般的な認知を得てきて、今後の伸びが非常に期待される。そんな中、私にとって全く新たな分野を進めていくよりも、ある程度でも研究してきた分野をさらに進めた方が良いのではないか、と思い始めたのだ。もちろん、この二つは私の中では連続しているのだけれどね。

 そんな状態の私にとって、この本は非常に示唆的である。情報教育と国語科との関連は最近また少し変化があるようだ。以前よりももっと「ITを活用した国語科の授業」の在り方が推奨されている。これには少し驚いた。私の以前の研究は、ITを使わない形での国語科授業の在り方についてであった。ITを使う授業にはどのような形が考えられるのか、そんなことを考えるのに、この本は最先端の姿を示していてくれて、興味深い。

 とはいえ、もうすぐ10月だよ。大学院に入学して半年、そろそろ研究の方向性を定めたいものだ。

2010-09-01

[]『モチベーション3.0』 07:02

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

 最近、本の紹介は「ブクログ」で行ってしまうので、こうしてblogで本の紹介をすることが少なくなってしまった。でも、少しずつですが本は読んでいます。

 この本はRWのメンバーから紹介されたものである。非常に興味深かった。RWやWWの背景となる人間観について理解が進む。これは『学び合い』についても同様である。

 『学び合い』の皆さん、この本をお薦めします。

2010-04-26

[]『iPhone仕事便利帳』 07:09

 iPhoneを便利に使う方法300をまとめて紹介している。中には私の知っているもの、あまり関係なさそうなものも多数含まれているが、それでも知らなかったこと、興味深いこともあり、なかなか良かった。特に、それぞれの紹介が多くても1ページでまとめられているので、気軽にどのページからも読めるのが良い。

 この本のせいではないが、私のiPhoneについにスケジュール・アプリを入れた。「Pocket informant」である。これはスケジュールとToDoを1つのアプリで管理できる。私はToDo管理をかなり必要とするので、両方使えるものがいいと思ったのだ。

 このアプリは私にとって初の有料アプリである。今まで徹底的に無料アプリのみで使ってきた。しかし、スケジュールだけは無料では使えない。思い切って購入してみた。今のところ、なかなか使いやすい。

2010-04-13

[]『読書は1冊のノートにまとめなさい』 06:54

 同じ著者による『情報は1冊のノートにまとめなさい』がベストセラーになって久しいが、これはその読書版。どんなものかと思い、読んでみた。

 A6のノートに読書ノートを書こう、ということだ。方法は、引用+感想というもの。それを次々に積み重ねていく。焼き鳥のねぎまのようなので、「ねぎま式読書ノート」と命名しておられる。

 本を読みながら、自分の認識を変えられた箇所を中心に、ページの端を折っておく。読み終わった後に、それらのページを開いて引用すべき部分に線を引く。そして、それをノートに書き写すとともに、自分の感想を簡単に書き記す、というものだ。

 それらのノートは、時系列にただ積み重ねておくだけ。それを検索するのはコンピュータにさせる。書名と日付と簡単な分類コードを入力しておき、その情報を用いて検索をし、実物はノートに当たる、というわけである。このようにして、ノートを保管しておけば、本そのものは手放すことができる、というわけである。

 検索云々の箇所はともかく、引用+感想の読書ノート、その再読・再々読の仕方、情報をノート1冊に一元化するというノートの取り方など、参考になる部分が多かった。ただ、これは研究レベルには向かないかな、と思った。研究の場合、引用箇所を再利用することが多くなる。これは最初からデジタルデータ化しておく方がよいだろう。

 最近、この手のジャンルに凝っている。本からの情報入手法やノート術である。今年は、これらの知見を元に、私の情報管理法が変わりつつある。情報の一元化というものを実践してみようとしているのである。分からなくなったら、とにかくあのノートを見ればよい、という安心感は、確かに良いね。

2010-03-31

[]『多読術』 04:35

多読術 (ちくまプリマー新書)

多読術 (ちくまプリマー新書)

 これらのドタバタの合間に、これまた読み終えたのがこの本である。以前にも書いたように、マーキング読書術は参考になった。また、自分なりの年表を作り、本を読んで得た知識をその年表にマーキングしておく、というのも面白かった。

 松岡正剛氏らしく、読書を編集作業と捉えているのが興味深かった。確かに、自分の認知の編集作業であるだろうね。そう考えることで、読書への一種神聖視するだけの呪縛から逃れることができるだろう。

2010-03-18

[]『バルサの食卓』 06:56

バルサの食卓 (新潮文庫)

