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上越教育大学教職大学院准教授片桐史裕です。
2016年3月まで27年間新潟県の高校国語教師を務めていました。
映画のことや,教職のことについて書いています。

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niagara@cocoa.ocn.ne.jp

教室『学び合い』フォーラム
第14回(2018年)は静岡県でおこないます。
manabiainu
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2017-08-12アイデンティティ

[]アイデンティティ アイデンティティ - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - アイデンティティ - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 アイデンティティ - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

ゴースト・イン・ザ・シェルを見たときに,「アイデンティティ」を書いたが,今見ている朝ドラ「ひよっこ」でも,アイデンティティとは何かを考えさせられた。

主人公有村架純のお父さんセクスィー部長(沢村一樹)が東京に出稼ぎに行き,行方不明になり,見つかった。記憶喪失だった。2年間女優の菅野美穂と暮らしていたが,突然娘と妻が来て「あなたは奥茨城村の谷田部稔だ。」と知らされる。

本人は記憶が無くなっているということを自覚していたので,2年間不安なまま暮らしていただろう。しかし,自分を知る人が突然現れ,自分を取りもどすためにしたことは,過去に自分の周りにいた人に自分のことを聞くことだった。

記憶喪失というのは現実離れなのか,結構ありうることなのかはよくわからないが,きっと自分もそうしたんだろうと思う。「自分はどんなお父ちゃんだった?」と有村架純に聞く。その通りに振る舞おうとする。

アイデンティティとは,自分で作るものではなく,他人に認められて確立していくんだということがわかる。沢村一樹は絶対に,「自分はそんな人間じゃない。」と反発して,自分勝手な行動は取るはずがない。アイデンティティがここまで不確かな人間は,自分勝手な行動も取れない。


ところで,木村佳乃と有村架純が菅野美穂のところに訪れた演技が秀逸だった。木村佳乃は,自分は田舎者ということを自覚しているんだけれど,少しでも水簿らしく見えないように身なりを整え,「着物の方が良かったかな?」と有村架純に言う。菅野美穂は,怒りや悲しさや残念さを少しでも見せないように沢村一樹を家族に返そうとする。静だったが力の入った演技だったと思う。

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2017-08-06第13回教室『学び合い』フォーラムin関西 2日目

[]第13回教室『学び合い』フォーラムin関西 2日目 第13回教室『学び合い』フォーラムin関西 2日目 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 第13回教室『学び合い』フォーラムin関西 2日目 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 第13回教室『学び合い』フォーラムin関西 2日目 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

2日目の任務はほぼなかったので,ゆったりした気持ちで参加できた。それでも,公務のため13時半には長野県塩尻市に向かわねばならず,大会最後まではいられなかった。

分科会はイマキヨさんと沖先生の国語学び合いに参加したのだが,今回のフォーラムで,いろいろ考えたのが,教科学習の意味だった。

1日目の分科会でも,教科の学習について意味を語れない,という話題が出た。子どもにその意味を語れない教師だったら,子どもにその教科に取り組ませることはできないのではないか?と疑問に思ってきた。

「その教科特有の見方考え方」を子どもたちに身につけさせることが重要だと新学習指導要領で記載されている。その教科,その単元を学ぶ意味を語れなければ,伝えなければ,子どもたちはその教科特有の見方考え方を身につけられるとも思えない。

古文はなくなっていいのか,漢文はなくなっていいのかという問いに,古典特有の見方考え方をどう示せるのかが必要になる。『学び合い』をやるのだったら,古典をやらずに他のことで構わないと国語教員が考えてもいいのか?ということになる。古典じゃないと身につかないモノ・コトは無いの?ただ楽しいだけ?「楽しい」は感覚的なものじゃないのかな?それは強要しても楽しく思わない子どももいるし,楽しく思わない子どもは置き去りにしちゃうことにならないかな?

