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上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を勤めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。
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教室『学び合い』フォーラム
第15回(2019年)《海》,《山》は
2019/8/3〜4に福岡県,2019/11/2〜4に長野県でおこないます。
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2019-09-05新聞記者

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高田世界館で鑑賞。新潟では、新潟市のイオンシネマで上映していたのだが、見逃してしまったが、ちょうど高田世界館でやっていたので、終了前に慌てて見にいった。

ネット上の説明には

『新聞記者』は、2019年公開の日本映画。 東京新聞記者・望月衣塑子の同名ノンフィクションを原案に、若手女性新聞記者と若手エリート官僚の対峙と葛藤を描く社会派サスペンス。 監督は藤井道人、主演はシム・ウンギョンと松坂桃李。(ウイキペディア)

とあった。元はノンフィクションだったのか。封切りされていたときのネットの話題では、現政権を非難したもので、けしからん、といったようなものがあったのだが、この程度の内容で、問題にしているようなら、真実を描いているのか?と勘ぐってしまう。

政府によるSNSを使った情報操作に対抗するジャーナリズムを描いたものだが、このジャーナリズムが無くなっている日本のマスコミへの批判も描かれている。

サスペンス映画としては、全体の2/3までは緊張感のあるものだったが、大学設立の真の目的がちょっと非現実的で、ちょっと冷めてしまった。そこが残念。もうちょっとあり得るような設定にしてもらったらよかったのに。

ラストシーンは、カタルシスの全くないもので、信念の強さと人間の弱さの葛藤を描き、「FAKE」を彷彿とさせるものだった。もやもやさせたまま判断は観客に委ねようというものなんだと思う。

2019-08-15トイ・ストーリー4

[]トイ・ストーリー4 トイ・ストーリー4 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - トイ・ストーリー4 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 トイ・ストーリー4 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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3が2010年公開ということで、9年ぶりに観たということだ。3は息子と見にいった記憶があるのだが、長男だったか次男だったか忘れてしまった。14歳の次男と行ったのか?と思ったが、9年前は5歳だから、きっと長男と行ったのだろう。しかし、次男は見にいった記憶があるという。どっちだったか……。それとも観に行ったという私の記憶は思い違いだっただろうか?家でビデオで観たのだろうか?*1

子別れがテーマだった。そして女性主導によるストーリー展開は、最近の映画界の流れだろう。ウッディーやギャビー・ギャビーの成長が上手く描かれていたし、腹話術人形がめちゃくちゃ恐かった。完全にホラー映画だった。「チャイルド・プレイ」かと思った。

とはいっても、絵に描いたような悪者はどこにもいず、みんなちょっと間抜けで、いい感じ。宣伝通りまさかの結末だが、この展開で5も期待できると思った。また9年後だろうか?

行きつけの床屋の店主が言っていたように、チョコレートプラネットの吹き替えが秀逸だった。

*1:後で調べたら、DVDを借りて2011年に見たことがわかった。

2019-07-15セデック・バレ

[]セデック・バレ 2011年 台湾 セデック・バレ 2011年 台湾 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - セデック・バレ 2011年 台湾 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 セデック・バレ 2011年 台湾 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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GYAOで、15日まで無料だったので、前後編2本立てを2週に分けて観た。数年前に新潟市のシネウインドで公開されていたのだが、見逃してしまった。今回無料で視聴できたのでラッキーだった。

日清戦争後、日本が台湾を併合したのだが、山中に住むセデック族が抗日運動をくり返した姿を描いている。

セデック族は、同族同士で「神聖な狩り場」を自分たちの部族のものにしようと争う。相手の部族の戦士の首を狩ることで、一人前と認められ、大人になる。そうなると、死んだら虹の橋を渡り、あの世で敵対した部族と仲良く暮らせるという言い伝えがある。

こういう考えを持っているから、自分の狩り場が日本軍に荒らされることを毛嫌いするし、命をかけて守ろうとする。そしてそのためになら相手の首を狩ることを厭うことは無い。

最大の抗日暴動として「霧社事件」がある。日本人の子どもたちの運動会として霧社という地に日本人がほとんど集まるのだが、セデック族が連携して計画的に妊婦以外の日本人を皆殺しにするのだ。

映画はとても壮絶なものだった。R+15指定だ。日本のしたこと、セデック族のしたこと、それぞれの立場からの見方で、どのようにも判断できる。しかし私はこの映画を見て、「信じているもの」について考えさせられた。