バルサの食卓 (新潮文庫)

 上橋菜穂子作品に出てくる様々な料理を実際に作ってみよう、という本。料理のレシピがついており、料理が得意ではない私にとってはあまりピンと来るものがないのだが、それでも十分に楽しめた。それだけ、上橋菜穂子作品における料理の意味合いが大きい、ということなのだな。そう言えば、村上春樹の小説に出てくる料理を作ってみよう、という本もあったはずだ。良い作品では、良い料理が出てくるものなのかな。

2010-03-12

[]『ワールド・カフェをやろう!』 07:57

ワールド・カフェをやろう

ワールド・カフェをやろう

 最初は早稲田大学の向後千春先生のblogで知った「ワールド・カフェ」である。なかなか良さそうな会議・研修の方法だと思っていたが、その後、『ワールド・カフェ』の翻訳者であるお二人による解説本が出たことを「ライティング・ワークショップ」のMLで知った。それがこの本である。来年度の国語の授業に参考になることがあるかと思い、購入した。

 これはなかなか良さそうである。ワールド・カフェとは、次のようにして行う。

  1. 4人1組のグループを作る。
  2. 提示された問いについて、話し合う。
  3. その中の1人を残し、3人は旅人となって他のテーブルに行って話し合いを続ける。その際、残った1人は前に話し合われた内容を紹介する。新たな3人は自分たちが話してきた内容を紹介しながら、つながりを確認し、新たに付け加えていく。これを「他家受粉」で例えている。
  4. 再び最初のテーブルに戻り、旅人となった3人と残った1人とが新たに得てきたアイディアを紹介しつつ、つながりを考え、気づきを確認する。これを「ハーベスト(収穫)」と例えている。
  5. 最後に、各テーブルでのまとめを発表し合い、全体でふり返りをする。

 この際に、テーブルに模造紙を置いておき、そこに気づいたアイディアを自由に書き込むのである。また、軽くお菓子などを用意しておき、まさに「カフェ」でおしゃべりをしている気持ちで問いについて考えるのである。

 これは良いよね。確かにメンバーの合意形成は雑談から始まることが多い。私も、現在の学年ではメンバーと大いに雑談をした。私にしては珍しいくらいに雑談に花を咲かせ、親睦を深めるとともに合意を形成し、また次のステップへとつなげていった。雑談ができる、という関係は非常に重要だ。私はこの本を読んで、それをヒントに教務室の机の配置を変えるという新3学年の提案に賛成したくらいだ。

 私としては、授業における「ふり返り」の重要さの観点から、この本のいくつかから示唆を得た。そして、ふり返りの手法としていくつかのヒントを得た。この本は、実際のワールド・カフェの様子を多く紹介してくれているので、その点で大変参考になる。

 良い本だ。これはやはり、大元の『ワールド・カフェ』を読まなくちゃいかんかなぁ。こうした、コラボレーションの手法やダイアログの手法、またファシリテーションの手法について理解を深めるべきである。そのあたりから、新しい授業の進め方が見えてくる気がする。

2010-03-09

[]『ワークショップ型授業が子どものやる気を引き出す』 06:38

 たびたび紹介していた本だが、読み終えた。今後の授業について、いくつもの示唆を与えてくれた良書である。

 特に、ワークショップ型授業において、「ふり返り」が大事であることが印象に残った。他の本の内容ともリンクしたせいもあるかもしれない。そして、私自身の授業に一番欠けているものであると思う。

 来年度の授業では、この「ふり返り」を意図的に取り入れて、生徒のメタ認知力を鍛えたい。

 また、ワークショップ型授業では「試行錯誤」を意図的に起こすことが重要なのだとも教えられた。なるほどね。単に予定された内容を共同で学ぶのなら、ワークショップでもなんでもない。そこに試行錯誤が意図的に仕込まれ、生徒同士が協力しつつ試行錯誤していくところに、新たな学びが起こる。生徒自身が新たな知を創り出す。私も予測し得ない、新鮮な知が生まれる現場を見ることができるだろう。

 これまた、来年度の授業に生かしたい。

 この本は、再読が必要だ。そして、内容をまとめていかなければ。

[]『考える子どもを育てる京女式ノート指導術』・『子どものための論理トレーニング・プリント』 06:38

子どものための論理トレーニング・プリント

子どものための論理トレーニング・プリント

 最近、ノート指導に関心を持っている。私の授業では自作プリントを大いに活用する。しかし、それはこちらの意図する授業内容に生徒を誘導しているだけではないか、と思う。できれば、生徒自身が自分のノートを使って学習をし、学習内容を自分でまとめ、体系化していってほしい。そのために、ノート指導術について本を漁ってみた。その中で、良さそうだと思った本が前者である。

