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Pay it Forward , By gones 片桐史裕 このページをアンテナに追加 RSSフィード

上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を務めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。
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2018-05-31中納言参りたまひて(枕草子)

[][]中納言参りたまひて(枕草子) 中納言参りたまひて(枕草子) - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 中納言参りたまひて(枕草子) - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 中納言参りたまひて(枕草子) - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

中学校・高等学校授業づくり演習 5つ目の題材は枕草子から,「中納言参りたまひて」。受講者が教育実習でおこなって,うまく行かなかった経験から,この題材を再考したいというので選んだそうだ。

《不明点,読んだ感想など》

 やっぱり主語が書かれていないから,難しそう。

 敬語表現や,二重敬語で判断するんだろうね。

 古典に親しみを持てない生徒は,理解してくれなかったです。面白いって思ってくれた

生徒もいたんですが。


 ちょとわからなかったのが,清少納言が「くらげのななり」と言ったことを,隆家が「自分のものにしよう。」って言った理由が,どうしてかな?って,わかりませんでした。

 そのうまいこと言ったのを「自分のものにしよう。」っていう。

 「これは隆家が言ににしてむ。」って,ネットで調べてみたら,中宮が言ったというのと,隆家が言ったというのと,2つあったんだよね。これは隆家が言ったのでいいんだよね。

 中宮が言ったというのは明らかに間違いですよね。

 「笑ひたまふ」と通常の敬語にしているから,二重敬語じゃないもんね。

 中宮には必ず二重敬語が使われているかな?

 隆家には通常の敬語しか使われていない。

 じゃあ,やっぱり中宮じゃなくって,隆家が言った言葉でいいんだよね。

 それじゃあ,やっぱりここは敬語をしっかりとやっていかないとストーリーがつかめないということで,敬語を勉強するものになるのかな?

 中宮が言ったことにすると,「あんた,この言葉,うまいこと言っているから,あなたが言ったことにすればいいんじゃない?」って,めっちゃ上から目線だよね。そんな高慢な感じで中宮を捉えちゃおかしいよね。

 そうそう。


 この時代って,自分のことを自分の名前で呼んでいたの?今だったら,女子が自分のことを名前で呼ぶことはあるけど……。

 1行目に「隆家こそ……」ってあるから,これは,自分のことを呼んでいるんだと押さえれば,「隆家が言にしてむ」も,隆家が言ったとなるよね。

 それでも,自分のことを名前で呼んでいたのかなぁ?

 平家物語だったら,自分の名前で呼んでいるよね。

 あれは,「名のり」だからかな?

 どうなんだろう。

 平安時代って,この会話文と地の文って,完全に分化されていたのかな?かぎかっこって,なかったでしょ?だから,「隆家」と言ったからといって,本人が言っていないみたいな。

 当時は,名前で呼ぶことはしなくって,官職名で読んでいたんじゃない?だから書き出しは「中納言参りたまひて」ってあるし。

 そうか。

 じゃあ,名前を呼ぶのは自分しかいない?

 なるほど。

 じゃあ,やっぱり「隆家が言にしてむ」は隆家が言ったことでいいんだ。


 とにかく,主語はないし,役職名だし,たまに名前が出てきて,「中納言」と「隆家」がイコールって,思ってくれないよね。

 そうそう。教科書の注に書いてあるんだけれど。

 注に目がいかないよね。

 我々は古典が好きで,そういうことは当たり前になっているんだけれど,生徒はそんなことがないから,ちんぷんかんぷんになる。だいたい,この作品の作者は?って言ったときに「枕草子」って答えられたことあるもん。

 えー。

 「枕草子」の方が,名前っぽいでしょ?「子」もあるし。

 「まくらくさこ」さん。

 書名が「清少納言」ってね。

 特に漢文なんかだと,人名なのか,地名なのか,全くわからないよね。

 「史記」で,項羽が函谷関さんに会った」みたいな。

 

 「「一つな落としそ。」と言へば」の注に「「一つも落とさないで書きなさい。」と(みんなが)言うので。ってあって,この「みんな」って誰?って質問したら,「中宮と隆家」と答えたときがあった。

 えー。

 そうか。

 だって,「みんな」って,登場人物それしか書いていないもんね。

 だいたい,清少納言も登場しているってどこにも書いていない。

 そこに侍っている女房たちっていう発想はどこからも生まれてこないよね。

 説明したんですけれどね。この文章をやる前に。かなり時間をかけて。

 イメージつかないんでしょう。そんな映像も観たことがないだろうから。

 最後の2行はその前と全く別の場面ということは思い浮かばないよね。


《そろそろ授業課題……》

 これって,「スベらない話」でしょ?清少納言がこんな話がありましたっていう紹介。「私が思いついたいいことを,隆家がとろうとしたんだよ。」っていう。「この話を喋ろうかどうか迷ったんだけれど,どうしたらいいと思う?」って最後に話して,まっちゃんが「喋っとるやないかい!」って突っ込むような。

 そうそう「いいかがはせむ」なんて言っているくせに,書いているという,清少納言のちょっとイヤらしさが出てるよね。

 それから,自分が言ったことが「うまいこと」だったんだっていう自慢とね。

 そうそう。

 「かたはらいたきこと」なんて書いているけど,自慢している。

 清少納言らしいよね。

 「かたはらいたき」ってどう訳すかを課題にしたら面白いかも。

 ほんとうに「「かたはらいたきこと」って思っている?」なんてね。


 これを初めて読む人は,誰が何を言っているか,わからないから,会話と登場人物だけ提示して,「どの会話をどの人が言ったら「スベらない話」になるのか?」と考えさせて,それで話が面白くなるかどうかで会話文の主語を考えさせたらいいかな?と思いついた。

 予習していないことが前提だよね。それぞれのキャラがどういう性格なのか?も押さえないと。

 そして,後から「だから,この人の会話にはこの敬語が使われている。」というように検証していく。

 なるほど。

 敬語が先になると,すぐに嫌になっちゃうから,そっちから攻めてみるといいかも。


 やっぱり,誰が言った会話文なのかを押さえないとだめだよね。

 こんなに短い文章なのによくわからない。

 しかし,どうして誰が喋ったか書かないのかな?

 この文章って,中宮を楽しませるために書いたんだよね。

 中宮だけじゃないかもしれないけれど。

 つまり,不特定多数に向けた文章じゃないよね。

 そうそう。

 だからそんなこと書かなくてもわかったんじゃないかな?書かなくてもわかる文化があったというか。

 そうか。

 それを,書かなきゃわからない高校生が読まされている。

 大変だ。


 実習でやったとき,「見たことがない骨ってなに?」って訊いたら,「ゴリラ」とか出たりして。でも,中にはやっぱり「くらげ」って言う子もいて。

 これって,なんで「くらげ」なんだろうね。

 「くらげ」じゃなかったら,他に何?って訊いたら,「宇宙人」っていう子もいた。

 宇宙人……確かにその骨は見たことがない。

 「見たことがない」じゃなくって,クラゲの骨って無いんだから,見られるわけないよね。

 これって,「本当はないんでしょ?」っていう清少納言の嫌みだよね。

 そうそう。清少納言らしい。

 すきだわー。

 「くらげのななり」を別のオチで言い換えるとしたら?っていう課題は?

 別の表現,なんだろう?

 ……

 「あなたのやる気みたいだね。」っていうのは?

 ある,あるって言うけれど,「やる気無いんでしょ?」みたいな。

 いいねー。

マンガで,吹き出しだけ描いて,そこにキャラを充てていくっていう課題は,面白そう。