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Pay it Forward , By gones 片桐史裕 このページをアンテナに追加 RSSフィード

上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を務めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。
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教室『学び合い』フォーラム
第15回(2019年)《海》,《山》は
2019/8/3〜4に福岡県,2019/11/2〜4に長野県でおこないます。
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2018-11-30静岡県立駿河総合高等学校視察

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学び合いを実践されている鈴木先生との繋がりもあり,また,8月25日に参加した商業教育研究会で発表された,駿河総合高等学校の先生の課題研究の取り組みがとてもすばらしかったので,是非とも視察に訪れたいと思っていた。

1限目鈴木先生の現代社会の授業

鈴木先生の新たな試みとして,締め切りを2限に渡らした設定にしたそうだ。課題量を多くして,1日目の授業と2日目の授業の間に,どのくらい自学でやってくるのかを試したいという気持ちもあったようだ。確かに課題量が多い。自学で進めてこないと,終わらない課題量だ。

答えを黒板に貼り,答えができたかどうかは問題ではなく,理解したかどうかが大切だということを口酸っぱくおっしゃいっていた。そこの点を生徒たちは心得ていて,答えを写すだけで終わりという生徒は見うけられなかった。理解しながら進めていく。理解しながら進めていくから,進みが遅く,課題が終わらないという結果となっていた。

そこを受けて,鈴木先生の最後のふりかえりの言葉は,ちょっと厳しいものになった。課題の締め切りが明示されているにもかかわらず,それに対して行動していないというのが問題であったという趣旨だ。鈴木先生と生徒の信頼関係が,そういうことを言えるまでになっているという表れであった。

2限目O先生の英語の授業

O先生は再任用での勤務で,2ヶ月前に『学び合い』にであい,採り入れ始めたそうだ。経験豊富な先生でありながら,さらに今よりも良いものを求めて『学び合い』を導入する柔軟性はすばらしい。

最初に前時の確認でのアクティビティから始まり,生徒は立ったり座ったりと体を動かす。授業開始の意識付けをおこなえるこの導入で,朝の脳を活性化するねらいがあると思われる。

関係代名詞の単元で,教師が作成した課題用紙を生徒たちは解いていく。『学び合い』2ヶ月目でありながら,生徒たちは分からないところを周りに聞きながら進めていく。そして解いた後に様々な人たちと交流して説明し合ったり,英会話をし合ったりして授業はすすんでいった。

子どもたちは授業を自分で進めていく習慣を身につけているようだった。

4限目A先生の社会と情報の授業

A先生は若い商業の先生だ。この時間では,自分を会社の上司に見立て,生徒たちは社員で,期限までに条件の整った文書を提出させるという設定で授業デザインを作っていた。2人のチームで1つの文書を制作,提出するというシチュエーションを作り,2人が協力してやらざるを得ない状況を作り出していた。現実の会社の仕事でもありうるシチュエーションだ。

Excelで表を作り,グラフを作り,それをもとにWordで報告書を作るというもの。表の罫線の太さ,グラフの種類など,細かい指定はない。決まっているのはA4用紙にプリントアウトするということ。このデータを処理して,見やすく,分かりやすくするにはどのような配置にして,グラフもどのような向きにするべきなのかは自分たちで工夫しなければならない。

その授業デザインがすばらしいと思った。残念ながら締め切りまでに提出できたチームは少なかったが,次の時間に作成した文書の工夫点を考察する授業をするそうだ。

現実の仕事に即して授業を作っていくという姿がすばらしい。情報処理の技術が現実の仕事や生活につながっていることを生徒は学んでいけるのだろう。

5時間目M先生の課題研究(商業)

この授業について商業教育研究会で知り,観に行きたいと思ったのだ。課題研究という授業でありながら,M-SIPPという団体を作り,毎年継続して活動をしている。授業でありながら部活動のようだ。

主にフェアトレードや,エシカルについて研究,活動している。この時間では,独自に開発した「SDGsすごろく」に関しての活動をしていた。小学校の学童保育などに行き,SDGsを学んでもらうためにすごろくを作ったというのだ。それを見せてもらって,なるほど,これは子どもたちは食いつきやすいと思った。私はSDGsゲームは知っていたが,そうか,自分で作ってもいいんだなと思った。

この講座の受講生は15人くらいなのだが,「何をやっているの?」と聞くと,すらすらと何でも答えてくれる。さすが3年生ということもあるが,自分が何を何のためにやっているのかを理解して活動しているというところがすばらしい。

M-SIPPは,学校外でもたくさん活動しているから,そういう説明の機会がふんだんにあるんだろう。すばらしい取り組みであった。


高校での『学び合い』に関して,検討会の時に気になったことがあったので,それを伝えた。

「長期目標」が,社会に出た後,協力できることというように設定されていたのだが,是非とも「教科の見方・考え方」を絡めてほしいということだ。

「どうして「現代社会」を勉強するの?」と生徒に問われたとき,その「現代社会」(公民科)にこだわってほしいのだ。協力できるようになれるんだったら,「現代社会」を勉強しなくても,アルバイトをするだけでもいいのかもしれない。しかし,高校のカリキュラムとして「現代社会」を学ぶには,公民科の見方・考え方を身につけるためである。

それはもちろん,国語科,英語科,数学科……全ての教科で納得できる説明をしていかなければならない。得てして高校の先生は自分の教科が好きで,必要だと思って授業をしているから,そんなことを説明する必要なんてなく,「当たり前でしょ?」と思っていることが多い。しかし,生徒たちはそうではない。説明する必要があると思う。

学び合い』でも,各教科に絡めた長期目標を示す必要があるのだ。

6時間目,校舎見学をさせてもらい,福祉科の部屋から見えた富士山が綺麗だった。今年3回目の訪静で,ようやく拝めた富士山だった。

富士には『学び合い』がよく似合う