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Pay it Forward , By gones 片桐史裕 このページをアンテナに追加 RSSフィード

上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を務めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。
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教室『学び合い』フォーラム
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2018-09-11国家の教育支配がすすむ 寺脇研

[]国家の教育支配がすすむ 寺脇研 青灯社 2017 国家の教育支配がすすむ 寺脇研 青灯社 2017 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 国家の教育支配がすすむ 寺脇研 青灯社 2017 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 国家の教育支配がすすむ 寺脇研 青灯社 2017 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

公立高校教師だったときは,全く知ろうとしなかったし,考えもしなかったが,寺脇研さんや,前川喜平さんの本を最近立て続けに読み,教育行政というのは,こういう構造,こういう法律の下おこなわれているのか,と今更ながら知った。

また,文科省はどんな仕事をしているのかということも最近ようやく知った。以前,あまり知らなかった時,学校にいろんな注文を上から押しつけているものだという感覚を持っていたのだが,文科省の方と話す機会を持てたり,このような本を読んだりすると,法律の下,政治家の押しつけから教育を守ろうとしてたり,現代の事情に合わなくなった法律を改正しようとしたりと頑張っている人もいるのかとわかった。

この本で,印象に残ったことの1つは次の記述。

公立学校では教師が公務員だということの意味を,実は教師自身もよく理解していないのではないだろうか。もちろん保護者の多くも理解していない。公務員だからこそ原則をふまえつつ知恵を尽くしてていねいに事態に対応していかなければならない。公務員という公共の領域で働く者まで短期的な成果主義一辺倒で評価し,成果として数字に表れにくいものを切り捨て踏みつぶして行ったら,その先にどんな恐ろしいことが起こるかという想像力を,みなさんあまりお持ちでないようだ。

p.133

として,1930年代に軍部が暴走した原因の1つをあげ,目先の「手柄」を立てて,成果を誇示し,自身のポストを確保しようとしたという。教師を公務員という身分にしているのは,「立場を超えた余計な野心を持たせないための身分保障」という意味もあるというのだ。

近年は「分かりやすい成果主義」に教員が傾倒している傾向がある。校長が傾倒し,それに迎合する教員が「がんばり」過ぎ,おかしな方向に進んでいる。教育というのは「わかりにくい」ものである。本当に成果が現れるのは目の前の子どもが社会を担う大人になった時だ。目の前の「分かりやすい成果」と「社会を担える大人になること」の因果関係は明らかになっていない(と思う。明らかになっていたら,きっと大々的に周知されているはず。)。つまり,「経験論」でしか述べられていない。



法律によって教育行政はなされている。教育内容も学習指導要領によって定められている。教科の授業は必ずある教科書を使うことになっているが,教え方は学習指導要領の範囲内で,教師の裁量に任せられている,というように教育の自由がある。教育委員会や文科省や政治家が教室でどのように教えているか介入してきたら問題である。(そんな問題も最近起こっているが。)この本を読みながらぼんやりと考えたのが,校長が学習指導要領に反するようなことを指示してきた場合,1教師が従わねばならないのは,学習指導要領なのか,校長なのか。

私はもちろん学習指導要領だと思うのだが,実際はそうではないことも多い気がする。

国家の教育支配がすすむ──〈ミスター文部省〉に見えること
国家の教育支配がすすむ──〈ミスター文部省〉に見えること寺脇 研

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