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上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を勤めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。
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教室『学び合い』フォーラム
第15回(2019年)《海》,《山》は
2019/8/3〜4に福岡県,
2019/11/2〜4に長野県でおこないます。→長野の会は中止になりました。
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2019-11-12天気の子

[]天気の子 2019 天気の子 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 天気の子 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 天気の子 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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いろんな評価が耳に飛び込んできて、「君の名は。」は見たけれど、「天気の子」は見なくていいか?と思っていたのだけれど、これも次男が「面白かった」と言っていたので、今更ながら観に行った。JMAXシアター。平日夜だが、お客は私を入れて3名という、今まで観た中で最少人数を記録した。

観た全体の印象は「観てよかった」というものだ。新海誠監督の絵の特徴として「空が綺麗」というものがある。この空の絵は大画面で観なければ味わえないと思う。今回の映画はそれが堪能できた。設定もキャラもストーリーも面白かった。楽しめた。

また、雨好きの私にとっては、全編雨の風景で、しっとりして落ち着いていて観ていて心地がよかった。

「君の名は。」に比べて、キャラクター描写が少し大人びたものになっていた。「君の名は。」の出演キャラはちょっと私にとっては子供じみた描写(例えば、目が大きく、ディフォルメし過ぎ)の感があったが、それが薄まっていたので、観ていてのめり込めた部分もある。

しかし、ところどころ背景のCGがリアルすぎて、なんだかバランスが悪い気がした。ほぼ実写?と思うようなところ(窓のアルミサッシなど)もあって、違和感があった。もうちょっとキャラのタッチに合わせた背景が好きなんだけれど。キャラクターに感情移入していて、そのタッチになれてくるが、リアルすぎるCGが現れると、「あ、作り物なんだ」と現実に引き戻されてしまうことがある。

同じように、描かれている世界観はあり得ない、ファンタジーのものなのだが、現実的にあり得ないだろうと思われるアイテム、例えば主人公が拳銃を所持していることが描かれると、これもちょっと引いてしまう。拳銃を描くことって必要?なんて思ってしまった。

粗を探してしまったが、全体的には好きな映画になった。タキとミツハも出演していたのがわかったし、ホンダカブと「離島」も描かれていたし、続いている世界というのを匂わせて、コアなファンを喜ばせているんだな、と思った。

この映画も子どもが大人になる映画。何かを諦めて大人になるのではなく、何かを壊して大人になるのでは無く、熱意を持って真っ直ぐに大人になるという姿を描いたジュブナイル映画だった。

森七菜の声がよかった。

2019-10-21ジョーカー

[]ジョーカー 2019 ジョーカー 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - ジョーカー 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 ジョーカー 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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R15指定だから、どれだけ残忍で、エロい場面があるのか?と思ったけれど、そんなシーンはあまりない。というのも、次男が「ジョーカー」の噂を聞いて、面白いんだってと伝えてきた。しかし次男は中3でまだ15歳になっていないから観ることができない。

それはいろんなところで言われているように、ジョーカーの残忍な悪行に対して、ともすると感情移入してしまう怖れを孕んでいるように描かれているからなのかも知れない。だから子どもは観てはいけないと。いや、大人もそう思うだろう。私の観た後の感想は、「いい映画だった」というものだった。ジョーカーに共感してしまうし、肩入れしてしまう。ゴッサムシティの状況を打破するのはジョーカーしかいないのでは?と思ってしまった。

ある評論は「貧困層の代弁者だ」というものだし、ある評論は「格差社会を助長する」というものだ。どちらも貧困層、虐げられている者がなかなかそこから抜け出せないという前提を認識している。

観ながら、香港のデモの風景が思い出された。香港ではマスクをして破壊活動をする。ゴッサムシティではピエロのメイク、お面をかぶって破壊活動をする。すごく今の世を反映している映画だと思った。

しかし、ジョーカーは何の特殊な力も、抜群の頭脳も持っていないのに、バットマンの強敵となる。これからジョーカーはどんな成長(?)を遂げるのか?あ、ただ、「妄想」(または、幻想、幻覚)という力は、並外れて持っているのかも知れない。

