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上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を務めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。
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教室『学び合い』フォーラム
第15回(2019年)《海》,《山》は
2019/8/3〜4に福岡県,2019/11/2〜4に長野県でおこないます。
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2019-07-01自省録 マルクス・アウレリウス

[]自省録 マルクス・アウレリウス 京都大学学術出版会 1998 自省録 マルクス・アウレリウス 京都大学学術出版会 1998 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 自省録 マルクス・アウレリウス 京都大学学術出版会 1998 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 自省録 マルクス・アウレリウス 京都大学学術出版会 1998 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

f:id:F-Katagiri:20190703090047j:image

めちゃくちゃ手強かった。読んでいる端から何が書いてあるかわからなかった。読んでも読んでも頭の中に入らない。ところどころぽつぽつと残っているだけだ。これを読んで,解説しているひとは,なんて頭がいいんだろう?と思ってしまった。

そもそも「自省録」は,人に読ませるために書いたものではないという。自分の覚え書きだそうだ。マルクス・アウレリウスは,哲学者になりたかったのに,ローマ皇帝になってしまったそうだ。だから走り書きを残しておいたんだろう。

それでも,なるほど,と思った記述もいくつかあった。細かい部分は表記が違っているけれど,こんな感じ。

人は,今しか持っていない。過去も未来も所有していない。だから,所有していない過去に対して悔やんでも,意味がない。まだ所有もしていない未来に対する不安を持っていても,それは勘違いである。

なんか,いい表現だなぁと思った。

いつも寝る前の数十分間読書をするのだが,読むと眠くなるタイプのヤツ。図書館から借りたのだが,2カ月の期限が来てしまい,返却せざるを得なかった。あと1/4ほど残っているが,未完読で返す。また手に取ることはあるのだろうか?

マルクス・アウレリウスは,空中ブランコをするときには,下に安全策としてネットを張るようにとおふれを出した肯定だそうだ。いい人だ。

自省録 (岩波文庫)

2019-06-24アドラー心理学で変わる学級経営

[]アドラー心理学で変わる学級経営 赤坂真二 2019 アドラー心理学で変わる学級経営 赤坂真二 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - アドラー心理学で変わる学級経営 赤坂真二 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 アドラー心理学で変わる学級経営 赤坂真二 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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「100分de名著」で岸見一郎の解説を聞いたり,ひょんなことから,「子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気 (幻冬舎単行本)」を読んだり(本当は,聴いたり)して,アドラー心理学に触れることがあった。「褒めない,叱らない」って,どういうことなんだろう?と疑問に思っていた。

そして同僚の赤坂真二先生の著書「アドラー心理学で変わる学級経営」を読んだ。

「褒めない,叱らない」ということがわかったわけではないのだが,子どもの「不適切」な行動には目的があると述べており,褒めず,叱らず,その目的や,目的に到達する手段を別のものに修正する必要がある,ということなのかな?と思った。

前者に立つと,「子どもたちの気になる行動や問題行動には原因がある」と捉えることができますが,「それらは目的に向かって起こる」と捉えることができます。学校現場では学校現場ではついつい原因論に立ってしまうことが多いのではないでしょうか。……「悪者探し」をしがちです。……しかし,目的論に立つと同じ行動でも違って見えてきます。意地悪をするのは,「相手の気をひきたい」のかもしれません,「一緒に遊びたい」のかもしれません,また,「ストレスを発散したい」のかもしれません。

目的論に立つことで,悪者探しが起こりにくくなる

のです。(p.51)

「悪者探し」は,学校だけでじゃなく,社会で当たり前のように起こっている。何か事故があったら,事故を起こした当人を「悪者」として,糾弾する。実はシステムによる事故や,構造による事故という場合が多い。航空業界では,それに気づき,事故があったらブラックボックスを元に徹底的にシステムや構造を究明する。医療業界では,まだそれがなく,原因を医療従事者に求めたり,医療従事者が原因を自ら否定して,人間の寿命に求めざるを得ない状態があるという。

