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上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を勤めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。
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2010-11-16ヤバい経済学 [増補改訂版]

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スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー著

人間の動きは全てインセンティブ*1で決まっているというのがこの本の内容である。目の前の現象にはどんなインセンティブが働いているのかということをいつも考えるようになった。

ニューヨークで1990年代犯罪が極端に減ったということがあったが、一般的に語られているのは「割れ窓の理論」であるが、それを真っ向から否定する。その理由は……それが「ヤバい」と名付けられているゆえんである。

警察が頑張ったから、警察官を増やしたから、犯罪が減ったということは、安易に結びつけられるし、明らかに美談として語り継がれるような話である。しかし実際はそうではないらしい。「美談」に我々は飛びついてしまい、間違いを犯す。

教師が頑張ったから、自分の家庭を顧みず、時間を割き補習やらなんやらし、子どものために働いたというのは美談になりがちだが、その結果どうなったかという因果関係は実証されていない。実証されていないにもかかわらず、その行動が求められる。そんなことで子どもたちのインセンティブは働くんだろうか?たんなる学校側の自己満足だ?

内田樹先生のブログには、英語を学ぶとお金が稼げるということを子どもに伝えた結果、子どもたちは英語を学ばなくなったということが紹介されていた。

けれども、過去30年間、日本の教育行政は「教育立国」に失敗した。

申し訳ないけれど、この期間の政府主導の教育施策は「文化的な力」の育成にはほとんど関心を向けなかった。

それよりは、「金が稼げる力」の育成を最優先したからである。

「わずかな手銭で短期的に巨富を回収できる能力」こそが優先的に開発されるべき人間的資源であるというイデオロギーに教育行政は振り回されてきた。

「英語ができる日本人」のプログラムを起案したとき、文科省はそのHPに堂々と「経済競争を勝ち抜くため」と書いた。

英語ができないと金儲けができない。

それが教育行政のトップが英語教育の必要性を基礎づけるために使ったロジックである。

爾来、日本の生徒たちの英語学力は底なしの低下を続けている。

こんな「下品」な教育目的で活性化するほど人間の知性は「下品」に作られていないからである。

「お金」ではインセンティブは働かないのである。

「ヤバい経済学」では、次の事例も紹介されていた。

幼稚園で迎えが遅くなる保護者が増えてきた。そこで幼稚園側は苦肉の策として送れた保護者に1回数ドル程度の罰金(延長保育代として)を払ってもらうことにした。その結果……。

迎えが遅くなる保護者が激増したというのだ。

つまり、罰金を払わないでも良かった時は、「子どもを早く迎えに行こう」というインセンティブは「遅くなったら悪い」ということで働いていた。しかし、罰金が科せられることによってそれが無くなったのである。

子どもたちの学びへのインセンティブを働かせる方法を暗示している気がする。

実はアメリカでこの本が映画化されているそうだ。本の内容には無い実験がされて映像化されている。その中では、成績が上がった子には報奨金を与え、そうでない子には与えなかったグループと、全くそういうことをしないグループで、最終的に成績はどうなるのか?という実験結果があるそうだが、その結果は……?日本で上映されるかなぁ?内容的に難しいかも。

ヤバい経済学 [増補改訂版]ヤバい経済学 [増補改訂版]
スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー 望月衛

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*1:目標を達成するための刺激。誘因。