 京都女子大学付属小学校で行われているノート指導について、子どもの実際のノートの写真をふんだんに使って紹介している。これは分かりやすい。

 そのすべてを高校生に適用するわけにはいかないが、少々示唆を得ることができた。

 後者は、三森ゆりかさんの本である。三森先生、相変わらずだなぁ、と嬉しく思う(教育センターで2回お呼びしたことがあるのです)。主に小学生が対象のものだが、あるいは高校生にも使えるかもしれない。そして、うちの子どもたちにやらせてみようかなぁ。

2010-02-28

[]『孤笛のかなた』 02:36

狐笛のかなた

狐笛のかなた

 上橋菜穂子の作品である。一昨日、この本を読んでいることを紹介したが、今日の夜、残りを一気に読んでしまった。何しろこの小説は学校で少し読み始め、そして今日の夜、2月の最後に日に一気に読み終えてしまった。しかも、この本は本校の図書館から借りたものである。図書館から借りた本を読み終え、そして感動を味わったのは久しぶりだ。小・中学校以来かな?

 霊孤である野火と「聞き耳」の力を持つ小夜の物語である。二人が(一人と一匹?)出会い、心をつなげ、愛し合い、助け合う。そして最後にはお互いを大切に思う心により、二つの領国を巡る深い呪いの輪廻は断ち切られ、陰謀も潰えてしまう。しかし、その代わりに、小夜は人間の姿を失う。野火を思う真っ直ぐな心のために、何ものも恐れることなく孤笛を吹き、野火の命を救う。その代償は、しかし大きなものだった。

 霊孤と人間のラブ・ストーリーという、そもそもがハッピー・エンドたり得ぬ物語の結末なのだから、読み終わった後も強い不全感、大きなしこりが残る。まるで『獣の奏者4 完結編』を読んだ後のようだ。だが、異種族の二人の行く末としては、おそらくは一番よい結末なのだろうね。可哀想なのは、一人残された小春丸だが、彼も領主の跡取りとして生きねばならないのだから、これまた仕方のないことか。

 「守り人」シリーズも、最終的にはバルサとチャグムはお互いを強く思いながらも別れていく。『獣の奏者』に至っては、何しろエリンが……。おっと、言わないでおこう。そして、この『孤笛のかなた』も、ほろ苦い結末となった。うーむ、素晴らしい小説なだけに、この不全感はたまらないなぁ。

 もちろん、☆5つです。自信を持って薦めます。

2010-02-22

[]『iPhone情報整理術』 01:28

iPhone情報整理術 ~あなたを情報’’強者’’に変える57の活用法!(デジタル仕事術シリーズ)

iPhone情報整理術 ~あなたを情報’’強者’’に変える57の活用法!(デジタル仕事術シリーズ)

 iPhone仲間で評判だったので、購入して読んでみた。なかなか参考になった。特に、クラウド・コンピューティングの考え方を導入して、iPhoneをそのクラウドの窓口にする、という使い方を推奨していた。特に参考になったのが、evernoteの使い方かな。なるほど、これなら様々なところで得たメモや写真や音声をネット上で保存し、それをどこでも見ることが出来るわけだ。

 でも、紹介されていたアプリは私が使ってみようと思うものは少なかった。その点ではちょっと参考にならなかったかな。スケジュール・アプリを物色中なのだが、いいのはありませんかねぇ?

2010-02-12

[]『獣の奏者 II 王獣編』 08:52

獣の奏者 II 王獣編

獣の奏者 II 王獣編

 2回目の読了。今回も、じっくりと本文をなめるようにして読み進めていった。自らの意に反して王獣を武器として使わなければならない立場に追い込まれていくエリンの悲しみ、さらに決定的な隔たりを持ってしまったリランとの関係、その中で、困難の渦中にあって互いの理解を少しずつ深めていくイアルとエリン、そして、ラストにおいて、エリンが悲痛な思いで自らの最期を悟った時、思いもかけずにリランが彼女を助けに来てくれる。「あなたの心が知りたくて、知りたくて」というエリンの思いは、この『獣の奏者』全編に渡るエリンの思いでもあろう。決してかつてのような全幅の信頼関係が回復されたわけではないものの、新たな関係を築き上げる、その予感をたっぷりと感じさせて物語は終わる。もう、このラストには何遍も涙を流させられる。