悪者探しをしても,子どもや学校現場はちっともよくならない。というのはよくわかっているが,悪者探しをして,悪者を見つけ,それで納得して,精神を安定させる。

「学校現場の失敗学」を考えてみる必要がある。

「褒めない,叱らない」が,ちょっとだけわかった気がする。でも,先日次男を叱ってしまったんだよなぁ。

アドラー心理学で変わる学級経営 勇気づけのクラスづくり (学級経営サポートBOOKS)

子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気

2019-06-12賞味期限のウソ

[]賞味期限のウソ 井出留美 幻冬舎 2016 賞味期限のウソ 井出留美 幻冬舎 2016 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 賞味期限のウソ 井出留美 幻冬舎 2016 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 賞味期限のウソ 井出留美 幻冬舎 2016 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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 日本の食品ロス量は,632万トン(2013年度,農林水産省調べ)。これは東京都民が1年間に食べている量とほぼ同等だそうです。

(中略)

 世界の食糧支援料は約320万トン(2014年)なので,日本は,世界全体で支援される食糧の2倍もの量を,日本国内だけで捨てているのです。

p.108

日本の食品ロス量は,ハンパない状態ということは,昔から知ってはいたが,どうしてそんなことが起こっているのか,この本を読んでよくわかった。誰も食品なんて捨ててもいいものだ,なんて思ってはいないのだが,日本の食品流通システム,異常なまでの健康志向などがそれを必然的に生んでいる。

スーパーに欠品を出すと食品メーカーはペナルティーを受けるそうだ。だから,消費量以上の供給をしなければならない。だから必ず食品ロスが出るシステムになってしまう。

賞味期限と消費期限の違いもわからず,賞味期限が1時間でも過ぎると廃棄してしまう。

コンビニでは賞味期限に近い食品を割り引いて販売することが「禁止」されているところもある。

リスク回避のために,フードバンクが広まらない。

そんなことも知らずに,テレビで食品を粗末に扱うシーンが出ると,「もったいない」と,目くじらを立ててクレームを言う視聴者がいるそうな。そのテレビでダメにしている食品の量と,自分が廃棄している,もしくは自分が原因でダメにしている食品の量を比較したことなんて全くない。そういう人に限って,スーパーで賞味期限が遅いものを選んで買おうとしている。多く買えば1個当たりの単価が安くなる野菜を買って,余ったからといって捨てている。

日本の食品ロス量の約半分が家庭から出ているということも驚く事実だ。

私の最近のマイブームは,月曜日にスーパーに行き,1週間で食べるものを買う。そして月曜日から金曜日で使い切ること。ほぼパズルゲームのようになっている。ちょと余ったら冷凍したりして次の週には使うように心がける。金曜日にはアパートから,自分の家に帰るのだが,金曜日の朝には冷蔵庫に入っているのは,ほぼない。(ビールと炭酸水とバターとビアグラスぐらいだろうか?冷凍庫には冷凍食品があるけれど。)

購入量を失敗して,足りなくなった場合は,冷凍食品や缶詰で賄う。「今日は刺身をつまみにビールを飲みたい」となった場合は,スーパーで刺身は買う。週の途中で買うものは,その日に食べきるものだけだ。

食品ロスをするぐらいだったら,傷んでいても食べきって腹を下してもいい,と立川談志がテレビで言っていた。去年修了した大学院生は,2年間部屋に冷蔵庫がなかったそうだ。それでも十分生きていける。いや,私は冷蔵庫にビールがないと生きていけないかも。(それも,その日に飲むビールはその日に買えばいいのかもしれない。)

賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか (幻冬舎新書)

2019-02-05日本型組織の病を考える

[]日本型組織の病を考える 村木厚子 角川新書 2018 日本型組織の病を考える 村木厚子 角川新書 2018 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 日本型組織の病を考える 村木厚子 角川新書 2018 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 日本型組織の病を考える 村木厚子 角川新書 2018 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