今の日本人の見方として、当時のセデック族の考え方、「狩り場を守るためなら、他の部族の人間を殺してもしょうがない。むしろ、殺すことで英雄となり、英雄となったら死んだ後しあわせになれる。」というものは、信じられないことだろう。そんなことをしなくても狩り場を共有することは可能だし、殺人をしない方法だってあるはずだ。と、考えるのが一般的だ。

しかし、セデック族はそんなことを言われても、信じているものが違うんだから、考えを改めることは絶対無い。

当時の日本人が考えていたことは、領土を拡張することがいいことだし、占領した住民の人権は無視していいと考えていたし、日本人の命とセデック族の命の価値に差があると考えていた。そう信じていたのだから、それを咎められたとしても、考えを改めることは絶対無い。

これらの考えは、時代が変わると変化している。当時は「絶対的な真理だ」とみんなが思っていたことで、それを信じて行動していたのだが、50年も経つと、徐々に変化している。特に日本人が信じていることは。

今の日本人の見方はどうだろう?2番より1番の方がいいと思っているし、大学進学した方がいいと思っているし、国立大学に多く進学した子どもがいる高校の方が優れた教育力を持っている高校だと思っている(人が高校教師に多い)。

こんな考え、50年前には無かったことだ。だから50年後には、いや、今の世だったら20年後にも無くなってしまう考えじゃ無いかと思われる。

管理職が偏差値を上げるためだったら、高校では人間関係を学ばなくてもいいと、豪語する。担任が、国立大学を目指さないんだったら、もう進路指導をする必要がないと言う。こういう高校教師が当たり前のようにいる教育界って、本当に子どもの成長を促す場なんだろうか?

子どもが人間関係を学べず、むしろ、人間関係を疎遠にさせたり、大人から不必要な圧迫、プレッシャーを受ける場と高校現場がなっているところが多い。そんな高校だったら、通わせない方がよっぽどいい。

大学進学者数が、本当に出世に関わっているのかどうなのか、不確定なのだが、自分の地位のため、自分のプライドのために、学歴幻想を引き合いに出して子どもたちを傷つける。早くこの幻想から目覚めさせなければならない。

2019-06-11愛がなんだ

[]愛がなんだ 愛がなんだ - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 愛がなんだ - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 愛がなんだ - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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町山智浩さんが最近観た日本の映画で勧めていたので観に行った。マイナーな映画そうだから,新潟でやっていても,シネウインドか,上越だったら数ヶ月語に高田世界館かな?と思ったら,今やっていた。新潟市ではイオンシネマ南だったし,なんと上越のジェイマックスシアターでやっていた。驚き。

今回,町山さんの印象と私の印象はちょっと違った。町山さんは成田凌演じる「マモちゃん」がとんでもないダメ男で,ひどすぎる,岸井ゆきの演じる「テルコ」がマモチャンの言うことをなんでも聞いて,献身的に尽くしている,なんていう解釈をしていたけれど,私は観て「そこまでマモちゃんはだめ人間じゃないんじゃないか?」と思ってしまった。

主人公の岸井ゆきのは,「まんぷく家族」でタカ役をしていた女優だ。そこでの役柄ではそれほど美人ではないんだけれど,父親や夫にはめちゃめちゃ可愛いと観られていた。「愛がなんだ」でも美人役としては出ていないんだけれど,「まんぷく家族」の時の印象とは違って,あるシーンではとても綺麗に見えてくる。そこがこの女優の魅力なんだろうと思う。門脇麦に通じるところがある。

さて,マモちゃんがそこまで悪い男ではないと思ったのは,自分の都合のいいときだけ女を呼び出す,ということは,それほど珍しいことでもないし,自分の部屋を勝手にいじられるのは嫌な気分だし,熱があって伏せっているときに,近くで風呂の掃除なんかされたら,そりゃ,追い出したくなるよ。ということ。つまり,マモちゃんだけがひどいのではなく,テルコもちょっとずれているのだ。そりゃあずっといると煙たがられるよな,とも思う。

この映画の面白いところは,5人の男女が出てくるのだが,みんながみんな勝手で,互いに「上手くいっていない」ということ。しかしその関係は切れてはいないし,そして相手に合わせて自分を変えようともしないこと(1人は自分を変えようとはしているのだが)。つまり5者5様の「エゴ」を描いているということなんだと思う。