 困難はまだ続く。第3巻では新たな立場にエリンは立たせられる。そうではあるが、未来に希望の光を見いだして歩き出そうとするエリンの姿は、大変に示唆的である。

2010-02-03

[]『獣の奏者 I 闘蛇編』 07:06

獣の奏者 I 闘蛇編

獣の奏者 I 闘蛇編

 何と、再読である。前回読み終えたのが昨年の11月であった。それから約3か月後に再び読み終えた。これは、最近の私の読書としては珍しいことである。今回はじっくりと読み進めた。そして、感動を新たにした。やはり、「守り人」とは完成度が違う。もちろん「守り人」シリーズも素晴らしいのだが、この『獣の奏者』は物語の流れや文体がまったく自然である。どこにも作為がない。それでいてその世界は現実のどこにもない。相変わらず、凄い世界だ。

2010-01-31

[]『天と地の守り人』第3部 新ヨゴ皇国編 15:55

軽装版 天と地の守り人<第3部>新ヨゴ皇国編 (軽装版 偕成社ポッシュ)

軽装版 天と地の守り人<第3部>新ヨゴ皇国編 (軽装版 偕成社ポッシュ)

 喉を痛めて養生している最中、とうとう読み終えてしまった。この「守り人」シリーズを読み始めてからおよそ2か月。10冊のシリーズを全て読み終えた。そして、この『天と地の守り人』は3部作。これまた勢いづいたように読み終えてしまった。

 第3部は、草兵にとられたタンダが戦場で傷つき倒れる場面、アスラとチキサが世話になっている人々が住む四路街の人々が逃げ出した後に炎上する場面、タルシュ帝国の軍隊が新ヨゴ皇国を蹂躙している最中に、チャグムがロタ王国とカンバル王国の軍勢を率いて帰還する場面、彼らの奮戦で二手に分かれていたタルシュ帝国の一翼が破られてしまう場面、チャグムが父帝と再会し、永遠の決別をする場面、さらにナユグの世界での異変の始まり、それによる河の氾濫、それらを予見し、予告する呪術師たちの働き、傷ついたタンダを助け、その愛しい左腕を自ら切り落とすバルサ、引き込まれたタルシュ軍との戦い、そこに起こる河の氾濫、などなどなど、もう息をもつがせぬ展開で、本から手を離すのが難しいほどだった。最後には、チャグムが新しい帝になり、バルサはタンダの待つ家へと帰る。まだまだ彼らの行く末について知りたいことはいくらでもあるのだが、それらを全て包み込んで、大いなる余韻を残して物語は終わった。

 うーむ、上橋菜穂子という人は自分の物語をこうした形で終わらせるのが上手だ。まだまだこれからのことを知りたい、という思いにさせる。その点、『獣の奏者』は、ふわりとした形で終わらない。ブツリ、とその想像の持っていきようをなくしてしまうのだからね。それに比べたら、この大きな物語の終わりは非常によいものである。

 さて、「守り人」シリーズを読み終えてしまった。次は何を読もうか。まだ、短編集やらはあるのだけれどね。もちろんそれは読むけれど、さて、次は何を読もうか。大きな物語を読み終えた後で、いつも悩むのはそのことだ。

2010-01-30

[]『天と地の守り人』第2部

軽装版 天と地の守り人<第2部>カンバル王国編 (軽装版 偕成社ポッシュ)

軽装版 天と地の守り人<第2部>カンバル王国編 (軽装版 偕成社ポッシュ)

 木曜日に病院へ行った、その待合室で読み終えた。チャグムがバルサとともにカンバル国へ行き、カンバル王にロタ国との同盟を結ぶよう説得しようとする話だ。襲ってくる数々の試練、その途中での「ホイ(捨て荷)」の話、そして、その「ホイ」の話を思いついた時、この巻の最終部でチャグムがカンバル王を説得する方法が浮かび上がったと著者はあとがきで書いている。なるほどね、と思う。物語は伏線を緻密に張っていく作り方もあるだろうが、このようにあるエピソードが次のエピソードを産み、結果的に前のエピソードが伏線になるというのはよく分かる。こうした物語の作り方はライティング・ワークショップでも使えそうだなぁ。

 というわけで、第9作まで読み終えた。いよいよ最終巻である。

2010-01-26

[]『天と地の守り人』第一部 ロタ王国編

軽装版 天と地の守り人<第1部>ロタ王国編 (軽装版 偕成社ポッシュ)