2019-10-10工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男

[]工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男 2018 韓国 工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男 2018 韓国 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男 2018 韓国 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男 2018 韓国 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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高田世界館で鑑賞。最近話題の韓国映画はよく見るようになったと思う。日本で上映される韓国はとんがっているのが多く、見応えがある。この映画も、「え、本当のことなの?さもありなん。」という内容だった。

北朝鮮の金正日の時代、韓国の金大中が大統領になるちょっと前の時代、南北がとても近くなったきっかけの出来事も描かれていて、金大中の前政権が政権維持のために工作員を使い、北朝鮮に武力行使をさせていたという驚愕の事実も描かれている。本当かどうかはわからないが「さもありなん」という感じだ。もしかしたら日本も今、そんなことしているんじゃないか?と勘ぐってしまう。

だんだん主人公が重松清、北朝鮮側のキーマンが梅沢富美男にしか見えなくなってくるのが面白かった。ということは、どんどん感情移入してしまっているということだ。

韓国映画は過去の自国の歴史をこのようにどんどん暴いていっている。日本映画はそういう気概がもう無くなっているのか?「補助金を削られたらやっていられないから。」と及び腰になっているかも知れない。日本映画の衰退はひどいもんだ。

「これからは金をかけない面白い映画」というジャンルしか日本映画は生き残れないのかも。

2019-09-19ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

[]ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 2019 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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「たまむすび」で町山智浩さんの解説を聴いていたのだが、観るまでその解説の内容をすっかり忘れていた。1950〜1960年代の映画業界の話だし、デカプリオとブラピが共演するし……と思って、観に行ったら、分からないところだらけ。観てから町山智浩さんの話を思い出した。

シャロン・テート事件という、当時の人気女優をヒッピー集団が惨殺するという事件がベースにあって、そこに向かって話が進んでいく。ちょっと落ち目のアクション俳優デカプリオとそのスタントマンのブラピの面白い関係や、ウエスタン映画がアメリカでは下火になって、マカロニウエスタン映画に出演するようになるとか、当時の映画事情も描かれている。

小学校の頃、テレビでよくマカロニウエスタンをやっていて、よく観ていた。当時は私は世界地図なんてほとんど頭に入っていなくって、ウエスタンといえばアメリカなんだけれど、メキシコあたりで作っているのかな?と勘違いしていた。イタリアだった。そうだ、マカロニってイタリアだよなぁ。イタリアの場所もほとんど知らなかった。全て「西洋」でひっくるめていた。

シャロン・テート事件の詳細がほぼ頭になかった私は、観ていて、面白くはあったのだけれど、分からないところもたくさんあったまま見終わってしまった。クエンティン・タランティーノ監督だけあって、細部が良く作り込まれていて、映像も、ところどころに入るブラックな逆も面白く、飽きなかったんだけれど、「たまむすび」をもう一回聴いてから観に行けばよかったと後悔している。

2019-09-05新聞記者

[]新聞記者 2019 新聞記者 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 新聞記者 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 新聞記者 2019 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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高田世界館で鑑賞。新潟では、新潟市のイオンシネマで上映していたのだが、見逃してしまったが、ちょうど高田世界館でやっていたので、終了前に慌てて見にいった。

ネット上の説明には

『新聞記者』は、2019年公開の日本映画。 東京新聞記者・望月衣塑子の同名ノンフィクションを原案に、若手女性新聞記者と若手エリート官僚の対峙と葛藤を描く社会派サスペンス。 監督は藤井道人、主演はシム・ウンギョンと松坂桃李。(ウイキペディア)

とあった。元はノンフィクションだったのか。封切りされていたときのネットの話題では、現政権を非難したもので、けしからん、といったようなものがあったのだが、この程度の内容で、問題にしているようなら、真実を描いているのか?と勘ぐってしまう。

政府によるSNSを使った情報操作に対抗するジャーナリズムを描いたものだが、このジャーナリズムが無くなっている日本のマスコミへの批判も描かれている。

サスペンス映画としては、全体の2/3までは緊張感のあるものだったが、大学設立の真の目的がちょっと非現実的で、ちょっと冷めてしまった。そこが残念。もうちょっとあり得るような設定にしてもらったらよかったのに。