2009年,冤罪事件を自分で解決したとして記憶に残っている。あの時は「ニュースステーション」で何度もこの事件の報道を見聞きし,「一太郎ファイル(フロッピーディスク)のプロパティを検察が改竄した」という事実にかなりのショックを受けた。一太郎を使っていたのかということと,検察が改竄したということと,そんなのすぐにバレるのに検察は,どういう粗忽者の集まりなのか?というショックだ。

そして去年「久米宏のラジオなんですけど」に村木さんが出演し,さっそく本を買って読んだ。ちょうど2018年は役人の忖度,改竄,捏造などが問題となり,役所だけでなく,大型組織での危険タックル,奈良裁定,パワハラなんかも問題になっていた。

話は変わるが,「就職先は公務員がいい。安定しているから。」という生徒,学生が多い。しかし,公務員の仕事はどういうものなのか?ということを全く分かりもしないで希望していると思う。市役所に行くとたくさんの人がフロアで働いていて,市民に対して要求されたルーティンサービスを行っている。そんなイメージしか無いのだと思う。しかし,公務員って,とてつもなく大変な仕事だ。

私が公務員になる時,大学の恩師が「公務員は翻訳者。国民のニーズや願いを制度や法律に翻訳するのが役割だ」という言葉を送ってくれました。(p.124)

こういうことを考えずに公務員希望をしているのだろう。つまり,「翻訳」して,制度や法律にする能力,意欲があるかどうかで希望してほしいと思う。

国民(市民)の方を見ず,政治家や大企業などの権力がある方を向いていて,危なくなったら保身に走るからこそ忖度,改竄,捏造がおこる。国民(市民)に対しては「法律を守らせる(法律に適応させる)」ことしか考えないから,「お役所仕事」なんていう嫌みの言葉がまかり通る。

「法律を適応させる」というクリエイティブなことができなければ,または意欲が無ければ,公務員になってほしくない。

村木さんは定年退職してもクリエイティブに活動されている。

2019-01-29友だち幻想

[]友だち幻想 菅野仁 ちくまプリマー新書 2008 友だち幻想 菅野仁 ちくまプリマー新書 2008 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 友だち幻想 菅野仁 ちくまプリマー新書 2008 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 友だち幻想 菅野仁 ちくまプリマー新書 2008 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

話題の本だったので読んでみた。特に新潟県でいじめ問題が顕在化しているので,話題になったときから読んでみた。

その中で,「エクリチュール」に関係した部分があり,やっぱり「言葉」というのは人間を形作っているのだと再認識した。

関係が深まらない「コミニケーション阻害語」

 他者との関係を深めるにあたって、自分が他者に対して「受身の立場」をとれるということも大事です。

 受け身の立場とは何かというと、相手が自分に働きかけてくれることに対して、それなりにきちんとレスポンスできるということです。

 それは、決して百パーセント相手に合わせることではないし、百パーセント丸ごと受容できないからといって親しさがないということではありません。違うところは違ってもいいのです。

 でも、なるべくいろいろな人の言葉に耳を傾けるということが、関係づくりのバランスを鍛える良いトレーニングになると思います。

 しかし、読者のみなさん、とりわけ若い皆さんが普段何気なく使っている言葉(しかも使用頻度がかなり高いと思われる)に、きちんとした受け身のレスポンスを取ることをいつの間にか阻害する働きをしてしまう言葉があります。

 そのことに気づいたのにはこんなきっかけがありました。私の娘が小学校の中学年ぐらいになったときに、むかつくとかうざいといったたぐいの言葉をよく使うようになりました。その辺から、友だちへのまなざしがどうもよくない、友だちをマイナスの面から見ることが多くなり、家族や周りの人たちへのギスギスした態度が目についていました。そこで、そうした言葉を使わないようにとアドバイスしてみました。その言葉にはいくつかあって、私はそれらをとりわけ子供たちにとっての「コミニケーション阻害語」と名づけて、気にかけるようになりました。