軽装版 天と地の守り人<第1部>ロタ王国編 (軽装版 偕成社ポッシュ)

 第7作目の『蒼路の旅人』を読み終えてから3時間。何と、次の『天と地の守り人』第1部を読み終えてしまった。いやぁ、我ながらびっくりした。

 これは第8作目。前作でロタ王国を目指して海を泳いでいったチャグム皇太子をバルサは追いかける。そして、チャグムがたどり着いたスーアン大領主の館での闘いや、ヒュウゴとの出会い、カシャル(猟犬)の女頭領の家に案内され、チャグムが無事イーサム殿下のもとへたどり着いていることを知り、いったんはチャグム追跡の旅を終えようとする。しかし、刺客が放たれていることを知って再び彼を追い、イーサム殿下のもとまでたどり着いて、さらにチャグムがカンバル王国へ出発したことを知ってその後を追う。そして、刺客との死闘の末、ついにチャグムと再開するのだ。そして、これからはチャグムとともにカンバル王国へ旅立とうとする。

 ここまで一気に読み進めてしまった。なかなか本を置くことができなかった。物語がどんどん加速し、バルサの行く先々でチャグムが先に出立をし、また次第にチャグムに危機が迫っていることを感じさせられて、いても立ってもいられないような状態であった。読み終えて、バルサが無事チャグムと再開することができて、ほっとした。

 いやはや、1冊の本をここまで集中して読んだのは久しぶりだ。本当は生徒の持ってきた問題の添削をしなければならなかったのだが……、まあ、いいか。

2010-01-25

[]『蒼路の旅人』 23:14

軽装版 蒼路の旅人 (軽装版 偕成社ポッシュ)

軽装版 蒼路の旅人 (軽装版 偕成社ポッシュ)

 「守り人」シリーズ第7冊目。今度はチャグム皇太子の物語である。チャグムが罠と知りつつサンガル王国の救出に向かい、その中でタルシュ帝国にとらえられ、その都に行き、そこで故国新ヨゴ皇国を属国にするという使命を帯びて帰され、その帰路で、第2の解決の道を求めて新しい歩みを踏み出す姿が描かれている。これまでにない、なかなかに重苦しい世界である。全編のほとんどが海の上での話だし、海の上というのは船以外の世界がないからね。しかもチャグムはその半分くらいは捕虜として連行されているので、なおさらだ。しかし、その中で彼は皇太子という運命に抗うものではなく、故国の人々の幸せのために自らの選び取れる道を行く者へと変化を遂げている。確かに、この本のラストシーンは、暗鬱な雰囲気が立ちこめる中にあって、一筋の光のようである。

 物語もいよいよ最終の話に入ってくる。楽しみである。

2010-01-17

[]『神の守り人』 23:32

神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)

神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)

神の守り人〈下〉帰還編 (新潮文庫)

神の守り人〈下〉帰還編 (新潮文庫)

 シリーズの第5・6作、『神の守り人』上・下巻を読み終えた。年越しで読んでいたことになるかな。

 物語世界はますます広がりを見せている。久しぶりに女用心棒のバルサが活躍をする巻である。強大な力を持とうとする人間の性は変わらないものなのだと改めて思わせられた。

 しかし、この物語はまだ先がありそうな気がする。サーダ・タルハマヤを自らのうちに封印したまま、アスラは目覚めぬままだし、シハナもまた逃げたままである。それに、この神的なものを内に宿すという主題は『精霊の守り人』でもそうだし、『虚空の旅人』でも用いられてきたテーマだ。それらはみな一応の解決を見てきたのに、このアスラの場合は未解決である。

 これが、最終話である『天と地の守り人』で結びついてくるのかな? 楽しみなことである。

2010-01-06

[]『虚空の旅人』 03:57

虚空の旅人 (新潮文庫)

虚空の旅人 (新潮文庫)

 「守り人」シリーズの読書は続いている。これは4作目。主人公がバルサから新ヨゴ皇国の皇太子となったチャグムに変わっている。バルサは全く登場しない。作者も、これは外伝になるなと思いながら書いていたが、逆にこの作品が書かれることによって、このシリーズが10巻ものの大長編へと発展していったんだそうな。本作を読む限り、まだその展望は得られないが、この話が「守り人」シリーズとどう関わっていくのか、楽しみに読み進めていこう。

