上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を務めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。
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教室『学び合い』フォーラム
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2017-10-06春風亭一之輔独演会
■ [雑記]カズオ・イシグロノーベル文学賞受賞

びっくりして,とても嬉しかった。きっと予想だにしなかったことだからだろうし,きっと「今年も村上春樹のファンが集まるカフェがテレビに映しだされて,ファンの喜びか,落胆の表情が映しだされるんだろうな。」とは思っていた(案の定,映しだされていたけれど)。
知人に勧められて昨年1冊読んだ(わたしを離さないで)。とても不思議な世界観で,よく分からなかったところがあった。映画化されているというので,Amazonビデオで観た。それでも分からなかったが,とても印象に残っている。
「日の名残り」は,今年,内田樹先生の本を読んだとき,「身分によって言葉遣いが決められていることで,思考や行動が限定されてくる。」という論述の例として「日の名残」が紹介されていたので,さっそく読んでみたのだ。
淡々と執事が過去の華やかだった時と今現在のことを語っていくものなのだが,「身分による言葉遣いの限定」というのが私にとって,今の日本に生きている私にとって,ピンと来ないからなのか,読んでも分からなかった。英文に精通している人だったら原文を読めば分かったのかもしれない。
でも,この物語世界に触れていて,「わたしを離さないで」と同じく,淡々と物語は進むが,何か奥に強いゆるぎないもの(運命?意思?)があり,それを受け入れざるを得ない登場人物の苦悩を感じた。
先月たまたま家で付けたBS番組でこの映画が流れていた。アンソニー・ホプキンスが執事役だった。いろんな感情があるのだろうけれど,それを表に出さず,無表情で淡々と執事の仕事や,自分で決めたことをおこなっていく姿が,よかった。
選考委員会のコメントとして次のものが報道されている。
感情に訴える作品は、世界とつながっているという私たちの幻想に隠された闇をあらわにした
なるほど。そういうことなのか。
何で嬉しいのかというと,予想だにしなかったからというのも理由だが,ニュースの街角のインタビューで,ほとんどの人がカズオ・イシグロを知っていないし,読んでもいなかったという,「わたしだけが知っている」感があったからだろう。
たまたま縁があって読んだのだけれど,例えば,近所に住んでいて,朝,挨拶を交わす少年が,実はワールドカップユース大会で,得点を挙げた人,みたいな感じ。村上春樹が受賞したら,嬉しいけれど,こんな感じにはならない。
そうか,長崎出身だったのか。さだまさしや,福山雅治や,MISIA並に有名人となるんだろうな。あれ?長崎出身の有名人って,結構多い。
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■ [落語]春風亭一之輔独演会

平日昼間の公演だが,振替で休みを取って行った。りゅーとぴあ能楽堂に入ったのは初めてだった。どうしてここでやるんだろう?りゅーとぴあだったら,劇場もあるのに?ここで落語を聞くのは不思議な雰囲気。一之輔も「屋根があるのにどうして屋根を作ってるの?その柱がじゃまでしょう?切っちゃおうか。」とつっこみを入れていた。
一之輔はTBSラジオ「たまむすび」で月イチゲストとして水曜日に出演しているので,とても親しみを持っていたし,結構な毒舌で,好きだった。2〜3ヶ月前に「プロフェッショナル仕事の流儀」にも出て,知名度は一気に上がったのか,会場は満員だった。
一席目は「粗忽の釘」で,枕から本編までどんどんボケて,笑いを膨らましていた。
二席目は「子は鎹(かすがい)」だった。しんみりさせながら,子どもの一言一言で笑いをとっていた。
NHK「落語ディーパー」で,ある噺家が落語に入り込んで,泣きながら演じていたという話題が出たが,一之輔は「それはそれでいい」と肯定していた。あれ?一之輔,「子は鎹」の夫役で泣いてる?なんて思ったけれど,それはやっぱり演技だったんだろう。
東京の寄席でトリを務めている時期に新潟まで日帰り出張だったよう。帰りの新幹線の時刻が決まっていたので,あっという間に帰ってしまった。そこが残念。