  《中略》

これから取り上げる言葉群は、異質な他者ときちんと向き合うことから自分を遠ざける、いわば〈逃げのアイテム〉としての機能を持ち、そうした言葉を多用することによって、知らず知らずのうちに他者が帯びる異質性に最初から背を向けてしまうような身体性を作ってしまう危険性があることを、私は指摘したいと思うのです。

言葉が身体性を形作る。まさに「エクリチュール」の捉え方だ。

筆者は「ムカツク」,「うざい」,「ていうか」,「ヤバイ」他をあげいてる。

意識しなくてもそれらが口からついて出てくるということは,身体からの言葉ともいえる。言葉に合わせた態度を取るし,言葉は他者に対して投げかけられるものだから,周囲の人はその言葉に合わせた付き合い方をしてくることになる。何か話をすると必ず「でも」と,相手を否定してから話し出す人はたくさんいる。そのうちその人には話しかけようとは思わなくなる。

言葉を変えることで自分を変え,コミュニケーションを変えることができる。

学部2年生の授業「教育実践基礎論」で,自分の模擬授業を全て文字化してくる課題を出している。そうすると今まで気づかなかった自分の口癖が分かってくる。それをもとに最終課題を課す。自分がおこなう授業への意識は言葉遣いに出てくる。私は高校教師になってからようやく自分の言葉遣いの偏りに気づいたが,これから教師になる学生さんには早めに自分の口癖と自分の授業への意識に気づいてもらうことを目的としたものだ。

2018-12-07国語教育の危機

[]国語教育の危機 国語教育の危機 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 国語教育の危機 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 国語教育の危機 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

知り合いの国語教師が「今話題になっている」と言う本だから,読んでみた。

新学習指導要領,共通テストの導入により,国語教育が危機を迎えるという。ということは,現在高等学校国語科授業がおこなわれている各教室では,「危機」は訪れていないというのだ。

現行の学習指導要領においても,新学習指導要領においても,「生きる力」を育む教育を目指しているのだが,今おこなわれている国語授業で,それを意識しておこなっている教師は全体の何%だろうか?どのくらいの国語教師が,国語で身につく力を「問題を解いて正解を書く力」以外と設定しているのだろうか?

特別ではない,普通の中学校や高等学校に行って,授業中に廊下を歩いて教室を覗いてほしい。国語の授業で,学習者が「活動」をしている教室がどのくらいあるのか,見たことがあるのだろうか?

これからおこなわれる共通テストの問題を問題にしているようだが,現在のセンター試験を受けるのは,高校3年生のうち,約半分である。約半分の「国語教育」について問題にしているのだろうか?

きっとこの本は,現場の国語教師の不満や不安を「よく知っている」人が,今まで通りの,自分が受けてきた,多くの「国語教師」が好む授業をやっている教師向けに「今のままの『訓詁注釈』的教師主導,学習者の主体性を奪う国語授業で構わないんだよ。」という「逃げ場」を与えるために書かれたものなんだろう。その意義を十分に果たしているすばらしい本であった。

2018-11-16面従腹背

[]面従腹背 前川喜平 毎日新聞出版 2018 面従腹背 前川喜平 毎日新聞出版 2018 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 面従腹背 前川喜平 毎日新聞出版 2018 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 面従腹背 前川喜平 毎日新聞出版 2018 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

前川喜平の初めての単著本だ。寺脇研さんや前川喜平さんの対談や本を読むまで,トップの官僚というのは,何を信念に仕事をするべきなのかというのは,とうてい想像ができなかった。約20年前,「日本の政治は官僚主導でおこなわれている。国民が選んだ政治家が進めていない。」なんていう批判が起こっていた覚えがあるが,今は身勝手な政治家が私物のように政治を動かそうとしている。そこで官僚の大切さが分かってくる。