最近の教育のとらえ方で,政治家を初め,教員も「経済的に効果があるかどうか(簡単に言えば金儲けが出来るかどうか)」という判断基準でものを言っている傾向がある。ある程度の生活が維持されれば,「もっと金儲けが出来るかもしれない学習」なんて,しなくてもいいじゃないか?とも思う。ほどほどの幸せが得られれば,金儲けの可能性がある更なる学習よりも,内面世界を広げられる学習の方もするべきだというのが私の考え方だ。

経済発展至上主義者と話が合わないなと思った。

古典学習によって身につくものの見方考え方を整理して,経済発展至上主義者を説得出来る論述を用意していきますか〜。

さて,13時半に大阪を後にして,私鉄→新幹線で京都駅→名古屋駅→特急信濃で塩尻駅に着いたら,雨だった。大阪とのギャップが激しく,涼しく感じた。大雨でホテルまで歩いて行くことができず,駅近くの居酒屋に入った。山賊焼きはなかった。

飲んだ後雨が上がったので,ホテルにチェックインし,蕎麦でも食おうかと思ったが,そば屋は営業していなかった。そうか今日は日曜か。結局ラーメンと餃子を食べることになり,今日の目標達成は出来ませんでした。

いろいろあって,教室『学び合い』フォーラム大会委員長を降りることにした。だから開会の挨拶もこの関西大会でおしまい。次回からは別の方がすることになるでしょう。今後は1サポーターとしてサポートしていくことにする。いろいろと自分の中で区切りがついた大会だった。

大会実行委員の皆さまには本当に頭が下がる。私が開催していたときよりも段違いで真摯に向き合い,大会を成功させた。すばらしいし,大会を運営した人にしかわからない「この次をどうするか?」という思いがすでに生まれているところが「同志」だと思った。ありがとうございました。

2017-08-05第13回教室『学び合い』フォーラムin関西 1日目

[]第13回教室『学び合い』フォーラムin関西 1日目 第13回教室『学び合い』フォーラムin関西 1日目 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 第13回教室『学び合い』フォーラムin関西 1日目 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 第13回教室『学び合い』フォーラムin関西 1日目 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

この歳になると大阪までの移動に不安を覚えるようになった。特に大変ということではないけれど,朝イチの在来線に乗り,新幹線→特急→私鉄2本の乗り継ぎなのだ。若い頃はへっちゃらでむしろ楽しく思えたんだろうけれど,慣れない駅で私鉄への乗り換え口を見つけるのも大変になってきた。

とはいえ,iPhoneアプリに頼ったらスムーズに到着することが出来たが,大阪の蒸し暑さにぐったりした。幸いなことに,枚方駅からホテルは近く,大会会場も歩いて5分程度だったので,体力を温存したままフォーラムに臨めた。

私の仕事は初めの挨拶と分科会だ。毎回のように初めの挨拶ではフォーラムの意義を述べ,来年度のフォーラムを開催したい人は,私に耳打ちしてねと伝えた。

分科会は,今年上越教育大学教職大学院を終了した2人の教員1年生が,現場で働き,教職大学院で学んだことをどう活かしているのか,教職大学院の学びで不足しているものはどんなところかを話してもらった。

予期以上の会場の入りだった。初めは大会議室の会場を見て,すかすかだったらどうしよう?と不安に思ったが,それなりのニーズがあったんだと,2人にお願いした甲斐があった。

採用数年目の先生からの反応が多く,意見や質問も多く出た。2人の発表と同じ悩みを持っているという共感の発言を聞き,この分科会の意味はこういうところにあったんだと思った。若い意欲ある教員を孤立させてつぶしてはならない。教職大学院の仕事もそういうところにもあるんだと思った。

一度ホテルに戻り,辰巳猛のTシャツに着替えてシンポジウムに行く。乾杯の挨拶と次回フォーラム決めが私の仕事。

数名の先生から,「来年度は難しいけれど,いつかフォーラムを開催したいです。」というお話をいただく。ありがたいことだ。どんどんこうやって広がっていかないとね。

会の最後には

来年は静岡です

と宣言してもらい,会は終了した。

今日の目標,「ラーメンは食べない」を達成できて,満足満足。

rx178gmk2rx178gmk22017/08/06 07:33フォーラム、お疲れさまでした。来年、会の片隅でこっそりお待ち申し上げております。

2017-08-01文学世界をイメージする古典群読

[]文学世界をイメージする古典群読 文学世界をイメージする古典群読 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 文学世界をイメージする古典群読 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 文学世界をイメージする古典群読 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