ラストシーンは、カタルシスの全くないもので、信念の強さと人間の弱さの葛藤を描き、「FAKE」を彷彿とさせるものだった。もやもやさせたまま判断は観客に委ねようというものなんだと思う。

2019-08-15トイ・ストーリー4

[]トイ・ストーリー4 トイ・ストーリー4 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - トイ・ストーリー4 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 トイ・ストーリー4 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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3が2010年公開ということで、9年ぶりに観たということだ。3は息子と見にいった記憶があるのだが、長男だったか次男だったか忘れてしまった。14歳の次男と行ったのか?と思ったが、9年前は5歳だから、きっと長男と行ったのだろう。しかし、次男は見にいった記憶があるという。どっちだったか……。それとも観に行ったという私の記憶は思い違いだっただろうか?家でビデオで観たのだろうか?*1

子別れがテーマだった。そして女性主導によるストーリー展開は、最近の映画界の流れだろう。ウッディーやギャビー・ギャビーの成長が上手く描かれていたし、腹話術人形がめちゃくちゃ恐かった。完全にホラー映画だった。「チャイルド・プレイ」かと思った。

とはいっても、絵に描いたような悪者はどこにもいず、みんなちょっと間抜けで、いい感じ。宣伝通りまさかの結末だが、この展開で5も期待できると思った。また9年後だろうか?

行きつけの床屋の店主が言っていたように、チョコレートプラネットの吹き替えが秀逸だった。

*1:後で調べたら、DVDを借りて2011年に見たことがわかった。

2019-07-15セデック・バレ

[]セデック・バレ 2011年 台湾 セデック・バレ 2011年 台湾 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - セデック・バレ 2011年 台湾 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 セデック・バレ 2011年 台湾 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

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GYAOで、15日まで無料だったので、前後編2本立てを2週に分けて観た。数年前に新潟市のシネウインドで公開されていたのだが、見逃してしまった。今回無料で視聴できたのでラッキーだった。

日清戦争後、日本が台湾を併合したのだが、山中に住むセデック族が抗日運動をくり返した姿を描いている。

セデック族は、同族同士で「神聖な狩り場」を自分たちの部族のものにしようと争う。相手の部族の戦士の首を狩ることで、一人前と認められ、大人になる。そうなると、死んだら虹の橋を渡り、あの世で敵対した部族と仲良く暮らせるという言い伝えがある。

こういう考えを持っているから、自分の狩り場が日本軍に荒らされることを毛嫌いするし、命をかけて守ろうとする。そしてそのためになら相手の首を狩ることを厭うことは無い。

最大の抗日暴動として「霧社事件」がある。日本人の子どもたちの運動会として霧社という地に日本人がほとんど集まるのだが、セデック族が連携して計画的に妊婦以外の日本人を皆殺しにするのだ。

映画はとても壮絶なものだった。R+15指定だ。日本のしたこと、セデック族のしたこと、それぞれの立場からの見方で、どのようにも判断できる。しかし私はこの映画を見て、「信じているもの」について考えさせられた。

今の日本人の見方として、当時のセデック族の考え方、「狩り場を守るためなら、他の部族の人間を殺してもしょうがない。むしろ、殺すことで英雄となり、英雄となったら死んだ後しあわせになれる。」というものは、信じられないことだろう。そんなことをしなくても狩り場を共有することは可能だし、殺人をしない方法だってあるはずだ。と、考えるのが一般的だ。

しかし、セデック族はそんなことを言われても、信じているものが違うんだから、考えを改めることは絶対無い。

当時の日本人が考えていたことは、領土を拡張することがいいことだし、占領した住民の人権は無視していいと考えていたし、日本人の命とセデック族の命の価値に差があると考えていた。そう信じていたのだから、それを咎められたとしても、考えを改めることは絶対無い。

これらの考えは、時代が変わると変化している。当時は「絶対的な真理だ」とみんなが思っていたことで、それを信じて行動していたのだが、50年も経つと、徐々に変化している。特に日本人が信じていることは。

今の日本人の見方はどうだろう?2番より1番の方がいいと思っているし、大学進学した方がいいと思っているし、国立大学に多く進学した子どもがいる高校の方が優れた教育力を持っている高校だと思っている(人が高校教師に多い)。

こんな考え、50年前には無かったことだ。だから50年後には、いや、今の世だったら20年後にも無くなってしまう考えじゃ無いかと思われる。

管理職が偏差値を上げるためだったら、高校では人間関係を学ばなくてもいいと、豪語する。担任が、国立大学を目指さないんだったら、もう進路指導をする必要がないと言う。こういう高校教師が当たり前のようにいる教育界って、本当に子どもの成長を促す場なんだろうか?

