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Pay it Forward , By gones 片桐史裕 このページをアンテナに追加 RSSフィード

上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を務めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。
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教室『学び合い』フォーラム
第15回(2019年)《海》,《山》は
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2019-06-11愛がなんだ

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町山智浩さんが最近観た日本の映画で勧めていたので観に行った。マイナーな映画そうだから,新潟でやっていても,シネウインドか,上越だったら数ヶ月語に高田世界館かな?と思ったら,今やっていた。新潟市ではイオンシネマ南だったし,なんと上越のジェイマックスシアターでやっていた。驚き。

今回,町山さんの印象と私の印象はちょっと違った。町山さんは成田凌演じる「マモちゃん」がとんでもないダメ男で,ひどすぎる,岸井ゆきの演じる「テルコ」がマモチャンの言うことをなんでも聞いて,献身的に尽くしている,なんていう解釈をしていたけれど,私は観て「そこまでマモちゃんはだめ人間じゃないんじゃないか?」と思ってしまった。

主人公の岸井ゆきのは,「まんぷく家族」でタカ役をしていた女優だ。そこでの役柄ではそれほど美人ではないんだけれど,父親や夫にはめちゃめちゃ可愛いと観られていた。「愛がなんだ」でも美人役としては出ていないんだけれど,「まんぷく家族」の時の印象とは違って,あるシーンではとても綺麗に見えてくる。そこがこの女優の魅力なんだろうと思う。門脇麦に通じるところがある。

さて,マモちゃんがそこまで悪い男ではないと思ったのは,自分の都合のいいときだけ女を呼び出す,ということは,それほど珍しいことでもないし,自分の部屋を勝手にいじられるのは嫌な気分だし,熱があって伏せっているときに,近くで風呂の掃除なんかされたら,そりゃ,追い出したくなるよ。ということ。つまり,マモちゃんだけがひどいのではなく,テルコもちょっとずれているのだ。そりゃあずっといると煙たがられるよな,とも思う。

この映画の面白いところは,5人の男女が出てくるのだが,みんながみんな勝手で,互いに「上手くいっていない」ということ。しかしその関係は切れてはいないし,そして相手に合わせて自分を変えようともしないこと(1人は自分を変えようとはしているのだが)。つまり5者5様の「エゴ」を描いているということなんだと思う。

その人の都合のいいように接して,呼ばれたときだけ行って,「自分なんかに声をかけてくれる」と有り難がっていたが,そういうことを続けると彼女がだめになるから,好きになるのをもうやめる,と打ち明けた男(テルコの友だちの友だち)に対して,テルコは愛が何だ,そんなの関係ない,と言う。「振り向いてくれないから諦めるって言え」と相手への思いやり=「愛」を真っ向から否定する。

テルコのしていることはなんだろう?テルコもその男と同じように都合のいい女になっているが,テルコはマモちゃんのためを思っていない。自分のためにマモちゃんを好きになっている。かといって自分の気持ちを相手に押しつけない。いつも一緒にいたいけれど,「出ていけ」と言われれば,出ていく。

不思議な台詞があった

どうしてまだマモちゃんになれないんだろう

テルコが目指している「愛」というのは,その人が喜ぶのを見て自分が喜ぶことではなく,その人自身になること,その人と一体化することということだろうか。

アイドルが好きで,そのアイドルと同じ格好をする。同じ行動を取る。神を信仰して,神と一体化したいと思い,命を絶つ。それと同じということなんだろうか?そこのところは本当にわからない。

「自分の欲求を抑えてでも,その人のために献身する」という方を一般的には「愛」という。「その人と一体化する」というのは「愛」とは読んでいない気がする。だから「愛がなんだ」というタイトルなのか?