 チャグムは皇太子の職務を守りながら、同時にその職務に縛られるのを苦しく思っている少年である。その彼がどのようにして巻き込まれた事件を解きほぐしていくのか、なかなか話は動かなかった。しかし、前作で魂となって駆けめぐった体験を活かして事に当たったのは意外でもあり、また面白かった。皇太子でありながら魂の闘いをするわけだ。この、立場にそぐわない働きをした彼が今後どうなっていくか、楽しみである。

 解説にあるように、この「守り人」シリーズは男女の性差が反転させられているという指摘には、なるほどと思った。さあ、これが次作でどう展開されるのか、楽しみである。

2009-12-30

[]今年読んだ本 08:27

 今年の年間読了冊数は33冊であった。余りの少なさに呆然としている。しかもこの数字は、『1Q84』のように上・下巻になっているものを2巻とカウントしての数字である。まあ、時間の大半を読書に捧げられない身としては仕方がないのかも知れないが、それにしても少ないなぁ。年間100冊が理想だが、せめて50冊は超えたいものだ。

 さて、今年読んだ本の中で心に残っているものを挙げてみよう。

 まずは最近ずっと読み続けている『精霊の守り人』を始とする「守り人」シリーズ。今、第4巻の『虚空の旅人』を読んでいる。感心するのは、その世界観の確かさだ。ファンタジーはこのように全くの想像に過ぎないのに、どんな現実世界よりもずっとリアルにその世界を頭の中に立ち上げてくれる。そこに吹く風を感じさせてくれるのが、ファンタジーの醍醐味である。

 同様に『獣の奏者』1〜4巻も忘れられない。近年の中で最も実り多いファンタジーだ。第4巻のラストにはまだ違和感があるが、それでもあのリアルさは素晴らしいの言葉のみである。昨日、今日とカレンダーを入手するために何と初めて紀伊國屋書店に行った。新潟市内で移転したのだが、3年くらい前だよね。やっと行くことができて、前の店よりもずっと親近感があってよい感じだ。その中でも『獣の奏者』シリーズは大きく取り上げてディスプレイされていた。確かに、本当に多くの人に読まれるべき本だ。

 続いて『日本辺境論』や『街場の教育論』などの内田樹の本だ。どの本も読んでいるこちらの拠って立つ根本をぐらぐらと揺り動かしてくれる快感を味わわせてくれる。

 さらに『世界は分けてもわからない』や『動的平衡』などの福岡伸一の本だ。これは極上のエッセイである。しかもこのエッセイは正確な科学的思考を背景としている。筆者の中で科学と人文学のたぐいまれなるコラボレーションが実現している。福岡伸一の本を読むたびにそれを味わうことができる。

 『銀文字聖書の謎』も素晴らしかった。西洋世界史の中でも古代から中世にかけての歴史、その中で生きた人々、信仰を表明した人々の姿がこれまた今現在生きているように伝えてくれた。

 とどめは『1Q84』である。これを語らずして今年の読書は語れない。賛否両論は様々あろうが、私にとってはこの小説は本当に小説読みの楽しさを満喫できた第一の小説である。村上春樹の筆力はいつでも私を異次元に連れて行ってくれる。しかも村上春樹の特徴は、その異次元が我々の世界とかなり近いところにあることをまざまざと感じさせることにある。この小説はそうした村上春樹の特長が遺憾なく発揮されたものだ。ほんのちょっとしたことで異次元へと入り込む主人公たち。しかし、その異世界こそが真実の世界かも知れない。そうした空恐ろしさを感じさせつつ、物語は圧倒的な力で私を先のページへと運んでくれた。素晴らしい小説だ。

2009-12-28

[]『夢の守り人』 02:19

夢の守り人 (新潮文庫)

夢の守り人 (新潮文庫)

 第3作。順調に読み続けている。今回は再び新ヨゴ皇国が舞台である。そして、バルサやタンダの師であるトロガイの過去にまつわる話である。今回も面白かった。意外などんでん返しのようなものがなかったが、それでも次はいったいどうなるのか、という焦燥感は十分与えてくれた。

 この文庫本には養老孟司の解説が載っている。その中で、ファンタジーとは長くなるものであり、それを次々に読もうとしない者はファンタジーの読み手として失格である、という旨のことが書いてあった。その通り!である。まさに私がその状態にある。次へ、次へ、と思ってしまう。そんなに暇でもないのにね。

2009-12-24

[]『闇の守り人』 23:18

闇の守り人 (新潮文庫)

闇の守り人 (新潮文庫)