2017新潟県教育委員会と上越教育大学教職大学院連携による「学び続ける教師のための研修講座」を新潟県立教育センターでおこなってきた。

「群読」と「古典」というマイナー最強タッグで,どの位の申し込みがあるのか?と思ったが,案の定,去年の一般的な群読講座に比べるとかなり少なかった。

しかし,新潟中央高校の生徒さんが,参加したいということで,たくさん来てくれた。参加してくれた生徒さんは文系大学進学希望ということで,中には古典に今日もを持っている生徒さんもいて,ぜひ講座を受けたいということだった。

現職高校教員と高校生が,同じ講座を受けるというあまりない不思議な研修だったが,高校教員が高校生と同じ(わからない)という立場で学ぶというのは,教員にとっても生徒にとっても相互理解という面でとてもいい経験じゃなかったのか?とやってみて思った。

大学教員になって,群読講座の回数を重ねていくと,表現と理解の融合による学習効果がだんだん見えてきた。音声言語表現は理解を進める。理解しなければ音声言語表現はできない。文字言語表現は最悪「コピペ」でも形を作ることができるが,音声言語表現の「コピペ」はコロッケのようにかなりの技術を要するので,まずは自分のものにしてからしか表現できない。

前世代のコンピュータのような無機質な音声言語表現を人間が行うと,「おかしい」というバイアスがかかり,それは自然とできないことになる。

だから,自然な,しかもその文学世界を表現しようという意識が働くと,自然と文字言語を理解し,音声言語に変換しようという働きが起こってくる。

高校生には「君たちは,文系に進み,これから『言語』に敏感な世界に進もうとしている。だから言葉の機能や役割,言葉の素晴らしさについて学んでいってほしい。」と語り,群読を体験してもらった。

群読脚本をグループで作るときに,ICレコーダーを置き制作の過程を記録しようと思ったのだが,そんな経験の無い高校生にとって,これはちょっと抵抗があったようだ。初めは小さな声でボソボソと会話をしていたようだが,20分もすると,活動にのめり込み,声を出して議論していたということだった。しかし30分の活動時間はちょっと少なすぎたという反省がある。次にやるときは十分な活動時間を確保することにしよう。

群読初体験の受講生としては,完成度の高い作品を収録していたとおもう。音声言語表現作品という,きっと今まで体験していない彼女らにとって,珍しい体験をしたということだけでも,いい機会を持てたかな?と思う。

受講生の感想は以下です。

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2017-07-23理論と実践の往還

[]理論と実際の往還 理論と実際の往還 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 理論と実際の往還 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 理論と実際の往還 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

教員の研修会で交流会があると,自分の実践はどうか,相手の実践はどのようなものかという情報交流が頻繁におこなわれる。その中で,どのような実践が自分の目の前の子ども対に有効かを考え,有効そうな実践の取捨選択がおこなわれる。その基準は,自分の「感覚」となる。

その感覚が合っているかどうかは何の根拠もない。感覚にフィットするものが実践され,フィットしないものはスルーされる。フィットしたものを実践したとして,効果がある場合もあるし,無い場合もある。実践の有無は各自の感覚なので,効果が無かった場合は,「あの実践はダメだ」ということで終わってしまう。

しかしそこで重要なのは,どうして効果があったのか,どうして効果がなかったのかという「理論」部分の検証である。この検証がされなければ,各教室で,各学校で,各地域で同じことがくり返され,その子どもたちにとって効果のない実践が,教師の思いつきでくり返され,無駄なストレスを子どもたちに与えることになる。

理論の部分を担うのは教育学である。教育学を研究しているのは主に大学などの研究機関である。現場に有効な理論を提供していかなければならないはずなのに,研究機関が単なる実践交流の場を提供しているのでは,研究機関の意味が無い。どうして上手く行くのか,どうして上手く行かないのかという理論と実践を結びつかせなければ,「感覚」根拠の実践が蔓延してしまう。