その人の都合のいいように接して,呼ばれたときだけ行って,「自分なんかに声をかけてくれる」と有り難がっていたが,そういうことを続けると彼女がだめになるから,好きになるのをもうやめる,と打ち明けた男(テルコの友だちの友だち)に対して,テルコは愛が何だ,そんなの関係ない,と言う。「振り向いてくれないから諦めるって言え」と相手への思いやり=「愛」を真っ向から否定する。

テルコのしていることはなんだろう?テルコもその男と同じように都合のいい女になっているが,テルコはマモちゃんのためを思っていない。自分のためにマモちゃんを好きになっている。かといって自分の気持ちを相手に押しつけない。いつも一緒にいたいけれど,「出ていけ」と言われれば,出ていく。

不思議な台詞があった

どうしてまだマモちゃんになれないんだろう

テルコが目指している「愛」というのは,その人が喜ぶのを見て自分が喜ぶことではなく,その人自身になること,その人と一体化することということだろうか。

アイドルが好きで,そのアイドルと同じ格好をする。同じ行動を取る。神を信仰して,神と一体化したいと思い,命を絶つ。それと同じということなんだろうか?そこのところは本当にわからない。

「自分の欲求を抑えてでも,その人のために献身する」という方を一般的には「愛」という。「その人と一体化する」というのは「愛」とは読んでいない気がする。だから「愛がなんだ」というタイトルなのか?

2019-05-25イット・フォローズ

[]イット・フォローズ  (完全ネタバレ) イット・フォローズ  (完全ネタバレ) - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - イット・フォローズ  (完全ネタバレ) - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 イット・フォローズ  (完全ネタバレ) - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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ホラー映画は恐くてほとんど観ないんだけれど,この「イット・フォローズ」のメタファーがすばらしいということで,DVDをかりて観た。

1人でアパートで,夜に観たのだが,めちゃめちゃ恐い。何度もビクツ!となるところがあり,こういう刺激があるホラー映画に耐性がないんだな,と思った。「羊たちの沈黙」とか,「ツイン・ピークス」のようなものは大丈夫なんだけれど。

セックスをすると相手に何かが感染し,感染した人を「何か」が殺しに来るというストーリー。助かるためには他の人とセックスをしないといけない。その他の人が「何か」に殺されると,次には元の人を殺しに来るという。

「何か」は自分の知っている人,知らない人に化けて,どこにでも現れる。「何か」は歩いてくるから,気がついたら自動車で逃げられるが,逃げた先にも何時かは歩いて追ってくる。「何か」は感染したことがある人にしか見えない。気を許すと「何か」は背後に忍び寄っている。

これを見て,「徒然草」第百五十五段を思い出した。

迎ふる気、下に設けたる故に、待ちとる序甚だ速し。生・老・病・死の移り来きたる事、また、これに過ぎたり。四季は、なほ、定まれる序あり。死期は序を待たず。死は、前よりしも来きたらず。かねて後に迫せまれり。人皆死ある事を知りて、待つことしかも急ならざるに、覚えずして来たる。沖の干潟ひかた遥なれども、磯より潮の満つるが如し。

セックスによって「死」が訪れてくるというのは,セックスで子どもが生まれ,生まれた途端に「死」は迫っているという,見事なメタファーだな,と思った。

ただ,映画の中でそれをほのめかしちゃっているのがとても残念だった。あのまま,映画の中では明かさないまま終わらせてほしかったというのが正直な感想だった。そうすれば,もっといろいろと考えられたのに。

それにしても,ホラー映画は一人でアパートで観るもんじゃないな。

2019-04-19盆唄

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高田世界館で鑑賞。高田世界館には,年に数回程度しか行けていないなぁ。珍しくドキュメンタリー映画を観に行った。

福島県双葉町は原発爆発により帰還困難地域となっている。そこで行われてい盆踊り(盆唄)をテーマとして,盆踊りの復活,盆踊りの伝承などを描いた映画だ。

見ようと思ったきっかけは,「久米宏ラジオなんですけど」で,盆踊りに関わる人たちの写真をとり続けていた岩根愛さんがゲストとして出演したからだ。

福島県双葉町からハワイへの移民たちが,移住したときから,夏には盆踊りをおこない,盆踊りの文化を継承している。双葉町では盆踊りを行えなくなった双葉町住民たちが,ハワイにいって,双葉町で行われている盆踊りを(つまり,原形)を教える。そして,いつか,双葉町に還れるときが来たとき,何世代後になるか分からないが,その時にはハワイの人たちに盆踊りを教えてもらおうという願いでそれを行ったそうだ。