 「守り人」シリーズ第2作である。第1作を読み終えてからすぐにこの本を手に取り、どんどん読み進めていた。昨日などは、この本を読んでいたことを妻に文句を言われたくらいである(まあ、私が悪いんですけれどね……)。

 女用心棒バルサのいわば過去との対決の物語である。しかしそれにしても、1つ1つの物語世界の作り込みの深さは大したものである。異世界を何の苦もなく想像させ、共にその時空間へ飛び込むことができる。その中でのバルサの危機と活躍、そして意外なストーリーの展開。人気シリーズになるわけだ。実に面白い。

 早速次の第3作へと私の読書は進んでいきます。これは、しばらくは楽しめるな。

2009-12-20

[]『精霊の守り人』 19:45

精霊の守り人 (新潮文庫)

精霊の守り人 (新潮文庫)

 ついにこのシリーズに手を出した。「守り人」シリーズはずっと読みたいと思っていたが、なかなか機会がなくて読めなかったものだ。このたび、『獣の奏者』シリーズを読み終えたので、とうとうこのシリーズを読もうと思い立ったわけだ。

 第1作のこの本、なるほど評判の高い本である。世界観がしっかりしていて、登場人物たちも存在感がある。ストーリー展開も面白い。非常に面白い本だ。ただ、『獣の奏者』に比べると、やはり完成度が少し劣るかな。筆者自身がこのシリーズを不完全なものだといっているそうで、うべなるかな、である。

 でも、第1級に属することは間違いない。これ以降の本を読むのが楽しみだ。

2009-12-11

[]『日本辺境論』 05:48

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)

 内田樹の最新刊である。著者のblogで、ご自身が「面白いよ」と書いておられたので、楽しみにしていた本である。今回も速読を少々意識して、速く読むようにした。それでも内容はしっかり理解できたつもりである。

 うん、面白い! ご自身の宣伝通りである。日本人論なのであるが、凡百の日本人論とは一線を画する、非常に刺激的な日本人論である。先達の様々な発言をくり返しただけ、と書いておられるが、それでも著者の体を通った、斬新で認識を新たにさせられる見解であった。

 日本人論ではあるが、後半はほとんど「学び」論である。著者の最近の様々な本に書かれている「学び」についての考察がまとめて記されているような気がする。学びというのは何を教えてくれるかわからない人を師として、その師から学ぼうとする時に成立するものだ、という。そこで、この人は何を教えてくれるのかわからないから教わろうとするのであり、何を教えるのかわかってしまったらもはや「学び」は成立しない。そこで、現今の教育界の動静を批判する。

 そして、辺境人であるからこそ、日本人は最も効率的に学びを発展させてきた、と言われる。昨今の教育の問題点は、この「何かわからないものを事前に洞察する力」を枯渇させている、つまり、かつての学びの伝統を途絶えさせてしまったことに起因する、という指摘は考えさせられる。そこから、どんな教育を今後は展開すべきだろうか。私に与えられた課題である。

 ともあれ、本当に刺激的で、ページを開くたびに毎回非常に面白かった。また、いろいろと考えさせられる本であった。

[]今日、買った本 05:48

精霊の守り人 (新潮文庫)

精霊の守り人 (新潮文庫)

 『獣の奏者』を読み終えてしまったので、ついにこの本に手を伸ばすことにした。ずっと以前から「上橋菜穂子」といえばこの「守り人」シリーズが有名であり、ハイ・ファンタジーの代表作として有名である。しかし、ファンタジー好きの私にしては、この本を読む機会がなかなかなかった。

 さあ、いよいよ「守り人」シリーズに突入するか。楽しみである。

2009-12-07

[]『獣の奏者』の結末について 02:24

 以下、未読の方はスルーしてください!

 未読の方のためにあまり詳しくは書かないが、土曜日読み終えて以来、折に触れてあの結末の意味を考えている。そして、作者がどうしてあの結末を選んだのか、少々疑問に思えてきた。

 あの結末が本当にすべての問題の解決になるのだろうか。確かに王獣たちを野に放つという願いはかなったわけだが、しかしそのために払われた犠牲はねぇ……。それは究極の解決法であるが、果たしてそれで良いのかな?