もちろん,「感覚」が鋭く,目の前の子どもたちに当てはまる実践をしている教師も多いのだが,実践をさまよい,右に左にぶれる実践を教師も少なくない。

逆に,理論が先立ち,頭でっかちで,目の前の子どもたちの現状を見ず,理論を押しつける実践をしてはいけない。現状に目をつぶってもいけない。

だから「往還」が重要なのである。

2017-07-16教育改革に必要なこと

[]教育改革に必要なこと 教育改革に必要なこと - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 教育改革に必要なこと - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 教育改革に必要なこと - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

これからの日本社会で,子どもたちが生きるために必要な資質能力を育てるための改革を盛り込んだ新学習指導要領を公示した。日本の教育改革の中で,最大のものだと言う人もいる。

この改革を実のあるものにしたいと思っている。県教委の「大学進学率アップ政策*1」に高校教師になってから,ずーっと疑問を持っていた私としては,「文科省はああいうけれど,現実はね。」という県教委や現場の大学進学至上主義により,いらぬ偏見や劣等感を持たされた子どもたちの何と多いことか。

大学合格に向かない,主体的,協同的,対話的な授業をおこない,音声言語表現活動を取り入れた国語授業をしていても,「そんなのは偏差値アップには何の効果もない。」と管理職に完全否定されたこともあった。さらに,大学進学至上教の信者の同僚から圧力をかけられ,自分の授業を「監視」されたこともあった。

シンガポール国立教育研究所長ウンセンタンさんの話*2では,シンガポールでエラボレーション学習法(カリキュラム・マネジメントや,アクティブ・ラーニングなど,教師が教え込む暗記法ではなく,学習者が過去の学習内容や,他の教科での内容と結びつけて考えていく学習法)を推進して行くに当たって,保護者からの「どうして教え込まないんですか?」というクレームに対して,きちんと政策を説明しているそうだ。

日本とシンガポールでは国の規模が違うから,このように対応できるとおっしゃっていたが,日本もこのくらいの意気込みでやらないと実のあるものにはならないだろう。

特に高校では,仮に校長がどんなに「主体的・対話的で深い学び」を進めようとしても,高い高い教科の壁,それより高い進路指導(〝大学〟進学指導?)の壁に阻まれる。「そんなことして大学進学率が落ちたらどうするんですか?」という壁だ。

「そんなのはどうでもいいんだ。重要なのは子ども一人一人の将来だ。」と腹をくくって説明出来るかどうかにかかっている。

*1:最近こそあまり聞かなくなったが,若いときは研修に行くと「新潟県の大学進学率は全国で○位です。もっと上げないと。」といつも聞かされた。

*2:19th OECD/Japan Seminar 2017/7/1

2017-07-13採用学

[]採用学 服部泰宏著 2016 採用学 服部泰宏著 2016 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 採用学 服部泰宏著 2016 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 採用学 服部泰宏著 2016 - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

企業の採用の仕方が多種多様になっている。特に最近は働かせ方が問題になり,業界トップの企業も「ブラック企業」と簡単に指摘されるようになって来た。そうなると優秀な人材が集まってこない。そのために,バブル期のような大量応募でその中から一律の基準でトップの成績を上げた人から採用していくという今の大学入試のような採用の仕方では,

本当に企業に必要な人を見つけられない

ということがわかってきたのだ。ある基準で点数化して,トップから採用していくと,本当に自分の企業に必要な力を持っている人,自分の企業に合っている人(すぐにやめない人)などを不採用にしてしまうというのだ。

本の中でかなりのページ数を割いて紹介していた新潟の米菓企業「三幸製菓(株)」では,「新潟採用」,「おせんべい採用」,「カフェテリア採用」など,様々な窓口を設けて人を集めようとしている。様々な尺度で応募者を評価しようというのだ。

また

面接によるコミュニケーション力診断は曖昧

というエビデンスも示している。面接官の先入観が入ってしまうというのだ。就職には「コミュニケーション力」が大切と誰でも口にするが,その評価基準が曖昧だし,面接なんかでは正確なものは測れないという結果が出ている。

