信濃の国からこんにちは このページをアンテナに追加 RSSフィード

三崎隆です。
長野県長野市の信州大学教育学部で『学び合い』(二重括弧の学び合い)を研究しています。
「信濃の国からこんにちは」は私たちの『学び合い』研究室の研究室通信です。
いつでもメールください。メールのやりとりで『学び合い』の考え方を共有しましょう。
メールアドレスは、misakiとshinshu-u.ac.jpを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。
研究室の全体ゼミは参観OKです。
全体ゼミは2019年度から毎週月曜日18:30-19:30に行っています。
詳しくは,私たちの『学び合い』研究室をご覧ください。

2008-01-03 バズ学習への挑戦と挫折 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

新採用のとき,個に応じる指導をどのように進めたら良いのかを思案

 新採用のとき,個に応じる指導をどのように進めたら良いのかを思案していた頃は,今のようにインターネットやメールが自由に使用できる環境ではなかったですから,情報を得るためには書籍かテレビ,新聞が主流でした。そんなときにたまたま,同じ中学校区内の隣の小学校に勤めていた若い先輩の先生が取り組んでいた指導法を強く進めてもらったことがあり,個人的に挑戦してみた時期があります。それがバズ学習と呼ばれる方法です。

学習過程に、人間関係の形成と学習を両立させる場を、意図的に設定をします

 バズ学習とは,大辞泉によれば,「《buzzはざわめきの意》児童・生徒を小グループに分けて討議させ、その結論・意見を、さらに全員で討論する学習方式。」です。また,全国協同学習研究会(旧全国バズ学習研究会)によれば,「バズ学習は、教師と子どもが協力して、よりよき人間関係を形成しつつ、学習を進めてい学習体制です。そのために、学習過程に、人間関係の形成と学習を両立させる場を、意図的に設定をします。」(詳細は,http://www16.ocn.ne.jp/~mrym/を参照してください)さらには,望ましい活動を効果的に作り出す基本的な学習形態として,少人数のグループが編成され,全員が学習に参加出来る場を設定することが提案されます。そこでは全員を学習に参加させる方策として「相互作用」が重視されるので,主たる方法として「話し合い」が採用されます。「話し合い」の他にも,「友達の説明を聞いて自分の考えを決める」「ノートを回覧して間違いを訂正してもらう」「質問したいことをまとめる」「相談しながら教具など操作する」「みんなで練習し成果を確かめる」などの活動が組まれます。ここの話し合いで示される相互作用というのは,協力して課題を解決する活動を包括しているので,「バズ学習」イコール「話し合い学習」と定義づけられているわけではありません。

一体どこが異なっているのでしょう?

 現在は,バズ学習が協同学習という名称に変わってきているとは言え,その学習形態のみに着目すれば,一見私たちの薦める『学び合い』によく似ているものとなっています。一体どこが異なっているのでしょう? あくまでもここで言う協同学習は,人間関係構築が大きな目標の一つとなり,そのために協同して学ぶ場を教師が意図的に設定することが特徴として示される方法論の一つです。ですから,あくまでも協同学習の場を教師が意図しているわけであり,子どもたちが学習方法を選択する余地はありません。『学び合い』は,子どもたちが必然的に『学び合い』を始めることによって結果として人間関係が改善され,学習方法は子どもたち自身が自らの判断で選択することに,その特徴が示されます。あくまでも子どもたちの有能性を信じて委ねる考え方です。この点において,私たちの『学び合い』研究室でお伝えしている「『学び合い』のすすめ」とは考え方を異にしています。

ルールから逸脱する行為があった場合には当然のことながら指導する

 当時は,隣の小学校に勤務していた先輩教師に熱心に勧められたこともあり,バズ学習に取り組むことは取り組んではみましたが,結果的に挫折してしまいました。その理由は三つ。一つは,何と言っても,当時のバズ学習は(少なくとも私がその先輩教師から薦められたことによれば)進める上であまりにルールが多くて,子どもたちにルールを理解させて徹底させることへの抵抗感とそれを強いることに疑念を抱いてしまった点です。当時に私が薦められたバズ学習は,話し合い活動のルールを事細かく強いますので,ルールから逸脱する行為があった場合には当然のことながら指導することになります。逸脱行為が繰り返されれば,現場なら当然のことでしょうが強く指導することになります。結局,人間関係を構築するはずの話し合いの場が人間関係を崩す元凶となってしまう経緯をたどります。さらに大きかったのは,バズ学習に取り組んだ授業が終わると子どもたちがほっとすることです。教師に言われたから仕方なくやっているだけのものであったのだと振り返っています。

なぜ授業理論としてバズ学習を取り入れなければならないのか

 二つめの理由は,なぜ授業理論としてバズ学習を取り入れなければならないのかという根拠が不明確であった点です。中学校の理科で採用されましたので,理科室で授業を実施し,授業では子どもたちを小グループに編成して観察,実験をさせたり探究させたりすることがたくさんあります。そこでは必然的に4人~5人がけのテーブルで,小グループでの学習となります。ですから,日常的に中学校の理科の授業では,小グループでのコミュニケーションや話し合いが活発に展開します。そのような教科を受け持っていましたので,それに加えてなぜバス学習をあえて取り入れなければならないのかという理由付けが全く分からなかった点です。それに対する明快な回答は,バス学習理論からは示されませんでした。