子どもが人間関係を学べず、むしろ、人間関係を疎遠にさせたり、大人から不必要な圧迫、プレッシャーを受ける場と高校現場がなっているところが多い。そんな高校だったら、通わせない方がよっぽどいい。

大学進学者数が、本当に出世に関わっているのかどうなのか、不確定なのだが、自分の地位のため、自分のプライドのために、学歴幻想を引き合いに出して子どもたちを傷つける。早くこの幻想から目覚めさせなければならない。

2019-06-11愛がなんだ

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町山智浩さんが最近観た日本の映画で勧めていたので観に行った。マイナーな映画そうだから,新潟でやっていても,シネウインドか,上越だったら数ヶ月語に高田世界館かな?と思ったら,今やっていた。新潟市ではイオンシネマ南だったし,なんと上越のジェイマックスシアターでやっていた。驚き。

今回,町山さんの印象と私の印象はちょっと違った。町山さんは成田凌演じる「マモちゃん」がとんでもないダメ男で,ひどすぎる,岸井ゆきの演じる「テルコ」がマモチャンの言うことをなんでも聞いて,献身的に尽くしている,なんていう解釈をしていたけれど,私は観て「そこまでマモちゃんはだめ人間じゃないんじゃないか?」と思ってしまった。

主人公の岸井ゆきのは,「まんぷく家族」でタカ役をしていた女優だ。そこでの役柄ではそれほど美人ではないんだけれど,父親や夫にはめちゃめちゃ可愛いと観られていた。「愛がなんだ」でも美人役としては出ていないんだけれど,「まんぷく家族」の時の印象とは違って,あるシーンではとても綺麗に見えてくる。そこがこの女優の魅力なんだろうと思う。門脇麦に通じるところがある。

さて,マモちゃんがそこまで悪い男ではないと思ったのは,自分の都合のいいときだけ女を呼び出す,ということは,それほど珍しいことでもないし,自分の部屋を勝手にいじられるのは嫌な気分だし,熱があって伏せっているときに,近くで風呂の掃除なんかされたら,そりゃ,追い出したくなるよ。ということ。つまり,マモちゃんだけがひどいのではなく,テルコもちょっとずれているのだ。そりゃあずっといると煙たがられるよな,とも思う。

この映画の面白いところは,5人の男女が出てくるのだが,みんながみんな勝手で,互いに「上手くいっていない」ということ。しかしその関係は切れてはいないし,そして相手に合わせて自分を変えようともしないこと(1人は自分を変えようとはしているのだが)。つまり5者5様の「エゴ」を描いているということなんだと思う。

その人の都合のいいように接して,呼ばれたときだけ行って,「自分なんかに声をかけてくれる」と有り難がっていたが,そういうことを続けると彼女がだめになるから,好きになるのをもうやめる,と打ち明けた男(テルコの友だちの友だち)に対して,テルコは愛が何だ,そんなの関係ない,と言う。「振り向いてくれないから諦めるって言え」と相手への思いやり=「愛」を真っ向から否定する。

テルコのしていることはなんだろう?テルコもその男と同じように都合のいい女になっているが,テルコはマモちゃんのためを思っていない。自分のためにマモちゃんを好きになっている。かといって自分の気持ちを相手に押しつけない。いつも一緒にいたいけれど,「出ていけ」と言われれば,出ていく。

不思議な台詞があった

どうしてまだマモちゃんになれないんだろう

テルコが目指している「愛」というのは,その人が喜ぶのを見て自分が喜ぶことではなく,その人自身になること,その人と一体化することということだろうか。

アイドルが好きで,そのアイドルと同じ格好をする。同じ行動を取る。神を信仰して,神と一体化したいと思い,命を絶つ。それと同じということなんだろうか?そこのところは本当にわからない。

「自分の欲求を抑えてでも,その人のために献身する」という方を一般的には「愛」という。「その人と一体化する」というのは「愛」とは読んでいない気がする。だから「愛がなんだ」というタイトルなのか?