「祭」とは,何のために行うのか,それを表現している映画だと思った。私は盆踊りの記憶として,小学校の時に近くの公園でおこなわれたものに行ったことしかない。各町内会で盆踊りを開催していた。今やその公園はもう無く,盆踊りも開かれていない。大人になって盆踊りを主催する側になったこともない。新潟市では盆踊りはもはや,小学校の運動会で踊られるものか,新潟祭の民謡流しでおこなわれるものになってしまった。そういえば,高校の時,1回だけ,民謡流しに参加したことがあったなぁ。

しかし,運動会や,大きな民謡流しとは違った意味があることが分かる。それは地域の人たちとの繋がりの確認であり,ハレの場での気持ちの解放であり,祭りの後の日常を確認する場でもある。

祭りは行われなければならぬ。

映画の最後15〜20分続く盆踊りのセッションは圧巻だった。延々と歌と太鼓と笛が続き,見ている方はビートが体に染みついてくる。JBのコンサートのようだった。あい,そういえばJBの映画を観たのも高田世界館だったな。

2019-03-29グリーンブック

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アカデミー作品賞。賞を取るのもうなずける。とてもいい映画だった。

私が好きな「ロードムービー」と「ミュージックムービー」という2つの要素を持っている。「ロードムービー」の要素では,2人が旅を続ける上で,少しずつ2人の関係や,それぞれの考え方が変化していく。そして「ミュージックムービー」の要素では,抑圧されたものが一気に音楽で発散される。とてもうまく作られているし,実話ベースというところも感動を呼ぶ。

イタリア系白人は,白人であるがアメリカン人ではなく,ところどころで差別される。そして黒人を深い考え無しに差別していた。

黒人クラシックピアニストは,ほとんどアメリカで暮らしたことがなく,ソ連でピアノのレッスンを続け,有名なピアニストとなる。自分は何か?ということを確かめるために1960年代の南部に演奏旅行に出かける。

イタリア系白人は,「俺はお前よりも黒人だ。黒人が作ったフライドチキンの食べ方を知っているし,大好きだ。」という。黒人ピアニストは「あいつらは俺のピアノなんて聞きやしない。俺が演奏している場にいることが大切なんだ。」と,自分自身を認めてくれないことにいらだつ。

アイデンティティとは何かを考えさせる映画だった。そして,自分のアイデンティティとは,相手を認めた上に出来上がっていくということを表している映画だった。

2019-03-18意味を教えてもらうこと

[]マジカル・ガール 聖なる鹿殺し マジカル・ガール 聖なる鹿殺し - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - マジカル・ガール 聖なる鹿殺し - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 マジカル・ガール 聖なる鹿殺し - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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立て続けに陰々滅々とする映画をDVDで視聴してしまった。観た後,結構ダメージが大きくぐったりした日々が何日か続いた。

「マジカル・ガール」は,娘が余命幾ばくもないと知った父親が,娘の憧れである「マジカル・ガール」のコスチュームをなんとか落札したいと思い,どんどん予想もできない展開になるという話。

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「聖なる鹿殺し」は,父親がやってしまったミスの責任を被害者が求め,家族がどんどん窮地に追い込まれるという話。

どちらも,「分けが分からないけれど,すっごくいやな感じ」を受けた。いろんなところの辻褄を合わせようとするのだが,映画の中では説明されていない部分も多く,これは誰?どうしてこうなるの?ということが続き,いつか説明があるのかな?と我慢して観ていくと,回収されないまま「え?終わり?」と何の救いもなく終わる。

我慢できずネット検索して,「ネタバレ」を読んでしまう。そこにはいろいろ書かれてあり,「ああ,そうなのか。」と納得できる部分もあった。

しかし,それを読んで,果たしてこの映画の見方はこれでいいのか?と反省してしまった。映画監督のインタビューで,「わざと説明を省くことで,観ている人に想像してもらいたい。」という表現があった。