私語一つない毅然とした授業ができるかどうかで力量評価

 三つめの理由は,25年以上前の当時の現場は,教師というものは子どもたちをいかに指導できるかが大きな力量の要素であると認識されていたことによります。それも統率の取れた私語一つない毅然とした授業ができるかどうかで力量評価がなされていた時代です。バズ学習は,それでなくてもわいわいがやがやと活発にコミュニケーションが進む学習方式ですから,管理職が参観したら,「あの新採用は,何やってるんだ?」ということになってしまいます。今流に表現すれば,学級崩壊,指導力不足教員ということになるわけです。当時の管理職の指導も新採用研修における指導主事の指導も,一斉指導でいかに私語なく子どもたちを指導するかに価値を見いだしていましたから,バズ学習が棄却されても仕方なかったのかもしれません。

「『学び合い』のすすめ」は,これらのすべての点に明快な回答を示します

 私たちの『学び合い』研究室の「『学び合い』のすすめ」は,これらのすべての点に明快な回答を示します。一つめに関して,「『学び合い』のすすめ」は学び合いを強いるものではありませんから,話し合いのためのルールなどはありません。ですから,ルールを逸脱することはありませんし,型にはめるものではありません。二つめについてはすでにお示ししています(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/OB1989/20071124)ように,社会的構成主義や認知心理学の理論がそれを実証してくれています。三つ目についても現在は管理職や指導主事の考え方も大きく変わってきた(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/OB1989/20071201)ことをお示ししました。私たちの『学び合い』研究室に,『学び合い』の出前授業を要請してくださる学校も現れてきたことが何よりの証であると考えられます。いかがでしょうか?一緒に「『学び合い』のすすめ」を実践してみませんか?

iku-nakaiku-naka2008/01/03 14:05遅くなりましたが・・・あけましておめでとうございます。元旦からブログ更新をされているところにM先生のすごさ(N先生もそうですが)を感じています。今年もいろいろ学んでいきたいと考えています。昨年同様、よろしくお願いします。

OB1989OB19892008/01/03 16:23iku-nakaさん,コメントありがとうございます。明けましておめでとうございます。昨年以上にiku-nakaさんの実践からもっともっとたくさん刺激をもらって吸収したいと思っています。今年もどうぞよろしくお願いします。

ikutosuikutosu2008/01/05 00:18初めまして。東京の女子中高で国語を教えている筑田と申します。
バズ学習はジクソーの流れで新卒の頃にちょっとだけやりました。
その後、読み研の「討議の二重方式」を学ぶようになって、ほとんど忘れかけていました。
「そういえば、あれこれルールがあったような…」程度の記憶ですが、結局生徒を信じられるのかどうかというところが分岐点になるのかなと思います。
今年はいよいよ本格的に『学び合い』に基づいて授業を行っていきます。
ブログに掲載されていることにはげましをいただきつつ、実践していきます。
よろしくお願いします。

OB1989OB19892008/01/05 06:17ikutosuさん,コメントありがとうございます。まさにご指摘のとおりです。子どもたちを信じ切れていれば,バズ学習がそのまま『学び合い』にできると確信します。今ではもはやバズ学習に戻ることはできませんので不思議なものです。ご一緒に『学び合い』ましょう。今年もよろしくお願いします。

sumi-chansumi-chan2008/01/05 17:07『「協同」による総合学習の設計—グループ・プロジェクト入門』という本を、年末から読んでいます。バズ学習関係の方が翻訳された本です。『学び合い』とすごく近い感じがするけどどこか違いがあるのかなと思いながら、少しずつ読み進めているところです。バズ学習ってどんなものなんだろう?調べてみなくちゃと思っていた矢先に、三崎先生がブログでバズ学習について書かれていたので「シンクロしちゃった!?」と一人で盛り上がっていました(笑)。三崎先生の書かれていることを参考にさせて頂きながら、理解を深めていきたいと思います。

三崎先生の新採用の頃のお話、興味を持って読ませて頂きました。現場では今もあまり変わってないのではないかな?というか、その頃の流れがまだまだ大きく影響している印象を受けます。でも、私のクラスの様子を一番よく見て下さっている初任者指導の先生は、課題が終わった子達がすぐに他の子を教えに行ったりする様子を見て(それを子ども達が”当たり前に”行っている様子を見て)、「日頃からそういう風にやっているのね」と、とても肯定的にとらえてくれています。今の立場では自分から『学び合い』について先輩の先生方に話をすることはなかなか難しいですが、子どもの姿で認めてもらえるというのは嬉しいことです。長くなってしまいましたが、今年もよろしくお願いします。

OB1989OB19892008/01/06 13:55sumi-chanさん,コメントありがとうございます。読み終えたら,感想をブログに登場させてください。楽しみが一つ増えました。なるほど,現場ではあまり変わっていませんか。でも,初任者指導の先生をさりげなく変えていく体制が見習わなければならないところです。後から続く後輩たちへの強烈なメッセージとなります。感謝です。どうぞ,今年もよろしくお願いします。

5gatu