2019-05-25イット・フォローズ

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ホラー映画は恐くてほとんど観ないんだけれど,この「イット・フォローズ」のメタファーがすばらしいということで,DVDをかりて観た。

1人でアパートで,夜に観たのだが,めちゃめちゃ恐い。何度もビクツ!となるところがあり,こういう刺激があるホラー映画に耐性がないんだな,と思った。「羊たちの沈黙」とか,「ツイン・ピークス」のようなものは大丈夫なんだけれど。

セックスをすると相手に何かが感染し,感染した人を「何か」が殺しに来るというストーリー。助かるためには他の人とセックスをしないといけない。その他の人が「何か」に殺されると,次には元の人を殺しに来るという。

「何か」は自分の知っている人,知らない人に化けて,どこにでも現れる。「何か」は歩いてくるから,気がついたら自動車で逃げられるが,逃げた先にも何時かは歩いて追ってくる。「何か」は感染したことがある人にしか見えない。気を許すと「何か」は背後に忍び寄っている。

これを見て,「徒然草」第百五十五段を思い出した。

迎ふる気、下に設けたる故に、待ちとる序甚だ速し。生・老・病・死の移り来きたる事、また、これに過ぎたり。四季は、なほ、定まれる序あり。死期は序を待たず。死は、前よりしも来きたらず。かねて後に迫せまれり。人皆死ある事を知りて、待つことしかも急ならざるに、覚えずして来たる。沖の干潟ひかた遥なれども、磯より潮の満つるが如し。

セックスによって「死」が訪れてくるというのは,セックスで子どもが生まれ,生まれた途端に「死」は迫っているという,見事なメタファーだな,と思った。

ただ,映画の中でそれをほのめかしちゃっているのがとても残念だった。あのまま,映画の中では明かさないまま終わらせてほしかったというのが正直な感想だった。そうすれば,もっといろいろと考えられたのに。

それにしても,ホラー映画は一人でアパートで観るもんじゃないな。

2019-04-19盆唄

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高田世界館で鑑賞。高田世界館には,年に数回程度しか行けていないなぁ。珍しくドキュメンタリー映画を観に行った。

福島県双葉町は原発爆発により帰還困難地域となっている。そこで行われてい盆踊り(盆唄)をテーマとして,盆踊りの復活,盆踊りの伝承などを描いた映画だ。

見ようと思ったきっかけは,「久米宏ラジオなんですけど」で,盆踊りに関わる人たちの写真をとり続けていた岩根愛さんがゲストとして出演したからだ。

福島県双葉町からハワイへの移民たちが,移住したときから,夏には盆踊りをおこない,盆踊りの文化を継承している。双葉町では盆踊りを行えなくなった双葉町住民たちが,ハワイにいって,双葉町で行われている盆踊りを(つまり,原形)を教える。そして,いつか,双葉町に還れるときが来たとき,何世代後になるか分からないが,その時にはハワイの人たちに盆踊りを教えてもらおうという願いでそれを行ったそうだ。

「祭」とは,何のために行うのか,それを表現している映画だと思った。私は盆踊りの記憶として,小学校の時に近くの公園でおこなわれたものに行ったことしかない。各町内会で盆踊りを開催していた。今やその公園はもう無く,盆踊りも開かれていない。大人になって盆踊りを主催する側になったこともない。新潟市では盆踊りはもはや,小学校の運動会で踊られるものか,新潟祭の民謡流しでおこなわれるものになってしまった。そういえば,高校の時,1回だけ,民謡流しに参加したことがあったなぁ。

しかし,運動会や,大きな民謡流しとは違った意味があることが分かる。それは地域の人たちとの繋がりの確認であり,ハレの場での気持ちの解放であり,祭りの後の日常を確認する場でもある。

祭りは行われなければならぬ。

映画の最後15〜20分続く盆踊りのセッションは圧巻だった。延々と歌と太鼓と笛が続き,見ている方はビートが体に染みついてくる。JBのコンサートのようだった。あい,そういえばJBの映画を観たのも高田世界館だったな。