日本では採用学は遅れていて,その遅れの原因は,人事担当者が自分の人事での判断の評価システムが出来上がっていないというのだ。採用した人が優秀な人かそうで無いかは,その人が働き出して数年で結果がわかる。しかし,数年後にはその判断を下した人事担当者は人事に携わっていず,責任の所在もなく,フィードバックもなされないまま「感覚的」な採用をし続けているというのだ。

教員採用も同じなのかな?と思ったし,ましてや大学入試も同じである。上教大では,「本当に教員になりたい,向いている」という人を合格させているのか。大学入試改革に合わせて,どのように入試を変えるのか,考えなければならない。

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2017-07-10高田商業高校に授業参観に行ってきました

[]高田商業高校に授業参観に行ってきました 高田商業高校に授業参観に行ってきました - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 高田商業高校に授業参観に行ってきました - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 高田商業高校に授業参観に行ってきました - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

先日高田商業高校の校長先生と懇談を持つ機会があり,校長先生が「いつでも授業参観に来てほしい。私はいつでもどんな先生の授業でも連絡なしで観に行っています。先生方も慣れてきて,それを当たり前に受け取ってくれている。」とおっしゃっていた。

それならということで,懇談会の次の日連絡をして,今日院生2名を連れて授業を観に行った。

前勤務校以外で,授業参観を受け入れてくれた高校は初めてだった。特別なことをやっているのを見るのではなく,いつもの授業を観に行く意義は大きい。特に,これから教師になろうという院生さんを連れて行くことで,「いつもの学校の雰囲気」に触れさせることができる。彼らはその「いつもの学校の雰囲気」に包まれて仕事をしていくんだから。

この仕事に就いてから,いろんな高校の校長先生と話して,「授業改革が必至」という感覚を持っているが,ほとんどの校長先生は「何から手を付けて行けばいいか……。」,「高校では難しい。」,「教員の意識改革が難しくて……。」ということをおっしゃる。

私が思うに,高田商業高校では,授業改革を「授業はいつ,誰に見せてもいいものだ」と教員に思ってもらうという意識改革から始めているのだと思う。

高校教員時代,私は知り合いになった先生で,いい授業をしているという噂のある方の授業を積極的に観に行った。その先生は決まって言う。「いつもやっている普通の授業をいつも通りにやるだけです。いいところも悪いところもみんな見てください。」と。それを真似て,私もいつもそのように言うようにしていた。

授業を観る視点は,どんな授業プランなのかということと同時に,子どもたちはどう反応しているのかというところだ。普段のいつも通りの授業での子どもたちの反応を観ることで,その先生のいつもの教室文化,授業文化を観ることができる。そして,「いつでも観に来てください。」と言ってくれる先生の授業文化は,すばらしい。子どもたちが学びに向かう文化を創り上げている。これは特別にしつらえた教材や,授業プランでは現れないものだ。

高田商業高校の校長先生は,学習者とは別の存在の第3者から観られるという意識を授業者に持たせることで,意識改革を図っているのだと思う。立派な,構えた授業をさせようというのではなく,自分の授業を客観的に観察する視点を持たせることだけでも,授業改善になる。

特に,いい子たちがたくさんいる学校の場合,授業に対する不満を厳しく指摘したり,態度で示す学習者はあまりいず,つまらない授業でも学習者が我慢して,授業者がその不満に気づかず,授業改善に繋がらない場合がある。

私は高校教員だった時,授業を何とかしなければ,どうしようもない学校に赴任してから,ようやく授業改善という意識が生まれた。にらみをきかせたり,成績をちらつかせて行儀良くさせようとしても,それは全く効果がなかったのだ。

新潟の高校のすべての先生が「いつでも,どんな授業でも観に来てください。」と言えるようになれば,きっと教育の質が格段に上がると思う。

高田商業高校は13年前の私の勤務校だ。上越教育大学大学院にいた2年間在職していたのだが,授業もさせてもらい,研究をした学校だ。13年ぶりに訪れて,非常に懐かしかった。当時も今もとてもいい学校である。