政治家は国民から選挙で選ばれ、直接国政を信託されている。一方、官僚は競争試験で採用され、その身分が保障されている。故に国民は政治家を取り替えることができるが、官僚を取り替えることができない。そう考えれば、政治家が官僚よりも上位にいなければならない事は当然だ。しかし、官僚には官僚の専門性があり、長年にわたって蓄えられた知識と経験がある。政治家と官僚とのあいだには、ある種の緊張関係がなければないと思う。どちらかがどちらかに依存してしまってはいけない。(pp.221-222)

そういう関係があって,初めて健全に国政を動かせる。どちらかが一方的な力を押しつけてはいけない。

これは,教育にも置きかえられる。どちらかが一方的な力を発揮しては,健全に学校は運営されない。文科省,教育委員会,管理職,教員,保護者,児童生徒,地域社会。互いにバランスが取れた状態をいかに保てるかが重要なのだ。だからそれぞれが発言することを,考えることをやめてはいけない。発言や思考をやめさせてはいけない。いい緊張関係を持たなければならない。

2018-09-11国家の教育支配がすすむ 寺脇研

[]国家の教育支配がすすむ 寺脇研 青灯社 2017 国家の教育支配がすすむ 寺脇研 青灯社 2017 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 国家の教育支配がすすむ 寺脇研 青灯社 2017 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 国家の教育支配がすすむ 寺脇研 青灯社 2017 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

公立高校教師だったときは,全く知ろうとしなかったし,考えもしなかったが,寺脇研さんや,前川喜平さんの本を最近立て続けに読み,教育行政というのは,こういう構造,こういう法律の下おこなわれているのか,と今更ながら知った。

また,文科省はどんな仕事をしているのかということも最近ようやく知った。以前,あまり知らなかった時,学校にいろんな注文を上から押しつけているものだという感覚を持っていたのだが,文科省の方と話す機会を持てたり,このような本を読んだりすると,法律の下,政治家の押しつけから教育を守ろうとしてたり,現代の事情に合わなくなった法律を改正しようとしたりと頑張っている人もいるのかとわかった。

この本で,印象に残ったことの1つは次の記述。

公立学校では教師が公務員だということの意味を,実は教師自身もよく理解していないのではないだろうか。もちろん保護者の多くも理解していない。公務員だからこそ原則をふまえつつ知恵を尽くしてていねいに事態に対応していかなければならない。公務員という公共の領域で働く者まで短期的な成果主義一辺倒で評価し,成果として数字に表れにくいものを切り捨て踏みつぶして行ったら,その先にどんな恐ろしいことが起こるかという想像力を,みなさんあまりお持ちでないようだ。

p.133

として,1930年代に軍部が暴走した原因の1つをあげ,目先の「手柄」を立てて,成果を誇示し,自身のポストを確保しようとしたという。教師を公務員という身分にしているのは,「立場を超えた余計な野心を持たせないための身分保障」という意味もあるというのだ。

近年は「分かりやすい成果主義」に教員が傾倒している傾向がある。校長が傾倒し,それに迎合する教員が「がんばり」過ぎ,おかしな方向に進んでいる。教育というのは「わかりにくい」ものである。本当に成果が現れるのは目の前の子どもが社会を担う大人になった時だ。目の前の「分かりやすい成果」と「社会を担える大人になること」の因果関係は明らかになっていない(と思う。明らかになっていたら,きっと大々的に周知されているはず。)。つまり,「経験論」でしか述べられていない。



法律によって教育行政はなされている。教育内容も学習指導要領によって定められている。教科の授業は必ずある教科書を使うことになっているが,教え方は学習指導要領の範囲内で,教師の裁量に任せられている,というように教育の自由がある。教育委員会や文科省や政治家が教室でどのように教えているか介入してきたら問題である。(そんな問題も最近起こっているが。)この本を読みながらぼんやりと考えたのが,校長が学習指導要領に反するようなことを指示してきた場合,1教師が従わねばならないのは,学習指導要領なのか,校長なのか。

