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Pay it Forward , By gones 片桐史裕 このページをアンテナに追加 RSSフィード

上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を勤めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。
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教室『学び合い』フォーラム
第15回(2019年)《海》,《山》は
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2019/11/2〜4に長野県でおこないます。→長野の会は中止になりました。
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2015-01-04社会的共通資本

[]社会的共通資本 宇沢弘文 岩波新書 2000 社会的共通資本 宇沢弘文 岩波新書 2000 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 社会的共通資本 宇沢弘文 岩波新書 2000 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 社会的共通資本 宇沢弘文 岩波新書 2000 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

もう15年前に出された本だが、内容を読んで、現在の状況にぴったりあてはまっていると思った。その内容に通じることはあちらこちらの論者から伝わっていたことだが、15年前以上に既に述べられていたとは驚きである。

昨年亡くなったというニュースを聞き、「社会的共通資本」という言葉にひかれ、図書館で手に取ってみた。読んでいくうちに、新潟大学に勤めていたということも知り、本の中での「ある国立大学」というのが新潟大学ということだろうなとわかった。

私が卒業した年に着任されていたので、繋がりは全くなかったのだが、こんな論を主張している方が新潟大学にいて、同じ新潟に住んでいたということを誇りに思う。

人間が人間らしく生きていくためには、個人や企業が占有して勝手に使ってはいけないものがあり*1、それらを効果的に活用するために次の点について述べている。

  • 農業
  • 都市
  • 教育
  • 医療
  • 金融
  • 地球環境

私の一番興味を持ったのは教育だが、教育目的について、宇沢弘文氏は次のようにまことに明快に、述べている。

教育とは、一人一人の子供が持っている多様な先天的、後天的資質をできるだけ生かし、その能力をできるだけ伸ばし、発展させ、実り多い幸福な人生を送ることができる1人の人間として成長することを助けるものである。その時、ある特定の国家的、宗教的、人種的、階級的、ないしは経済的イデオロギーに基づいて子供を教育するようなことがあってはならない。教育の目的はあくまでも、一人一人の子供が立派な1人の社会的人間として成長して、個人的に幸福な、そして実り多い人生を送ることができるように成長することを助けるものだからである。

最近は「経済的イデオロギー」という偏見がまかり通り、全てのものを市場経済主義的価値によって測ろうとすることによって教育がねじ曲げられている。あたかもそれが「正統」な考えと平気で主張する「教育者」だらけである。

しかし、宇沢弘文氏が述べていることこそが真理であるという信念のもと、教育をおこなわねばならないと思った。政治的、経済的イデオロギーから子どもたちを守るのが教育の仕事である。

法人資本主義の構造は、トップダウンで物事を決め、底辺はトップの言いなりになり歯車となり働くことでコストダウンをし、利益を上げていく。有能な決断力のあるトップと、判断をしない底辺が求められる。

しかし、その法人資本主義の構造に警鐘を鳴らす声が大きくなり、『学び合い』の必要性を主張する声が多くなってきたという背景がある。1人の人間としての成長を手助けするのは、一握りのトップと大多数の歯車を作ることか、1人1人が考えて行動できる人を育てるのか、一目瞭然なはずだ。

年頭に当たり、今年の目標が決まった。

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*1:大気、水、森林、河川、湖沼、海洋、沿岸湿地帯、土壌、道路、交通機関、上下水道、電力・ガスなど