2017-07-07アメリカンゴッズ

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久しぶりにはまるドラマを見つけた。アメリカ制作のネットドラマなのだが,AmazonPrimeで見られる。

伊集院光がラジオで「なんだかわからないドラマ」という紹介をして,ネット上では賛否両論だということで知った。観進めていくと,これはすごいドラマだという評価と,わからないままだという評価に別れているということだ。

町山智浩さんがラジオで,「実はこれは忘れ去られようとする神と今狂信されている神との戦いのドラマなんだ。」と解説した。なるほど,それがわかると,登場人物のすべての言動が象徴ということになってくる。

この言動は何を表しているのか?ということを読み取りながら観進めていくと,どんどん面白くなる。

刑務所から出たての主人公はウエンズデイという老人に雇われないか?と持ちかけられる。初めは飛行機の中で。次はバーで。神出鬼没のウエンズデイを気味悪がるが,就職を斡旋していた友人が突然死に,就職口を探さなければならない主人公は,ウエンズデイの話に耳をかたむける。

自分のボディーガードと運転手と雑用をしてくれればいいというのだ。ウエンズデイはいろんな人のところを訪れ,一緒についてきてくれと頼む。力を貸してくれと頼む。主人公はその相手が誰かもわからずウエンズデイに協力しようとする。

ウエンズデイが警察に捕まらず,銀行強盗をすると言い出す。警察に捕まらなかったら俺のことを信じてくれるか?と持ちかける。そのためには雪を降らせてもらわなければならないから,お前は雪が降ることだけを頭の中でイメージしろと言う。主人公がイメージしていると急に大雪が降り出し,銀行強盗が成功する。

雪を降らせたことを信じるか信じないかはお前次第だ。世界が変えられると思うかどうかはお前次第なんだとウエンズデイは言う。

ここまでが第3話だ。現在8話まで観られるのだが,面白すぎるから,ゆっくり観ることにしよう。

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2017-06-28先生はえらい

[]先生はえらい(内田樹 ちくまプリマー新書 2005) 先生はえらい(内田樹 ちくまプリマー新書 2005) - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 を含むブックマーク はてなブックマーク - 先生はえらい(内田樹 ちくまプリマー新書 2005) - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 先生はえらい(内田樹 ちくまプリマー新書 2005) - Pay it Forward , By gones 片桐史裕 のブックマークコメント

人間教育学セミナーの今日のテーマは課題図書クラス討議だった。私のb1クラスは,「先生はえらい」を選んだ。きっと,大学1年生のみなさんにとっては,この本に書かれてある「先生」の定義が,今まで考えていたものと真逆のものだから,わからないことが多いものだっただろうと思う。

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大学生のうちにいろんな見方,考え方に触れて,自分の考え方をぐらぐら揺らすためにこの本を選んだ。

事前にこの本のないようで「わからない」ところの疑問点を挙げてもらい,どうしてわからないかをみんなに配り,この時間でみんなで回答するという授業をおこなった。

どこかにある答えを見つけ出すのではなく,「内田樹さんはきっとこういうことを言っているんだろうな。」と探っていくのだ。

まさに,2015年までに私がやっていた現代文の授業の再現でとっても楽しかった。懐かしかったし,みんなががんばって掘っていく作業を見ていて嬉しかった。掘り進めば掘り進むほどわからなくなるホンダと思う。誰もが納得するような「正解」なんてここには存在しない。

グループになって,なんとなく出てきた「回答」を黒板に書いていって,授業の後半ではその回答について検証していく。黒板ってこういう風に使うととても有効なメディアだと思う。

この授業自体,「意味は自分で見つける」ということを実体化したものだし,「先生はえらい」の中でも「意味は自分で見つける」ということが書かれてある。「先生は自分で見つける」のだ。

単なる現代文での「この文章には何が書いてあるのか?」ということを理解する授業ではなく,自分の今までの価値観と相対するようなものを理解し,価値観を揺るがす機会を持たせることで,アクティブ・ラーニングとなるのだろうと思う。

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