私はもちろん学習指導要領だと思うのだが,実際はそうではないことも多い気がする。

国家の教育支配がすすむ──〈ミスター文部省〉に見えること
国家の教育支配がすすむ──〈ミスター文部省〉に見えること寺脇 研

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2018-06-06残念な職場 53の研究が明かすヤバイ真実

[]残念な職場 53の研究が明かすヤバイ真実 河合薫著 PHP新書 残念な職場 53の研究が明かすヤバイ真実 河合薫著 PHP新書 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 残念な職場 53の研究が明かすヤバイ真実 河合薫著 PHP新書 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 残念な職場 53の研究が明かすヤバイ真実 河合薫著 PHP新書 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

読み始めたのだが,いろんなものに当てはまるからびっくりしている。

 逆に,噓をつことおす人のおかげで責任追及を免れる人も存在します。

 日常の業務の中にも多かれ少なかれ噓や責任逃れが横行しており,そういう人は案外,上司や周囲から重宝がられます。つまり,ウソつき上手は,上からの「引き」で出世する可能性が高まるのです。(p.46)


無責任な人たちはたびたび噓をつきます。しかしながら彼ら彼女らには,「嘘をついている」という罪悪感がいっさいありません。

 私たちは一般的に,「嘘をつき,責任を回避すると,イヤな気持ちになる」と考えます。けれども実際には,噓をつこ通すことができると,次第に〝チーターズ・ハイ〟と呼ばれる高揚感に満たされ,どんどん自分が正しいと思い込むようになっていくのです。(pp.49-55)

こういう人の例を日本やアメリカの経営者から紹介している。こういう人が「特別」ではなく,結構いるというのだ。

日本のトップは自らこれを実践し,このような経営者になれと「お手本」を示しているとしか思われない。

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2018-04-06人はなぜ学歴にこだわるのか。

[]人はなぜ学歴にこだわるのか。 小田嶋隆 2005 人はなぜ学歴にこだわるのか。 小田嶋隆 2005 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 人はなぜ学歴にこだわるのか。 小田嶋隆 2005 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 人はなぜ学歴にこだわるのか。 小田嶋隆 2005 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

名著でありながら,絶版なのか,Amazonでも古書しか売っていない。

学歴を詐称すると,異常なバッシングを受ける。大学に裏口入学(「まがい」でも)したっとバレると,その人の格が暴落する。なぜか?

上流階級の人と庶民出身の人が恋愛に落ちて,結婚して,庶民が上流階級に仲間入りしても,学歴詐称ほどバッシングを受けない。むしろ,サクセスストーリーとして語られる場合がある。(「成り上がり」として揶揄されることもある。)

ところが,あり得ないかもしれないけれど,本当は正規に入学してはいないのだけれど,モグリで授業を受け続け,高い知性と能力をその大学で身につけ,卒業証書はもらっていないけれど,「○○大学卒だ」と言って卒業後実績を上げていたとしても,それが学歴詐称だとバレた場合は,バッシングを受ける。これって何だろう?

日本の場合,身分制度が形式上無くなり,新たな身分制度として「学歴」というものが生まれ,それにみんながこだわるから,詐称は大問題になるのだろう。詐称しなくても,「あの人は○○校出身だ」と常に意識されてしまう。それは日本国民ほぼ全員が学校に通うというシステムになっているからであり,学校を中心とし,学校を囲む社会が学歴にあまりにもこだわる文化が出来上がってしまっているからだ。

国民のほとんどが学校に行かなかった時代にはそんな文化はなかったはずだ。

さて,教師としてはどういう立ち位置でいるべきなのか,非常に難しい問題だ。この「学歴」というのは。子どもたちに「気にするな」と言うのか,「気にしろ」と言うのか。そう考えている私も大学院修了という学歴を持っているところに,学歴を語る難しさはあると,最後に小田島さんは指摘していた。

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