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Pay it Forward , By gones 片桐史裕 このページをアンテナに追加 RSSフィード

上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を務めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。

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教室『学び合い』フォーラム
第13回(2017年)は関西地区でおこないます。
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2017-02-21沈黙-Silence-

[]沈黙-Silence- 2017 沈黙-Silence- 2017 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 沈黙-Silence- 2017 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 沈黙-Silence- 2017 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

「信じること」ということから生まれてくるのは救いなのか,悲劇なのか。自分が信じることで,他人が死んでいく。自分が信じることで自分を死に追いやる。

「信じること」が正しいのか,間違っているのか,そういうことではなんでもなく,「正しさ」はどこにもなく,「正しさ」のよりどころである「神」は「沈黙」したままである。啓示が聞こえてくるが,それは神が沈黙を破ったのか,自らの声なのか,誰にも分からない。

キリスト教の「真実」と日本の信仰の「真実」は違う。違っていて食い違っているのに「真実」と言えるのか?と日本に渡った2人の神父は迷い,悩み,自分の信仰を疑っていく。

どちらもが正義であり,どちらもが悪であったりする。

面白いのが,キリスト教としては末端の日本の信仰の方がピュアで敬虔なものになっていたという神父の驚きである。神父は死を前にして,踏み絵を「踏んでもいい」という。でも,日本の貧困な村で生きている信者は踏まずに処刑されていく。神父は「間違った形で伝わっている」とも言う。貧困な生活の中,生き地獄のような生活の中に,救いを求めているのだから,信仰がピュアになっていくのだろうか。

また,何度も裏切り,何度も救いを求めてくるキチジローの存在も面白い。ユダである。彼は救われるのか,救われないのか。悪人正機説であれば,最も先に救われるべき存在なのかもしれないが,キリスト教的には許されない存在として描かれるのか。

伊集院光の深夜の馬鹿力で,イッセー尾形の演技がすさまじいということだったので,観に行ったようなものだが,確かにすさまじい。温厚なおじいさんという風体だが,笑顔で残虐なことを指示する。その狂気めいた,しかし,狂気ではなく,「立場」というものがそうさせていて,本人はなんの残虐な気持ちも無いという演技が素晴らしい。イッセー尾形はああいう,ちょっとイっちゃっている演技がいいな。

全編を通じてBGMがほとんどなく,海の音,鳥や蝉の声,風の音などがずーっと聞こえてくる。日本には自然を超えるものは存在せず,自然を信仰している(=人間の無力感)ということを表している。

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