 例えば、『風の谷のナウシカ』漫画版では、ナウシカは人為的に改変された自然(また自分たち人間)の行く末を、彼女自身が見届ける。それは苦しく辛い過程だろう。しかし、それはまた彼女にふさわしい態度である。自らの決断によって人類の以前の姿を取り戻すという道を閉ざしたナウシカである。彼女はいわば、旧世界にとっては悪魔の化身であろう。しかし、たとえ人為的に作り出された命であっても、どんな命にも自らを決して生きる権利がある、というのが彼女の下した決断だ。そのために、改変以前の人間の姿を伝える業をナウシカは握りつぶしてしまう。そして、その人類の行く末を、彼女は自らの命の限り見届けようとするのだ。それが、世界に対する、あるいは人類に対する決定的な決断をした者の、取るべき態度ではないだろうか。自らの決断の結果を最後まで見届ける。それがどんなに辛くとも、それが責任の取り方である。

 エリンの結末は果たしてそうした態度だったろうか。エリンが果たした役割とは、人類全体とまでは行かないかもしれないが、世界のあり方を変える意味ではナウシカと相通ずるものがある。であれば、エリンにはたとえどういう形にしろ、自らが下した判断の行く末をもっと長く見届け続けてもらいたかったなぁ。

 何にせよ、こんなことを考えさせるほど、物語のエネルギーは強烈だったのだけれど。

2009-12-05

[]『獣の奏者 IV 完結編』 08:00

獣の奏者 (4)完結編

獣の奏者 (4)完結編

 読み終わった。読み終わってしまった。第1巻を読み始めてから約20日余り、ずっとこの壮大なファンタジーの世界とともに自分自身も生きてきたような気がするほど、リアル感のある、素晴らしい物語だった。それが、とうとう終わってしまった。

 衝撃的だった。

 あまりに衝撃的なラストだ。未だにその衝撃から抜けきれない。しばらくはこの衝撃から立ち直れないだろう。

 エリンの2つの願いのうち、「王獣を解き放つ」ということは実現できた。しかし、もう1つの願い「家族3人も解き放たれて暮らす」という願いは……。ある意味、かなったとは言えるだろう。しかし、王獣のために、そして国々の思惑を止めさせるために、アマスルの人々を救うために、そうだとはいえ、何という結末なのだろうか。

 物語の最後近くに出てくるエリンの言葉が印象的だ。

「わからない言葉を、わかろうとする、その気持ちが、きっと、道を開くから……」

 ジェシがこの言葉をずっと心に抱いて生きてきたように、確かにこの言葉は『獣の奏者』という物語全体を貫くテーマなのだと思う。人には慣れない獣の前に立つ、竪琴を持った少女の姿というのが、作者の心に浮かんだ最初のこの物語のイメージだというのだから。

 ここに来て、本のカバー絵の意味がやっとわかった。1〜3巻までは王獣が空を舞う影と、その下にたたずむエリンの姿が描かれていたが、第4巻だけは違う。その意味が、つんと心に迫る。

 素晴らしい物語だった。読んでいた間中、「イアル」だの「セ・ザン」だのといった言葉が自然と頭の中に浮き出てくることが何度もあった。これほど物語世界に没入できたのは久しぶりである。

 子ども向けだと言わず、アニメの原作だと軽視せず、万人に勧めたい。

2009-11-27

[]『獣の奏者 III 探求編』 23:01

獣の奏者 (3)探求編

獣の奏者 (3)探求編

 読み終えました。何だか、だんだんスピードが速くなっていくような気がする。事実、少しスピードを上げて読んでいる。その方が、この物語世界の速度に乗り遅れないで付いていくことができるような気がするからだ。

 エリンが30歳になり、妻となり母となって、それでもなお降りかかる様々な思惑や災難にもかかわらず、懸命に真摯に生きていく姿が痛々しく素晴らしい。そして、それを支えるイアルも、大変に男らしい。

 しかし、前2作と比べて、エリンが危機に陥りかける時によりハラハラするようになった。彼女に、帰るべき家族がいることが明らかになっているからだろうか。物語はあえてその家族のことを、最初からは明確に描こうとしないが。

 ともあれ、相変わらず素晴らしい物語だ。あと残り1冊。残念でもあり、楽しみでもある。

2009-11-23

[]『獣の奏者Ⅱ 王獣編』 00:15

獣の奏者 II 王獣編

獣の奏者 II 王獣編

 第1巻「闘蛇編」を読み終えた後、すぐにこの第2巻「王獣編」を読み始めた。そして、昨日読み終えた。いやぁ、後半部分のたたみ込むようなストーリーの展開は素晴らしかった。そして意外などんでん返しと、それをまたひっくり返す流れに息をのんだ。いやはや、本当に面白い!

 今は早速第3巻「探求編」を読んでいる。今月中には4冊全部を読み終えるかも知れないね。