そうか,「分けが分からないこと」を「分けが分からないこと」として,そのまま受けとって,そのまま感じ続けてもらうことが監督の意図だったのか。

「意味を教えてもらうこと」というのは,「意味を自分で見つけていないこと」であり,映画自体をちゃんと観ていない,映画自体をちゃんと感じていないことなのかと反省した。意味は自分で見つけるものであり,教えてもらうことではない。教えてもらって辻褄が合って,納得するけれど,納得した時点で感じたことは薄らいでしまう。あのいやな感じは「種明かし」されることで,薄らいでしまう。それはその作品の「意図」とは違うものになるだろう。

国語教師をやっていると何でも意味を明らかにするような教え方をしてしまい,文学作品も,映画作品も,そのように「解説」してしまうが,本来の意味で文学作品を「味わう」ことには繋がらないのだと思った。

今後一切「意味を教えてもらう」ことはしないと誓う。

2019-03-08女王陛下のお気に入り

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今年のアカデミー賞でも話題になり,最近観た「ロブスター」の監督ヨルゴス・ランティモスの作品ということで観に行った。ユナイテッド・シネマだったが,もう既に1日1回上演になってしまっていた。急いで観に行く。

18世紀イングランドの王室アン女王が主人公。世間知らずのお嬢様だが,国政のトップにいて,自分が決断した政策で国がどのように動いているのかも分からない女王と,意のままに動かそうとしている幼なじみの侍女,そこに分け入って行こうというエマ・ストーンの争いが描かれている。

ラ・ラ・ランドのエマ・ストーンがとても綺麗に描かれていた。アン女王の悲劇性が喜劇的に描かれていて,悲劇性を認めるエマ・ストーンがどんどん寵愛されていく。最後アン女王は知ってか知らずか侍女を追放していく。もう諦めたということなのか?

議会の議員の男たちは国民のことを考えているという体裁で,今から考えると滑稽な振る舞いばかりしている。美しさが一番といいながら,カツラをかぶり化粧をする。女性よりもゴテゴテと馬鹿殿並の化粧を現実にしていた。エマ・ストーンは現実を見ていて,化粧を落とした方がだんぜん格好いいと未来の夫に告げる。そんな議員や国会や何も分からない王女の気まぐれでフランスとの戦争に行かされる国民は悲劇であり喜劇であった。

全く照明を使わず,実際にある宮殿で自然光と蠟燭の光でロケをしていたので,とても現実味がある。暗いシーンはとても暗く,画面がまっ暗になるシーンもよくあった。

ヨルゴス・ランティモス監督らしく,バツンと映画が終わる。観ていた私はいきなり取り残される。

2019-02-26ロブスター

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レンタルDVD視聴。借りてしまったが,Amazon Prime Videoでも観られたのか。レンタル代損した。

よく分からなく,あとからじわじわくる映画。

離婚したオジサンが主人公で,この世界では,独身者は迫害され,離婚すると強制パートナー探しホテルに収容される。45日間の猶予のうち,パートナーを見つけなければ,動物に変えられる。主人公はその時が来たら「ロブスター」がいいと希望する。

主人公の婚活はあまりうまく行かず,収容所を逃げ出す。逃げ出した先の森の中には独身者ばかりが集まり生活している。毎日収容所のメンバーがバスで森に行き,狩りをする。逃げ出した森の中の独身者を麻酔銃で撃ち捕獲するのだ。捕獲すると1人につき1日猶予日数が増える。

ここに出てくる人は何か「共通点」が無いとパートナーになれないと思い込んでいる。「良く鼻血が出る」,「近眼だ」,「○○が好き」と,共通点を無理矢理探す。共通点が見つからない場合は,例えばわざと壁に鼻を打ち,鼻血を出して共通点とする。

この映画は,そういう恋愛という「罠」に陥った人を皮肉って描いているし,結婚せずに子どもも作らない大人を「不必要」とする認識不足の日本の一部政治家を初めとする頭の堅い人たちを皮肉っている映画だと読み取った。

主人公は最終的に女性を連れて森からも抜け出す。森は恋愛禁止,パートナーを持つことも禁止なのだ。主人公のパートナーはリーダーから街の医者に連れて行かれ,視力を失う手術を施したと伝えられる。主人公は「共通点」を無理矢理作るために……。そして。

いろんな社会を抜け出たとしても,思い込みからは抜け出せないというラストシーンのような気がした。